今期最初のGⅠ戦

4月も最終週に入り、ヨーロッパ競馬も愈々本格的なシーズンに突入してきました。これから10月一杯は超忙しい日々が続きます。ということで一気にお仕事モードに突入。
昨日はロンシャン競馬場でG戦が3鞍、今期最初のGⅠとなるガネー賞が行われました。英仏愛3か国では最初のGⅠ戦でもあります。ここではレース順に回顧して行きましょう。

この日のロンシャンは一日を通して good の馬場、最初は牝馬クラシックを占うヴァントー賞 Prix Vanteaux (GⅢ、3歳牝、1850メートル)です。6頭立て。去年のマルセル・ブーサック賞(GⅠ)覇者シラソル Silasol がシーズン初戦を迎えましたが、5対2の2番人気。トップ牝馬を抑えて6対5の1番人気に支持されたのは、4月初めにデビュー戦を勝ったばかりのエソテリク Esoterique という新星。果たして人気先行の一頭でしょうか。
先手を取ったのはGⅠ馬の意地か、シラソル。2番手を進んだエソテリクは直線で抜け出すと、やや余裕を持ったままシラソルに1馬身半差を付ける堂々の2連勝です。一躍牝馬クラシック戦線の最前線に飛び出した印象。3着は激戦で、短頭差でパールサイド Pearlside 、更に短頭差でパール・モア Pearl Moi が4着。

勝馬を管理するのは名伯楽アンドレ・ファーブル師、マキシム・グィヨンとのコンビ。冒頭に紹介したように、前走はサン=クルーでの新馬勝ち。パターン・クラスを無事に通過し、今後の動向に期待が集まります。

続いてがフランス最初のGⅠ戦となるガネー賞 Prix Ganay (GⅠ、歳上、2100メートル)。この時期の9頭立ては多頭数とも言え、人気も割れていました。1番人気(2対1)に支持されたのは、去年の2着馬でフォルマス・ステークス(GⅠ)勝馬のジォフラ Giofra 。前走ドバイのデューティー・フリーは3着で、既に使われている順調さが買われたのでしょう。

レースは、ドイツから遠征してきたマリオ・ホーファー厩舎のペースメーカーを務めるポイント・ブランク Point Blank の逃げ。ジォフラは4番手を進み、好手応えで内を衝きます。しかし本命馬は仕掛けてから意外に伸びず、結局は4着敗退。
優勝は、3番手から抜けたホーファー厩舎のエースで5番人気(73対10)のパストリウス Pastorius 。2着には1馬身差でダルクール賞を制したマクシオス Maxios が入り、更に1馬身差でメルボルン・カップ馬デュナデン Dunaden が3着。

今回はオリヴィエ・ペリエが騎乗したパストリウスは、去年のドイツ・ダービー馬。これが3つ目のGⅠ制覇となります。昨シーズンの最終戦として臨んだニューマーケットのチャンピオン・ステークスでは、あのフランケル Frankel の4着。
実は英愛仏の去年のクラシック世代、キャメロット Camelot を除いては低レヴェルでしたが、ドイツに限れば質の高い世代だった言えるでしょう。去年のドイツ・ダービーの1・2・3着馬は、ダービー後も夫々GⅠに勝っていますし、ドイツ馬として初めてロイヤル・アスコットで勝った馬もこの世代でした。
シーズン初戦でいきなりフランスのGⅠを制したパストリウス、その実力は相当なものと考えて良いでしょう。シンガポールからも招待を受けていますが、オーナーの本音はヨーロッパ、それも英国のGⅠ勝利とのこと。密かにキング・ジョージを狙っているものと思われます。

最後はマラソン戦のバルべヴィユ賞 Prix Barbeville (GⅢ、4歳上、3100メートル)。6頭が出走し、去年のロイヤル・オーク(GⅠ)勝馬で、今季もサン=クルーのリステッド戦を制して順調なレ・ボーフ Les Beaufs が2対1の1番人気に支持されています。

そのボーフ、スタートで出遅れましたが直ぐに立て直し、先頭に立って逃げ切りを図ります。しかし出遅れが響いたのか本命馬は直線では伸びず、5着敗退。2番手を追走した2番人気(33対10)の一角ラスト・トレイン Last Train が抜け、中団から追い込むヴェレマ Verema を頭差抑えて優勝。3着も短首差でドームサイド Domeside が入る接戦でした。
勝ったラスト・トレインは、ヴァントー賞に続きアンドレ・ファーブル厩舎、マキシム・グィヨン騎乗のコンビで、両者はG戦ダブル達成。グィヨンはこの日、別厩舎の馬でも駆っており、ハットトリックとなりました。
ラスト・トレインの優勝は、去年新馬戦(ジュイネ賞)以来の2勝目。しかしパリ大賞典2着、ニエル賞3着の実力馬、前走シャンティーの条件戦(7着でしたが)で一度使われたことで馬が変わっていたのでしょう。

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