来年のクラシック候補、続々
9月の最終日曜日、全てのGⅠ戦が終わっているアイルランドでは、カラー競馬場でシーズン最後のGⅡ戦を含めたG戦2鞍が行われました。何れも来年のクラシックに通ずる2歳戦。
馬場は good to firm 、直線コースは good というコースで、最初は牝馬のためのC・L・ウェルド・パーク・ステークス C.L.Weld Park S (GⅢ、2歳牝、7ハロン)。ここ10年で1番人気は一回しか勝っていないという本命馬にとっては鬼門のレースですが、今年は8頭が出走し、前走レパーズタウンの7ハロン戦に勝ったばかりのマイ・ティターニア My Titania が11対10の1番人気に支持されていました。
レースはチーム・オブライエンのミノレット Minorette が逃げ、マイ・ティターニアは絶好の3番手。2番手を追走する2番人気(2対1)ターファーシャ Tarfasha を交わしてマイ・ティターニアにが先頭に立つと、最後はジョニー・ムルタ調教師/騎手のシカゴ・ガール Chicago Girl に追い詰められながらも半馬身差で凌ぎ、久し振りに本命馬として期待に応えました。3着は5馬身半の大差が付いてターファーシャの順。
勝馬は、今期絶不調のジョン・オックス厩舎、デクラン・マクダナー騎乗。前2走はいずれもレパーズタウンで、6ハロンのデビュー戦が2着、上記の様に前走は7ハロン戦で初勝利を挙げていました。
この馬の注目点は、何と言っても父がシー・ザ・スターズ Sea the Stars であること。マイ・ティターニアは、その初年度産駒にして初のG戦勝馬となりました。オーナーも父と同じ香港のクリストファー・ツイ氏、同じ勝負服が凱旋門賞の栄光を思い出させます。先頭に立つと気を抜くのは父譲りの性癖とのことで、陣営は1000ギニーからオークスの王道を歩ませる意向。オークスには14対1のオッズが出されました。今期はこれで終戦、じっくり仕上げて来年のクラシックを目指します。
続いては、今年最後のGⅡ戦たるベレスフォード・ステークス Beresford S (GⅡ、2歳、1マイル)。エイダン・オブライエン厩舎が圧倒的に強いレースで、今年も1頭取り消しの5頭立ての中、新馬勝ちしたばかりのジェフリー・チョーサー Geoffrey Chaucer が4対7の圧倒的1番人気に支持されていました。オブライエン厩舎は2頭出しで、実績ではオクラホマ・シティー Oklahoma City が上ですが、主戦のジョセフ・オブライエンは躊躇うことなくジェフリー・チョーサーを選択、それも人気に拍車をかけたようです。
レースはオール・セット・トゥー・ゴー All Set To Go が逃げ、4番手に待機したジェフリー・チョーサーは人気を証明するようにスルスルと内から伸びると、外に膨れながらも僚友オクラホマ・シティーに1馬身4分の1差を付けて優勝。4分の3馬身差で、2番人気(3対1)アルトルイスティック Altruistic が3着に入りました。
ジェフリー・チョーサーは7月にレパーズタウンの1マイル戦で新馬勝ちしただけですが、その時は僅かに3頭立て。先に行く馬も無く自ら逃げ、3頭が首差でゴールインする僅差の勝利。ジョセフによれば、初戦は学ぶことはほとんどなかったとのこと。今回は逃げ馬の適度なペースをじっくり待機、競馬について多くを学べたはず、と自信を深めた様子です。
オブライエン師は、このレース13勝目。一昨年から3連覇でもあります。ベレスフォード・ステークスは、過去にセント・ニコラス・アベイ St Nicholas Abbey 、シー・ザ・スターズ Sea the Stars も勝ったレース、ジェフリー・チョーサーも当然ながらクラシックに期待が掛かる1頭になるでしょう。ダービーのオッズは14対1が出されました。
同馬は父モンジュー Montjeu 、母ヘルシンキ Helsinki ということで、仏2000ギニー、仏ダービー2冠のシャマーダル Shamardal の半弟にあたるクラシック血統。次走はレーシング・ポスト・トロフィーを予定しており、この馬の実力が試される一戦となること必定です。
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