失望のオブライエン

この記事の後でキング・ジョージの枠順を紹介しますが、その前に昨日アイルランドのレパーズタウン競馬場で行われたGⅢ戦2鞍の結果を簡単にレポートしておきましょう。

既に日本でも報じられているように、キング・ジョージを目指していたオブライエン厩舎のセント・ニコラス・アビー St Nicholas Abbey が火曜日の調教で骨折、レースの出走を断念するだけでなく生命の危険も伴う重傷で、手術後も予断を許さない状況です。
そうした暗いムードを反映してか、昨日のレパーズタウンでも本命に推された2頭が何れも勝てず、オーブライエン師にとっては失望の1週間になってしまいました。

この日の馬場発表は good 。最初のタイロス・ステークス Tyros S (GⅢ、2歳、7ハロン)は、オブライエン厩舎がペースメーカーを取り消したため5頭立てとなり、コヴェントリー・ステークス(3着)、ジュライ・ステークス(4着)とGⅡ戦で戦ってきたサー・ジョン・ホーキンス Sir John Hawkins が11対10の断然1番人気に支持されていました。
もちろんオブライエン厩舎が来年のクラシックを目指す馬で、一ランク下げたここでは負けないだろう、という世評を背負っての出走です。

レースはボルジャー厩舎のホーム・スクール Home School が逃げ、2番人気(11対8)のエクソジェネシス Exogenesis が2番手を追走。サー・ジョン・ホーキンスは3番手で直線に入ります。しかしホーム・スクールは渋太く粘り、漸くエクソジェネシスがこれを半馬身捉えてゴールインしましたが、サー・ジョン・ホーキンスはその差を中々詰められず、結局は1馬身4分の1馬身遅れて3着に終わりました。
逆転に成功したエクソジェネシスは、ゲール・ライオンス厩舎、ゲーリー・キャロル騎乗。2戦目にフェアリーハウスで未勝利を脱し、前走レパーズタウンの一般戦(これも7ハロン)に連勝。一気にGⅢを制して3連勝を達成しました。陣営は7ハロンがベストとの考えの様で、来年も例えばジャージー・ステークスを狙うタイプとコメントしています。当面はドンカスターのシャンペン・ステークスを目指す由。

続いてはメルド・ステークス Meld S (GⅢ、3歳上、1マイル1ハロン)。7頭が出走し、こちらの断然1番人気(8対11)は、今シーズンGⅠばかり使われてきたマース Mars 。チーム・オブライエンの期待を背負い、2000ギニー(6着)、ダービー(6着)、セント・ジェームス・パレス(3着)、エクリプス(4着)と頑張ってきました。GⅢに格下げのここでは2勝目は間違いないという評価でしょう。

しかしオブライエン厩舎には魔物が棲み付いてしまったのか、2番手追走のまま逃げた3番人気(6対1)シンティルラ Schintillula を捉える事が出来ず、諦めたジョゼフ騎手は馬なりのまま2馬身4分の3差の2着に甘んじました。3馬身4分の1差で2番人気(7対2)のアロング・ケイム・ケーシー Along Came Casey が3番手追走のまま。
ジム・ボルジャー厩舎、ケヴィン・マニング騎乗のシンティルラは、先週のアイルランド・オークスで4着した牝馬。連闘でのG戦でしたが、牡馬を破っての優勝でした。
実はレース前、この所晴天が続いていたアイルランドでは急な雨があり、馬場状態はかなり柔らかくなっていたそうな。ボルジャー陣営も不安含みでの出走でしたが、大本命に騎乗したジョセフ・オブライエンは、この馬場を敗因に挙げています。

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