東京フィル・第843回定期演奏会

今年最初の東フィル定期は1月も晦日、昨日サントリーホール定期を聴いてきました。月が替ってのレポートとなります。
そもそも今回は女流指揮者アロンドラ・デ・ラ・パーラという方が振る予定でしたが、出産予定とのことで早々と指揮者変更が告知されていました。プログラムは当初の予定から変更は無く、以下のもの。

バーンスタイン/「ウエスト・サイド物語」シンフォニック・ダンス
     ~休憩~
マーラー/交響曲第1番
 指揮/アンドレア・バッティストーニ
 コンサートマスター/荒井英治

実は美人という評判の若手指揮者を聴いてみたいという興味もありましたが、止むを得なければ仕方ありません。演奏者の代演は世の常。それにしても東フィルにはこういうケースが多過ぎるようにも感じます。私はここ3年ほど定期会員でしたが、指揮者変更は4回目じゃないでしょうか。
今回ピンチヒッターに立ったのは、去年の5月定期で客席を沸かせた若手のバッティストーニ。前回の評判と、本人のスケジュールが合致しての再演でしょう。

バッティストーニについては5月の印象とほとんど同じ。改めて日記を読み返してみましたが、何も付け加えることはありません。前回はお国物のレスピーギでしたが、今回はアメリカとドイツ作品。客席は今回も大騒ぎで、既に一定のファンを獲得したようでした。
プログラムの曲目解説では、バーンスタインとマーラーは意外な組み合わせというような主旨が書かれていましたが、何よりもユダヤ人音楽家という共通点があるでしょ。作曲家兼指揮者、ニューヨーク繋がりという解説もその通りですが、むしろその方が重要なポイントだと思います。

その意味では、バッティストーニの音楽性からはユダヤ性はほとんど感じられませんでした。自身の選曲じゃないということもありましょうが、私としてはかなり異質な印象を抱いてしまいます。
両曲とも元気一杯、指揮台で大暴れの爆演ですが、全て青信号で突っ走っているような演奏。マーラーにはもう少し屈折した皮肉が欲しいと思うのは私だけでしょうか。
その意味ではバーンスタイン作品の方に説得力がありましたが、本当の意味での音楽の「切れ味」が甘いようにも聴かれました。
若さ故の特権とも言えますが、やはり指揮という仕事には経験や年輪がモノを言う場面が遥かに多いと思います。時の経過を待ちましょう、と言っても彼が円熟するであろう頃には、こちらはこの世からおさらばしているはずですがね。

今回プログラムに挟まれていたチラシによると、先の5月定期のライヴ録音がCD化された由。その宣伝文句が大袈裟で、「これ以上のレスピーギが史上いつ聴けたのか、」とありました。これ以上のレスピーギをいくつか聴いてしまった当方としては苦笑せざるを得ません。CD業界の宣伝は何でもありなんですねェ~。

ところで東フィルは3月11日から23日まで創立100周年のワールド・ツアーを敢行するとのこと。楽団史上初とのことですが、アメリカ→ヨーロッパ→アジアと地球を一周する計画です。
指揮は大植英次、竹澤恭子がソリストを務め、全6公演を鑑賞する同行ツアーも組まれるそうです。こんな強行日程に同行する体力はありませんので、定期会員としては成功を祈念するしかないでしょう。ツアー支援の寄付も受付中です。

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