アメリカも2歳戦

スーパー・サタデイに沸いた翌日のアメリカ競馬、日曜日も3つの競馬場でG戦が行われました。

先ずはベルモント・パーク競馬場から二つの2歳戦。同じコース、同じ条件なので比較も興味深い所。先に行われたのは牝馬によるメイトロン・ステークス Matron S (GⅡ、2歳牝、6ハロン)。fast の馬場に1頭が取り消して6頭立て。サラトガの新馬戦を快勝、前走泥んこ馬場のスピナウェイ・ステークス(GⅠ)こそ足を取られて4着に終わったものの、プレッチャー厩舎期待のスイート・ウイスキー Sweet Whiskey がイーヴンの1番人気に支持されていました。
そのスイート・ウイスキーがスタートから先手を取って逃げましたが、これを2番手で追走していた3番人気(3対1)のミス・ビヘイヴィア― Miss Behaviour が3~4コーナー中間でスパートし、一気に3馬身のリードを付けます。流石に最後は本命馬の巻き返しにあって差を詰められましたが、それでも1馬身のリードを保って優勝。更に1馬身4分の3差で2番人気(5対2)のグレイサー Gracer が3着。
勝馬を管理するフィル・シェーンタール Phil Schoenthal 調教師にとっては、これがG戦初勝利。また騎乗したゲーリー・クルーズ騎手もこのレースがベルモント・デビューとあって、初物尽くしのメイトロンとなりました。ミス・ビヘイヴィア―は、7月にパークス・レーシングでデビュー勝ちし、9月初めにモンマス・パークでソロリティー・ステークス(リステッド)を圧勝した馬。これで3戦3勝、無傷でG戦勝馬となりました。

続く牡馬によるフューチュリティー・ステークス Futurity S (GⅡ、2歳、6ハロン)も、1頭が取り消しての5頭立て。こちらもプレッチャー厩舎で、サラトガ・スペシャル(GⅡ)に勝ち、前走泥馬場のホープフル・ステークス(GⅠ)では9着に沈んだコルフー Corfu が9対5の1番人気。
こちらも本命コルフーが逃げ、2番手に付けた2番人気(5対2)のイン・トラブル In Trouble が捉え、本命に2馬身4分の1差を付けて優勝したのはメイトロンと同じ展開。1馬身差で3番人気(やはり5対2)のビッグ・シュガー・ソーダ Big Sugar Soda が3着に入りました。勝時計は、フューチュリティーがメイトロンを約1秒上回っています。
アンソニー・ダトロウ厩舎、ジョセフ・ロッコ騎乗のイン・トラブルは、サラトガのデビュー戦を制したのみ。2戦2勝、無傷でG戦勝馬となった点も、メイトロンのミス・ビヘイヴィア―と良く似た経歴です。

次にレミントン・パーク競馬場のオクラホマ・ダービー Oklahoma Derby (GⅢ、3歳、9ハロン)を紹介しましょう。今年からGⅢに格上げされた一戦で、この日はレミントン・パーク・オークス Remington Park Oaks も行われていますが、こちらはリステッド戦に留まっています。ダービーは fast の馬場、8頭立てで行われました。既に3つのダービー、即ちイリノイ・ダービー、ウエスト・ヴァージニア・ダービー(GⅡ)、スーパー・ダービー(GⅡ)を制しているデパーティング Departing が1対5の圧倒的1番人気。4つ目のダービー制覇は確実と期待されていました。
先手を取って逃げたのは、出走馬中本命を除いて唯一のG戦勝馬で2番人気(3対1)のブロードウェイ・エンパイア Broadway Empire 。デパーティングは中団から徐々に進出して差を詰めに掛かりましたが、今回は直線で伸びるどころか後退、結局は4着敗退。結果はブロードウェイ・エンパイアの逃げ切り勝ちで、4馬身の大差が付いてカメオ・アピアランス Cameo Appearnce が2着、半馬身差でカーヴ Carve が3着の順。4着のデパーティングは更に4分の3馬身離されていました。
ブロードウェイ・エンパイア、実は8月にカナダのノースランド・パーク競馬場で行われたカナダ・ダービー Canadian Derby (GⅢ)の勝馬で、カナダのロベルティーノ・ディオドロ厩舎、カナダ・ダービーでもコンビを組んだリコ・ウォルコット騎乗。今年3月にターフ・パラダイスでデビューし、16馬身の圧勝を演じた馬で、通算成績は6戦4勝。ダートでは4戦負けなしの実績で、ハリウッドの一般ステークス(ケイム・ホーム・ステークス)に挑戦して2着という実績も残しています。

最後にサンタ・アニタ競馬場からジョン・ヘンリー・ターフ・チャンピオンシップ John Henry Turf Championship (芝GⅡ、3歳上、10ハロン)。firm の芝コース、2頭取り消しがあって12頭立て。2対1の1番人気に支持されたインディー・ポイント Indy Point  は、去年アルゼンチンのスターだった馬。彼の地でダービーを制し、前走アーリントン・ミリオン(GⅠ)は13着最下位に終わりましたが、敗因がハッキリしてのこと。その後の調教は抜群で、南米の実績から本命に推されていました。
レースは2連覇を目指す前年の勝馬スリム・シェイディー Slim Shady の逃げ、これを6番手の内々で待機したインディー・ポイントが徐々に外に出しながら追い上げ、4番手で直線に入り、外から伸びて一気に後続を突き放しての快勝。アルゼンチン産馬の優秀さを見せ付けました。1馬身4分の1差でヴァガボンド・シューズ Vagabond Shoes が2着、更に4分の3馬身でフランス産馬、3番人気(5対1)のルカイヤン Lucayan が3着です。連覇を掛けたスリム・シェイディーは6着、また2番人気(9対2)ケトル・コーン Kettle Corn も7着に終わりました。
リチャード・マンデラ厩舎、又しても前日にGⅠ2勝、ゲーリー・スティーヴンス騎乗のインディー・ポイントは、これで15戦7勝2着4回3着3回、着外はアーリントンのみ。アルゼンチン・ダービーを含めてGⅠに3勝し、南米の凱旋門賞に相当する去年末のカルロス・ペレグリニ大賞典でも1番人気に推されながら2着した実績の持ち主です。アメリカ・デビューとなったデル・マーの一般ステークスも圧勝してアーリントン・ミリオンに出走していました。しかしアーリントンは悪夢。中24日で使ったローテーションにも問題がありましたが、アメリカでコンビを組むスティーヴンスは、こちらが本当のインディー・ポイント、と太鼓判を推しています。

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