ベケット師のワン・ツー・フィニッシュ!

今朝起きてオークスをチェックしようとしましたが、中々ネットが繋がりません。最早競馬はマイナーなスポーツになってしまいましたが、ダービーとオークスだけは別なのでしょう。アクセスが殺到している状態で、何とか結果を入手しました。
映像も同じ。ユーチューブでも接続が殺到していて、さきほど漸く見ることが出来ました。

ということで最初にオークス Oaks (GⅠ、3歳牝、1マイル4ハロン10ヤード)。馬場は good to soft 、予定通り11頭が出走し、最終的に5対2の1番人気に支持されたのはオブライエン厩舎のモス Moth でした。1000ギニー3着、前年にウォズ Was で制したオブライエン厩舎ということもあっての人気でしょう。オブライエン師は2頭出し。もちろんモスにはジョセフが騎乗し、セイ Say はヘファーナン騎乗でペースを引っ張る役割でしょうか。
リングフィールドのトライアルを圧勝したシークレット・ジェスチャー Secret Gesture が3対1の2番人気、トライアル直後にカタール・レーシング(愛1000ギニーをジャスト・ザ・ジャッジ Just The Judge で制したオーナー)が同馬を購入し、前走とは違う勝負服で臨みます。これも2頭出しのレイフ・ベケット厩舎、主戦のジム・クロウリーは躊躇うことなくこちらを選択してきました。
以下、ミュジドラ・ステークスに勝って無敗のリバー・ノーティクスが3番人気(4対1)、チェシャー・トライアル勝馬バノフィー Banoffee はやや離れた4番人気(7対1)の順。

バラついたスタート、ベケット厩舎の伏兵(20対1、8番人気)タレント Talent が出遅れて最後方から。ダッシュ良く先頭に立ったのは、ゲートインを手古摺らせたミス・ユー・トゥー Miss You Too (係員とのやり取りで、イアン・モーガン騎手は4日間の騎乗亭処分を受けたほど)。リングフィールドのトライアルでも逃げた癖馬で、本番でも掛かり気味に馬群を引き連れます。オブライエン厩舎のセイが2番手で、これが本来のペースメーカー。
シークレット・ジェスチャーは1番枠スタートということもあって包まれるのを嫌い、どうしても早目の仕掛けで4番手のインコースを通る競馬。直線で前を開けるのに苦労しつつ先頭に立ちましたが、終始後方でジッとしていたリチャード・ヒューズ騎乗のタレントが巧く外に出し、スパートの合図を送ると馬が鋭く反応、勝利を掴んだかに思われた本命馬を並ぶ間も無く捉えると、シークレット・ジェスチャーに3馬身4分の3差を付けて快勝しました。4分の3馬身差で馬群を縫うように進出してきたザ・ラーク The Lark が入り、先行策から一旦は3着に上がった本命モスでしたが、最後の一歩でザ・ラークに交わされて頭差4着。リバー・ノーティクスは5着、逃げたミス・ユー・トゥー6着、バノフィーが7着。

勝馬と2着馬を共に管理するレイフ・ベケット調教師は、2008年のルック・ヒア Look Here に次ぐ2度目のオークス制覇。一度だけでも人生最良の時ですが、二度目、しかもワン・ツー・フィニッシュとあって気分は天にも昇るほどだったでしょう。ただこのワン・ツー、ベケット師が仮に夢見たとしても違った形。勝つ自信を密かに秘めていたシークレット・ジェスチャーは2着に終わったのですから・・・。
タレントは、前走ニューマーケットのリステッド戦(プリティー・ポリー・ステークス)に勝ってはいましたが、自厩の調教では遥かに劣る馬。騎乗依頼を受けたリチャード・ヒューズ騎手も、この一週間は同馬の調教を付けたもののピンと来るものは感じなかったそうな。直線最後の脚は、観客以上に調教師と騎手が唖然とするものでした。長年イギリスのクラシックに勝てなかったヒューズ騎手、先月の1000ギニー(スカイ・ランターン Sky Lantern)で初制覇を遂げると、堰が切れたように2勝目の快挙。自身でも信じられない戴冠でした。

一方敗れたシークレット・ジェスチャー、やはり1番枠スタートが敗因と言えば敗因でしょうか。本来より早目に脚を使ったことが、最後の最後で差された原因とも考えられます。こちらを選んだ主戦のジム・クロウリー騎手にとっては不運としか言いようがありません。あの状況では、最高の騎乗を見せた結果として讃えたいと思います。
記録を繙けば、1番枠で勝ったのは1980年のバイリーム Bireme にまで遡らなければなりません。皮肉なことに、バイリームは勝者タレントの3代母に当たるということで、この辺りは何れ血統プロフィールで紹介することになりましょう。父がダービーで本命となるドーン・アプローチ Dawn Approach と同じニュー・アプローチ New Approach という点も大注目。

ベケット師によれば、1・2着共にアイルランド・オークスを目指す由。エプサムのようなトリッキーなコースではないだけに、両馬のガチンコ対決が見ものでしょう。

オークス・デイのG戦は他に2鞍。プリンセス・エリザベス・ステークス Princess Elizabeth S (GⅢ、3歳上牝、1マイル114ヤード)は1頭が取り消して9頭立て。前走ダーリア・ステークス(GⅢ)で3着したシスル・バード Thistle Bird が3対1で1番人気。

あとでオークスを勝つことになるヒューズ騎乗のメイキング・アイズ Making Eyes が巧みに逃げましたが、2番手追走のシスル・バードがキッチリこれを捉えて優勝。4分の3馬身差でギフテッド・ガール Gifted Girl が後方から追い込んで2着、更に1馬身差でレディーズ・ファースト Ladys First が3着。
なお、こりのレースにはランフランコ・デットーリが参戦(ベアトリス・オーロール Beatrice Aurore)して注目を集めましたが、最下位に敗退しています。デットーリは去年、薬物使用疑惑でフランスのオーソリティー(フランス・ギャロ)から6か月の騎乗亭処分を受けていましたが、薬物からは完全にクリアーになったことを証明し、この数日間フランス・ギャロとの協議を続けて処分期間短縮が決定したばかり。復帰デビューで勝利というワケには行きませんでしたが、何れはフライング・ディスマウントが見られるかもしれません。

勝ったシスル・バードは、ロジャー・チャールトン厩舎、ジェームス・ドイル騎乗。堅実な成績の持ち主で、5歳にしてG戦初勝利となります。勢いを駆ってロイヤル・アスコットに挑戦する由。

G戦最後はダイオメド・ステークス Diomed S (GⅢ、3歳上、1マイル114ヤード)。ここも1頭の取り消しがあり、7頭立て。人気は割れて、3対1の1番人気は2頭が分け合っていました。前走レスターのリステッド戦に勝ったプロデューサー Producer と、前走ヘイウッドのリステッド戦2着のグレゴリアン Gregorian

人気の1頭プロデューサーが、ゲートインを嫌ってスタートが遅れます。レースは、ムルタ騎乗で逃げたカスタム・カット Custom Cut を捉えたグレゴリアンが、ペニテント penitent に1馬身半差を付けて優勝。頭差でガブリアル Gabrial が3着に入り、プロデューサーは4着敗退。
ジョン・ゴスデン厩舎、ウイリアム・ビュイック騎乗のグレゴリアンは、これがG戦初勝利となる4歳馬。これも次走はアスコットでしょうか。

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