今年もワン・ツー・フィニッシュ、ドバイ・ワールド・カップ

早朝のテレビ生中継、スポーツ各紙の速報でもご存知のように、アラブ首長国連邦のメイダン競馬場でワールド・カップの祭典が行われました。
当ブログのカバーする範囲ではありませんが、ヨーロッパからも馬・騎手共に多くが参戦、アメリカや南半球の馬に加えて日本からも7頭が参加。僅かでも触れないわけにはいかないでしょう。去年は日本馬のワン・ツー・フィニッシュという感動的な舞台ともなりましたからね。

ワールド・カップ・デイは1日9レース、第1レースは今時珍しいアラブのレースですから、我々が馴染めるのは第2レース以降の8レースということになります。
注目されるのは第5レースから最終第9レースまでのGⅠ5連発。日本では日本馬が参加したレースだけ報道されているようですから、ここでは全8レースの結果を簡単に記録しておきましょう。あくまでも中東は専門外ですから、ヨーロッパ的視点から。

第2レースはタペタ・コース(全天候型のコース)で行われる1マイルのGⅡ戦、ゴドルフィン・マイル。日本からの参戦は無く、13頭立て。
ノセダ厩舎、ライアン・ムーアが騎乗したウエスタン・アリストクラート Western Aristocrat が競走を中止するアクシデントがあり、優勝はゴドルフィンのアフリカン・ストーリー African Story 。ランフランコ・デットーリ騎手が早々と勝利を手にしました。サイード・ビン・スロール厩舎の馬で、5対6の1番人気に応えています。
2着ヴァイカウント・ネルソン Viscount Nelson 、3着レッド・ジャズ Red Jazz もヨーロッパ競馬日記ではお馴染みの馬たち。

第3レースは芝コースの2マイル、ドバイ・ゴールド・カップ。日本からもマカニビスティーが参戦した長距離のGⅢです。
ゴドルフィンの馬(グランド・ヴェント Grand Vent)がレース中に急死するハプニングで再レースとなった由。マカニビスティーは10着最下位に終わり、優勝はこれまたゴドルフィンのオピニオン・ポール Opinion Poll で、これも10対11の1番人気。デットーリはいきなりのダブル達成です。1頭馬を亡くしただけに、陣営としては喜びも半減か。
2着ジョシュア・トゥリー Joshua Tree はジョニー・ムルタ騎乗、3着ザンザマル Zanzamar は南アフリカの馬。

第4レースはタペタ・コースのGⅡ戦、UAEダービー。ダービーとは言いながら古馬との混合戦で、距離は1900メートル。14頭立て。
日本のゲンテンは、13着の馬から16馬身半も離される屈辱のシンガリ負け。初めてのコースで面食らったのか、これが実力か。勝ったのは7対1、アイルランドの名伯楽エイダン・オブライエン厩舎のダディー・ロング・レッグス Daddy Long Legs 。不慣れなコースでもシッカリ結果を出すのは流石、コーム・オダナヒュー騎乗。
同じオブライエン軍団の本命(11対4)ロート Wrote は3着で、ここはワン・スリー・フィニッシュでした。2着はフランス馬、ジャルネが騎乗したヤン・ツェー・キァン Yang Tse Kiang という馬。上位を占めたのは、如何にもダービーという名前に相応しく3歳馬たちでした。

そして第5レースからはGⅠが続きます。第1弾はアル・クォーツ・スプリント。芝の5ハロンで行われる短距離戦。日本からはエーシンヴァーゴーが挑みましたが、得意の直線コースも12着まで。
15頭立ての混戦を制したのは6対1、オーストラリアの快速馬オルタンシア Ortensia でした。2着に本命(11対2)ソール・パワー(ムルタ騎乗、ライナム厩舎)、3着もニュージーランドのジョイ・アンド・ファン Joy And Fun 。短距離に強い豪州と英国の争いで決着したようです。
イギリスの女流騎手ヘイリー・ターナーが騎乗したマイケル・ベル厩舎のマーゴ・ディド Margot Did は10着敗退。

第6レースはタペタ・コースの短距離戦、ドバイ・ゴールデン・シャヒーン。12が揃いましたが、日本からの参戦は無し。
ここは3対1の1番人気に支持された豪州のロケット・マン Rocket Man が2着に終わり、優勝を攫ったのは13対2のクリプトン・ファクター Krypton Factor 。キーレン・ファロンが騎乗していました。それにしても名騎手はシッカリと美味しい所を持って行きますね。
3着はラッキー・ナイン Lucky Nine と面白い名前のアイルランド産馬で、アメリカ(バファート厩舎、ベハラノ騎乗)のザ・ファクター The Factor は6着敗退。

第7レースは芝に戻ってドバイ・デューティー・フリー。1マイル1ハロンの距離に15頭、日本からは福永騎乗のダークシャドウが挑戦してきました。
1番人気(2対1)に推されたニュージーランド産のアンビシャス・ドラゴン Ambitious Dragon が7着に敗れる波乱で、勝ったのは英国ロジャー・チャールトン厩舎が送り込んだシティースケープ Cityscape 、8対1の逆転劇でした。
2着はスミオンが乗ったムタハデー Mutahadee 、3着は地元ゴドルフィンのシティー・スタイル City Style 。ダークシャドウは10対1で9着敗退。

最後から二つ目、第8レースは芝コースのドバイ・シーマ・クラシック。クラシック距離の1マイル半に10頭が火花を散らしましたが、残念ながら日本からの参戦は無し。
ゴール前は本命(9対4)アイルランドのセント・ニコラス・アビー St Nicholas Abbey (ジョセフ・オブライエン騎乗)とフランスの強豪シリュス・デ・ゼーグル Cirrus Des Aigles (オリヴィエ・ペリエ騎乗)の叩き合いとなり、首差でシリュス・デ・ゼーグルに軍配。3着はライアン・ムーア騎乗のジャッカルベリー Jakkalberry でした。オブライエン厩舎の2頭出し、トレジャー・ビーチ Treasure Beach が4着。
勝馬を調教するコリーヌ・バランド=バルブは女性調教師、女流トレーナーがワールド・カップ・シリーズを制したのは、17年の歴史で初めてのことになります。

そしてメインがドバイ・ワールド・カップ。タペタ・コースの1マイル2ハロンに世界の強豪13頭が集結します。日本では日本馬のワン・ツー・スリー、日本馬の連覇などと期待されていましたが、3頭はいずれも惨敗に終わりました。
1番人気(5対4)は実績からニュージーランド産でアイルランドのオブライエン厩舎に所属するソー・ユー・シンク So You Think に集まっていましたが、結局は4着。優勝は地元ゴドルフィンの伏兵(20対1)モンテロッソ Monterosso でした。2着も同じザローニ厩舎の人気薄(11対1)カッポーニ Capponi が入り、ゴドルフィンのワン・ツー・フィニッシュとなりました。
勝馬に騎乗したコルシカ生まれのミケール・バルザロナは、ゴール前から立ち上がってガッツ・ポーズ、去年のエプサム・ダービーの再現ですね。2着はアームド・アジテビ騎手。3着はボッティ厩舎、ムーア騎乗の元フランス馬プランテール Planteur 。ドイツのザズー Zazou が5着に入りました。
日本勢では14対1のエイシンフラッシュ(ルメール騎乗)が6着と最高位で、日本トリオでは最も人気があった(13対2)スマートファルコン(武騎乗)が10着、20対1のトランセンド(藤田騎乗)は昨年の雪辱ならず最下位惨敗に終わっています。アメリカ勢ではモット厩舎のロイヤル・デルタ(10対1)が9着、美人のママさん騎手サザーランド騎乗が話題のゲーム・オン・デュード(8対1)も12着と奮いませんでした。

以上、ザッとドバイを見てきました。やはり強い馬は強い、肝心のワールド・カップは荒れましたが、そのほかは順当だったのではないでしょうか。

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