日本産馬が仏GⅢに優勝

ヨーロッパ競馬も9月に入り、フランスではロンシャンの秋競馬がスタートしました。その第1週はGⅢが3鞍、血統面や生産面で話題になりそうな結果が続々と入ってきています。
馬場状態は good 。

最初は2歳馬のラ・ロシェット賞 P. La Rochette (GⅢ、2歳、1400メートル)、10月初めのジャン=リュック・ラガルデール賞を見据えた一戦でもあります。
7頭が出走。ドーヴィルの新馬戦を快勝したゴドルフィン所有でファーブル厩舎のデカスレート Decathlete が9対5の1番人気に支持されていました。

ムハラージ Muharaaj の逃げ。デカスレートも着実に伸びましたが、前半は最後方に待機し外から追い込んだ3番人気(17対5)のカラコンティー Karakontie の末脚が勝り、デカスレートを4分の3差し切って優勝。更に1馬身4分の1差でドイツのスティルマン Stillman が3着。
ジョナサン・ピアース厩舎、オリヴィエ・ペリエ騎乗のカラコンティーは、コンピエーニュで新馬勝ちし、前走ドーヴィルのリステッド戦で2着だった馬。この勝利で、グラン・クリテリウムで遠征を表明しているキングマン Kingman との対決が楽しみになってきました。
また同馬の血統にも注目。父バーンスタイン Bernstein 、母サン・イズ・アップ Sun Is Up (父サンデー・サイレンス Sunday Silence)という血統ですが、母は北海道の白老産馬。走ったのはフランス(4戦未勝利)でしたが、北海道に戻って繁殖に上がり、カラコンティーは新冠で産まれた2歳馬。日本ブランドを背負った馬がフランスのG戦を制したことになります。その意味でも、カラコンティーの将来に注目して行きましょう。なお、オーナーはニアルコス・ファミリー。

続いてリュテース賞 P. Lutece (GⅢ、3歳、3000メートル)。7頭立て。前走ルー賞(GⅢ)2着のモンクレール Montclair が6対4の1番人気。

結果は4頭が並んでゴールに雪崩れ込む大接戦で、写真判定の結果、2番人気(31対10)のヴァリラーン Valirann が優勝。短首差で逃げたラッキー・ルック Lucky Look が2着、同じく短首差で本命モンクレールは3着。
アラン・ド・ロワイヤー=デュプレ厩舎、クリストフ・ルメール騎乗のヴァリラーンは、ヴィシーの未勝利戦、ドーヴィルの条件戦に続く3連勝でG戦初制覇です。またルメール騎手は、来年からアガ・カーンの主戦騎手としての契約を結んだばかりで、これが最初の大仕事でもありました。
この馬も血統に注目で、去年の仏オークスを圧勝しながら、調教中のアクシデントで安楽死処分となった悲劇のヴァリーラ Valyra の半弟に当たります。姉の無念も含め、長距離界のスターに成長して欲しい所。

最後はパン賞 P. du Pin (GⅢ、3歳上、1400メートル)。ここは12頭と頭数が揃い、モーリス・ド・ギースト賞(GⅠ)4着、モトリー賞(GⅢ)2着のチャーリップ Tulips が5対2の1番人気に推されていました。

これもゴール前は大接戦となり、優勝は7番人気(122対10)の伏兵デザート・ブラン Desert Blanc 、首差でメイヤダー Mattadah が2着、更に頭差で3着がゾンマーアーベント Sommerabend の順。チューリップは6着に終わりました。
グレゴリー・ブノアが騎乗して穴をあけたデザート・ブランも数奇な経歴の持ち主。3歳シーズンまではパスカル・ベイリー厩舎に所属していましたが、4歳以後はアメリカで走るためにチャド・ブラウン厩舎に移籍。そのアメリカでマンハッタン・ハンデを制して見事GⅠ馬となり、今年初めから種牡馬として供用されました。
ところが繁殖を希望した牝馬は僅かに3頭でした。そこで再び現役に戻る選択がなされ、現在のクリスチャン・バイエ師の元で調教を再開。コンピエーニュで復活戦を飾り、前走クレールフォンテーヌでは3着して今回の勝利。フォレ賞には登録が無いため、凱旋門賞デイにはダニエル・ウイルデンシュタイン賞に出走して、再び種馬に復帰する計画だそうです。アメリカで芝の長距離GⅠに勝ったことに加え、フランスで短距離のG戦を勝つスピードもあるということが、この馬の付加価値を更に高めるという目算かと思われます。

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