晩秋のG戦から

今日はジャパン・カップの当日。今年の出走馬について、特に海外参戦馬のレヴェルの低さが話題になっていますが、アメリカのメディアでもこの問題に関する記事が掲載されていました。
アメリカは2年連続で参戦ゼロ。ジャパン・カップ設立の目的には日本馬のレヴェル・アップが挙げられていましたが、それは既に達成しています。この上はレースの質を維持することが課題と言えましょう。
この記事にはその辺りの経緯、アメリカの見解などが紹介されています。是非御一読を ↓

http://www.bloodhorse.com/horse-racing/articles/82141/japans-calling-but-is-america-listening

ということで昨日のアメリカ競馬、この記事にも触れられているように、ブリーダーズ・カップが終わるとアメリカもシーズンは事実上終了しており、消化試合的な様相を呈しているのは否めないでしょう。
2つの競馬場でG戦3鞍、最初はチャーチル・ダウンズ競馬場のリヴァー・シティー・ハンデキャップ River City H (芝GⅢ、3歳上、9ハロン)。good のコース、当初は15頭が登録し、このレース史上最多頭数になるかと思われていましたが、結局は5頭が取り消して10頭立て。アーリントンとケンタッキー・ダウンズで一般ステークスに2勝しているコールポート Coalport が5対2の1番人気に支持されていました。
しかし本命馬は後方のまま7着敗退の波乱、何と最低人気(45対1)のポトマック・リヴァー Potomac River が混戦を断つ大波乱となりました。スタートで外の馬に寄られ、更に内の馬にも挟まれて後方2番手からの競馬となったポトマック・リヴァーでしたが、このアクシデントに奮い立ったのか、向正面で徐々に進出、馬5頭分の外から4番手で直線に入ると、セット・ザ・セイル Set the Sail に2馬身差を付けていました。半馬身差でグランド・アーチ Grand Arch が3着。
セルジオ・パエス厩舎、フアン・ヴァルガス騎乗のポトマック・リヴァーは、前走芝のクレーミング戦で2着していた4歳馬。9月には初めて走ったG戦(ケンタッキー・カップ・ターフ・ステークス、芝GⅢ)で4着、そのあとホーソンの芝一般ステークスでも5着と一息足りない競馬が続いていました。もちろんG戦は初勝利です。

続いてデルタ・ダウンズ競馬場から、この競馬場で開催される唯二つのG戦を。デルタ・ダウンズ・プリンセス・ステークス Delta Downs Princess S (GⅢ、2歳牝、8ハロン)。馬場は fast 、7頭立て。7月のサラトガ開催初日にスカイラーヴィル・ステークス(GⅢ)を1着同着で制したバナー Bahnah が5対2で僅かながらの1番人気。
レースは伏兵ジップ・オン Zip On が引っ張り、2番手でマークしたバナーが交わして先頭に立ちましたが、外から並び掛けたのが4番手を追走していた4番人気(7対2)のテピン Tepin 。2頭が後続を引き離す叩き合いとなり、1馬身4分の1差で制したのがテピンでした。2着バナーと3着コンケーヴ Concave (ソレント・ステークスGⅡ勝馬、5対2、3番人気)との着差は5馬身4分の1と決定的なもの。メイトロン・ステークス(GⅡ)勝馬のミス・ビヘイヴィア― Miss Behaviour (5対2、2番人気)は5着と奮いません。
マーク・カッセ厩舎、ミグェル・メナ騎乗のテピンは、2戦目にチャーチル・ダウンズで初勝利。前走は同じチャーチル・ダウンズの一般ステークスで1番人気に支持されながら3着に終わっていました。これで晴れてG戦勝馬のタイトルを取得し、人気上位の馬と並んでいます。血統的にも、ジェローム・ステークス(GⅡ)、ガッサム・ステークス(GⅢ)を制したヴァイジャック Vyjack の半妹と、期待の1頭でしょう。

最後はデルタ・ダウンズ・ジャックポット・ステークス Delta Downs Jackpot S (GⅢ、2歳、8.5ハロン)。10頭が出走し、前走チャーチル・ダウンズの一般ステークス(ストリート・センス・ステークス)を制したコーストライン Coastline が8対5の1番人気。
しかしコーストラインはスタートで大きく躓き、後方からの苦しい競馬。結局これが最後まで響いて8着に大敗してしまいました。一方大外枠発走ながらすんなり先頭に立った2番人気(2対1)のライズ・アップ Rise Up 、直線でも後続を一方的に引き離し、2着カシクアポ Casiquapo に6馬身の大差を付ける圧勝劇です。1馬身4分の3差でランクハズブリヴィリッジズ Rankhasprivileges が3着。勝時計の1分44秒71はステークス・レコードのおまけ付きで、本命馬のアクシデントが無くともこの馬の強さは抜けていたように見えます。
トーマス・エイモス厩舎、ジェラール・メランソン騎乗のライズ・アップは、これで6戦4勝2着1回。着外は7月チャーチルのイロコイ・ステークス(GⅢ)6着のみ。前走の一般ステークス(6馬身半)に続く圧勝で、来年のケンタッキー・ダービーへの出走権10ポイントを獲得しました(来年のダービーもポイント制で争われます)。なお、メランソン騎手は2011年にセイバーキャット Sabercat でもこのレースに勝っており、唯一の2勝ジョッキーとなっています。

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください