交響詩三題

昨日のプロムスはロンドン・フィル、首席指揮者ユロフスキーの指揮で交響詩の歴史とでも言うべきプログラムが取り上げられました。

≪Prom 64≫
バントック/交響詩「アトラス山の魔女」The Witch of Atlas
プロコフィエフ/ピアノ協奏曲第3番
     ~休憩~
シベリウス/交響詩「ポヒョラの娘」
R.シュトラウス/交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」
 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
 指揮/ヴラディミール・ユロフスキー
 アニカ・ヴァヴィッチ(ピアノ)

バントック、シベリウス、シュトラウスと三者三様のテーマですが、共通するのは何れも文学作品から着想を得たもの。シェリーの詩、カレワラ叙事詩、ニーチェの哲学と、音楽と文学は兄弟姉妹であることを再認識させるコンサートでしょう。

その中に入ってプロコフィエフは異質だと思われるかもしれませんが、実はプロコフィエフは作家でもありました。彼の日本滞在中の日記を読むと、当時はアメリカに渡る手続きを待つ間日本に滞在、その間短編小節を認めています。
先日群像社から「プロコフィエフ短編集」が出ましたので紹介しますが、第3ピアノ協奏曲には越天楽から採られたテーマが登場しますから、今回のプログラムの中で異質とは言えないでしょう。

その協奏曲を弾くのはロシアの女性ピアニストで、今回がプロムス・デビューだそうです。
第2楽章の最後、アッサイ・リタルダンドの4小節を飛ばして演奏しましたが、これはどうしたことでしょう。異稿があるという話は聞いたことがありませんので、単なるアクシデントか記憶違いによるものと思われます。

アクシデントと言えるかどうかは判りませんが、最後のツァラトゥストラでも「大いなる憧れ」の前8小節辺りの pp が続く個所で、突然オルガンが大きな音を出します。奏者が誤って足を強く踏み込んだような感じ。
まさかバントックの魔女が悪さをした訳でもないでしょう。

有名作品が並びましたが、やはり収穫はルネサンスを迎えているバントック作品。今回のものもハープが活躍する交響詩で、これを機会に彼の作品をいろいろ聴いてみたいと思っています。

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