ダフニスとクロエ
昨日の月曜日、6月最後のG戦がフランスのシャンティー競馬場で3鞍行われました。
最初は、フランスの2歳G戦としてはシーズン最初となるボア賞 Prix du Bois (GⅢ、2歳、1000メートル)。good to soft の馬場に10頭が出走。全て勝馬でしたが、3戦2勝のゴーケン Goken が7対5の1番人気。
そのゴーケンが、ここでは格が違うとばかりに先頭に立つと、そのまま逃げ切り勝ち。イギリス(レー・ゲスト厩舎)から遠征した4番人気(87対10)のジェーンズ・メモリー Jane’s Memory が2馬身差の2着に入り、更に2馬身差でブービー人気(30対1)のリハイム Lehaim が3着。
アンリ=アレックス・パンタル厩舎、ファブリース・ヴェロン騎乗のゴーケンは恐らく仕上がり早なのでしょう、サン=クルーの新馬戦こそ2着でしたが、シャンティーの条件戦を2連勝。ここまでは全て1000メートルの競馬を使われてきました。
続いてはダフニス賞 Prix Daphnis (GⅢ、3歳牡せん、1800メートル)。ダフニスと言えばクロエが恋人で、ダフニス賞とクロエ賞は元々1921年に当時のル・トランブレー競馬場でセットのように創設されたレースでした。「ダフニスとクロエ」はロンゴスの創作になるギリシャの恋愛劇で、私などは芝居よりラヴェルのバレエ音楽として知ったものでした。
最初この2レースは共にクラシックのトライアルとして仲良く開催されていましたが、時代の変遷を経て近年ではクラシックが済んでから、夫々別の競馬場で行われてきたものです。最近はダフニスがロンシャン、クロエはシャンティーということが多かったようです。それが今年は久し振りにシャンティーで同じ日のプログラムとして開催されました。
ということで先に行われたダフニスは8頭立て。ギッシュ賞(GⅢ)を含め今期4戦無敗のボダイ Bodhi が8対5の1番人気。ただこの無敗馬が何故クラシックに挑戦しなかったのかは情報を得ていません。あるいは調整に問題があったのかも知れず、その辺りが死角だったのでしょうか。
レースは2番人気(41対10)でボア賞を制したパンタル厩舎のミスター・ポムロイ Mr Pommeroy が逃げましたが、中団の外4番手を追走していた4番人気(47対10)のマスター・カーペンター Master Carpenter が鋭く抜け、ブービー人気(189対10)コーリング・アウト Calling Out に半馬身差を付けて優勝。短頭差でミスター・ポムロイが3着に粘り、本命ボダイは中団の内、勝馬と同じ位置に待機したものの伸びす6着に終わりました。やはり状態に問題があったのでしょう。
勝ったマスター・カーペンターは、英国のロッド・ミルマン師がシャンティーに初遠征したもので、鞍上にクリストフ・スミオンを契約できたことが初挑戦・初勝利の決め手になりました。今期はグリーナム・ステークス(GⅢ)とサンダウン・クラシック・トライアル(GⅢ)で何れも3着。ニューマーケットのリステッド戦2着を挟み、前走はサンダウンのリステッド戦に勝っての参戦、G戦は初勝利となります。今後は再びG戦線に戻り、何れはGⅠを狙って来るでしょう。
最後はコンビが再現したクロエ賞 Prix Chloe (GⅢ、3歳牝、1800メートル)。こちらは10頭立てで、去年のマルセル・ブーサック賞4着のロイヤルマニア Royalmania が12対5の1番人気。この馬もクラシックには間に合わず、前走ロンシャンのリステッド戦(1800メートル)勝ちがシーズン・デビューでした。
レースは4番人気(68対10)デリヴァリー Delivery の逃げ。これを内で先行していた7番人気(149対10)のヴンダー Wunder が外に持ち出して並び掛けると、最後は逃げ馬を1馬身半差突き放しての逆転劇。首差でイギリス(ロジャー・チャールトン厩舎)から遠征した5番人気(83対10)ビー・マイ・ギャル Be My Gal が3着に入り、ロイヤルマニアは後方外を追走も伸びず7着敗退に終わりました。2番人気、3番人気共に着外という波乱です。
勝ったヴンダーはドイツのマルクス・クルーグ厩舎の馬で、騎乗していたのはアドリー・ド・ヴリースというジョッキー。最終出馬登録ではアンドレアス・ヘルフェンバインが乗る予定でしたが、直前で代わったようです。その辺りの事情、二人の騎手に付いての情報は不明です。ヴンダーは今年に入ってからケルンで新馬勝ち。前走が2走目で、バーデンのリステッド戦(ディアナ・トライアル)にも連勝し、これで無傷の3連勝。怖いドイツからまた1頭不気味な牝馬が登場したという印象でしょう。
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