日本フィル・第292回横浜定期演奏会

昨日もコンサート通い、横浜のみなとみらいホールで日本フィルの定期です。このホールの最寄駅を持つ東横線が運転中止中だった由で、開演ギリギリに入場される方を多く見かけました。
当方は昔からのJR京浜東北組。桜木町から延々歩くのは面倒だけれど、電車賃節約も兼ねてのパターンです。

ヴェルディ/歌劇「アイーダ」~凱旋行進曲
ヴェルディ/歌劇「ファルスタッフ」~“名誉だと! 泥棒たちめ!”
ヴェルディ/歌劇「椿姫」~第1幕への前奏曲
ヴェルディ/歌劇「椿姫」~“プロヴァンスの海と陸”
ヴェルディ/歌劇「マクベス」~バレエ音楽
ヴェルディ/歌劇「ドン・カルロ」~“終わりの日は来た~私は死にます”
     ~休憩~
プッチーニ/歌劇「マノン・レスコー」~間奏曲
レスピーギ/ローマの祭
 指揮/園田隆一郎
 バリトン/堀内康雄
 コンサートマスター/江口有香

小生にとって今週3回目のオーケストラ・コンサート、聊か疲れたのと同時に、改めて西洋音楽の多様さに思いを馳せます。

今回の横浜は恒例の「輝け! アジアの星」シリーズの第8弾。日本人若手指揮者、園田隆一郎の定期初登場です。
彼は偶然にも東フィル定期で聴いたばかり、私にとっては2度目の体験となりました。東フィルが代役だったのに対し、今回は園田のオリジナル・プログラム、得意のイタリア作品が並びました。

前半は、今年生誕200年を迎えたヴェルディ作品のオン・パレード、管弦楽ピースとバリトンのアリアが交互に演奏される構成。歌うのは藤原歌劇団の重鎮、堀内康雄です。
堀内はかなり以前からオペラを聴いてきた人で、その美声と堂々たる存在感はすっかりお馴染み。その健在ぶりを改めて確認できる歌唱となりました。特にロドリーゴの絶唱に胸を打たれます。

間に挟まれたオーケストラ作品では、マクベスのバレエ音楽が珍しいもの。録音では度々聴いていましたが、ナマで接するのは初めてでしょう。中々の収穫。

後半はプッチーニの名作と、大管弦楽が炸裂するレスピーギ。後者ではオルガンも加わり、その横に陣取ったバンダ(トランペット3本)やマンドリンも聴ける楽器博物館的な楽しみ。そうそう、ヴェルディではチューバではなく、チンバッソが使われていたのも指揮者の拘りでしょうか。
大曲の力演、お腹一杯の満足感もあって、横浜恒例のアンコールは無し。かなり耳も痛くなりましたしね。

それにしても前夜はブラームス、火曜日はチェコ作品と、様々な「西洋クラシック音楽」を聴いてきました。特にブラームスとヴェルディでは文化の質も異なります。前日のブラームスは、同じヨーロッパ音楽でもアルプス北側のチュートン人の文化。対するヴェルディ以下はアルプス南のラテン民族のそれ。
そもそも人種が違う地域が、ECだの、ユーロだので纏まる訳がないと思いますね。繋がるのは経済的利害だけでしょ。比較的素直なラテン民族と、一癖も二癖もあるチュートン人、その違いは音楽にも見事に表れているではありませんか。

それにしても、その両者に差別なく適応する日本民族の能力の高いこと。その消化力は、西洋と東洋の壁を超えたばかりか、ある意味では融合にまで辿り着いている。聴いている我々も、最早「外国の文化」と言う意識はないでしょ。
スークでもブラームスでも、もちろんヴェルディでも聴けば直ぐに反応できる。このDNAは一体何処から来、どのように変化してきたのか。一度冷静に考察してみる必要がありそうです。

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