仏セントレジャーの逃走劇

日曜日、ロンシャン競馬場でロワイアル=オーク賞 Prix Royal-Oak (GⅠ、3歳上、3100メートル)が行われました。かつてはフランス・セントレジャーとして知られてきたレースですね。
1979年に古馬にも開放されてクラシックの性格を失い、以前の9月中旬という施行時期も10月末にシフトされてレースの性格も大幅に変貌してしまいました。

今年は heavy の馬場、9頭立て。3歳馬4頭に対し古馬5頭のメンバーで、出走馬の中にGⅠ馬は見当たりません。凱旋門フェスティヴァルで行われたカドラン賞組は8着のミス・ラゴ Miss Lago だけ。英セントレジャーからの参戦は無く、愛セントレジャー3着のブラウン・パンサー Broem Panther が英国(ドム・ダスコウム厩舎)から遠征して2番人気(9対2)。同じくイギリスのマーク・ジョンストン厩舎もドンカスター・カップ3着のハリケーン・ヒギンズ Hurricane Higgins を送り込んでいます。
そんな中13対10の1番人気に支持されたのは、仏オークス5着で前走ロワイヤリュー賞(GⅡ、2500メートル)に勝った3歳牝馬のダルカラ Dalkala 。アガ・カーンの持馬でデュプレ厩舎、この中では最も実績のある一頭でしょう。

レースは3番人気(13対2)のレ・ボーフ Les Beaufs が単騎の逃げ。ダルカラは追走グループの先頭、2番手でレースを進めます。後続を離して逃げたレ・ボーフ、直線入口で後続馬群が差を詰めてきましたが、バテたわけではなく馬が一息入れただけ。再び加速してそのまま2着に4馬身半差を付けて逃げ切ってしまいました。昨日の天皇賞を例に引けば、シルポートが逃げ足を貯めて逃げ切ったようなもの。
2着には伏兵(26対1)シルヴァー・ヴァルニー Silver Valny が飛び込み、更に1馬身4分の1差でローレックス・ボーゲット Rollex Borget という馬が3着。ダルカラは脚が止まって5着敗退。英国勢はハギー・モリソン厩舎のクイズ・ミストレス Quiz Mistress 7着、ブラウン・パンサー8着、ハリケーン・ヒギンズ9着と、不名誉な下位独占の有様でした。

番狂わせを演じたレ・ボーフを管理するのは、女性調教師のヴァレリー・セイヌー Valery Seignoux 女史。騎乗したジュリアン・ギロション Julien Guillochon は、調教師の息子さんです。馬にとっても調教師にとってもGⅠは初制覇。3歳せん馬レ・ボーフは2歳時は未出走、8月のドーヴィルで7戦目にして初勝利を挙げ、前走ショードネー賞(GⅡ、10月6日)が2着。これが2勝目(10戦)となります。
3歳馬がロワイアル=オークに勝ったのは、2002年のミスター・ディノス Mr Dinos 以来実に10年振り。古馬に解放されて35年になりますが、3歳馬の勝利は14頭目に当たります。
レ・ボーフの父アプシス Apsis はトーマス・ブライアン賞(GⅢ、1600メートル)とシュマン・ド・フェル・デュ・ノール賞(GⅢ、1600メートル)に勝ったマイラー。その父バラセア Barathea もクィーン・アン・ステークスとBCマイルと二つのGⅠに勝ったマイラーで、漸くその父サドラーズ・ウェルズ Sadler’s Wells に至ってスタミナ系に至るサイヤー・ラインです。

GⅠとは言いながら、出走メンバーにも結果にもレヴェルに疑問符が付く仏セントレジャーでした。

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