2013クラシック馬のプロフィール(9)
3回連続でクラシック馬のプロフィール、調べて書く方はかなりキツイものがありますが、フランス・ダービーを終えれば今年のシリーズも山を越したことになるでしょう。
ということでフランス・ダービー馬インテロ Intello の血統紹介です。
インテロは父ガリレオ Galileo 、母アンプレッショナンテ Impressionnante 、母の父デインヒル Danehill という血統。
父については省略ですが、ガリレオ産駒が仏ダービーを制したのは今回が初めてです。もちろん英仏ダービーを同じ年に制したのは記念すべきことでしょう。
母アンプレッショナンテ(2003年 鹿毛)は、実はクラシックをニア・ミスした馬。母の無念を仔が晴らしたダービーでもありました。
インテロと同じウェルザイマー兄弟の持馬で、調教師はクリストフ・ラッフォン=パリアス。2歳時には2戦してシャンティーの7ハロン戦で優勝、3歳初戦も勝って仏1000ギニーに挑戦しましたが、最後の直線で1着入線したプライス・タグ Price Tag が外に斜行したため不利を受けて3着入線。内を通ったタイ・ブラック Tie Black とは短首差でした。
審議となり、プライス・タグがアンプレッショナンテの進路を妨害したという裁決が下され、勝馬は3着降着。アンプレッショナンテは2着に繰り上がり、優勝はタイ・ブラックに転がり込みます。不利が無ければ勝負はもっと際どかったはずで、アンプレッショナンテは明らかにアンラッキーな敗者だったと言えましょう。このレースのゴール前の写真を見ると、アンプレッショナンテのオリヴィエ・ペリエ騎手が立ち上がるように馬を抑えているのが判ります。
アンプレッショナンテはクラシック惜敗のあと、ギニーと同じ距離のサンドリンガム賞(GⅡ)に優勝。牡馬に挑戦したジャン=プラ賞で6着、更にダスタルテ賞2着、フォレ賞8着で3歳シーズンを終了します。4歳時は3戦、前年も出走したダスタルテ賞が8着、パン賞5着、フォレ賞11着と精彩なく現役を引退。
繁殖に入っての初仔は、仏2000ギニー馬と良く似た名前のインテレト Intelleto (2009年 鹿毛 せん 父ピヴォタル Pivotal)。2歳時はウェルザイマー兄弟の持ち馬でフレディー・ヘッドが調教していましたが、3歳になって馬主が替り、小厩舎に移籍、結局は13戦して未勝利のままです。(現役を続けているかは不明)
インテロは、アンプレッショナンテの2番仔で、最初の勝馬でもあります。
2代母オキュパンディスト Occupandiste (1993年 黒鹿毛 父カルドウン Kaldoun)も第一級の競走馬で、フレディー・ヘッドの姉に当たるクリスティーネ・ヘッド=マーレク夫人が調教、生涯で14戦6勝の成績を残します。
2歳時、3戦目にシャンティーで初勝利を挙げると、続くレゼルヴォアール賞(GⅢ)に優勝。3歳時は体調を崩し、半年の休養を挟んで3戦未勝利。クラシックには乗れませんでしたが、4歳になって本格化。5戦して敗戦はリゾランジス賞の5着のみ、ポルト・マイヨー賞、モーリス・ド・ギースト賞(GⅠ)、遂にはフォレ賞(GⅠ、2着以下に6馬身差)を制してGⅠ馬となります。
しかし5歳になると成績は奮わず、ポルト・マイヨー賞5着、2連覇を目指したフォレ賞も7着に終わって繁殖に上がりました。
その主な産駒を生年順に列記すると、
2000年 ルイ・スール Lui Seul 鹿毛 牡 父サドラーズ・ウェルズ Sadler’s Wells 未出走
2003年 アンプレッショナンテ
2004年 オンリー・アンサー Only Answer 鹿毛 牝 父グリーン・デザート Green Desert アンドレ・ファーブル厩舎 13戦5勝 プティ・クーヴェール賞(GⅢ)、サン・ジョルジュ賞(GⅢ)の勝馬
2006年 デザーティスト Deserdiste 鹿毛 牝 父グリーン・デザート 7戦2勝 勝鞍はフランスのローカル競馬で、1000メートルと1750メートル戦
2009年 アクティヴィスト Activiste 鹿毛 牡 父ジャイアンツ・コーズウェイ Giant’s Causeway クリストフ・ラッフォン=パリアス厩舎 14戦1勝 勝鞍はシャンティーの7ハロン
2010年 モンディアリスト Mondialiste 鹿毛 牡 父ガリレオ フレディー・ヘッド厩舎 3戦未勝利
3代母オンリー・スール Only Seule (1988年 栗毛 父リファール Lyphard)はやはりウェルザイマー家の持ち馬で、クリスティーネ・ヘッド=マーレク夫人が調教。競走成績は2歳時のみで4戦1勝、勝鞍はドーヴィルでの1500メートル戦でした。
更に4代母エル・スール Elle Seule (1983年 栗毛 父イクスクルーシヴ・ネイティヴ Exclusive Native)もダスタルテ賞勝馬で、その母フォール・アスペン Fall Aspen (1976年 栗毛 父プリテンス Pretense)の華麗な子供たちの1頭。
自身もメイトロン・ステークス、アスタリア・ステークス、プライオレス・ステークスに勝ったフォール・アスペンは、恐らく世界の競馬史上でも繁殖牝馬として最も成功した1頭で、その成績は一覧表として紹介した方が判り易いでしょう。即ち、
1982年 ノーザン・アスペン Northern Aspen 鹿毛 牝 父ノーザン・ダンサー Northern Dancer ダスタルテ賞、ゲイムリー・ハンデの勝馬で、日本の桜花賞馬レジネッタの3代母
1983年 エル・スール 愛1000ギニー馬メーサーフ Mehthaaf 、ジュライ・カップ勝馬エルナディム Elnadim を出し、インテロの4代母
1985年 メッザカーノ Mezzacano 牡 父アレッジド Alleged グッドウッド・カップ勝馬
1986年 コロラド・ダンサー Colorado Dancer 黒鹿毛 牝 父シャリーフ・ダンサー Shareef Dancer ポモヌ賞勝馬で、チャンピオン・マイラーとなったドバイ・ミレニアム Dubai Millenium の母
1987年 ダンス・オブ・リーヴス Dance of Leaves 鹿毛 牝 父サドラーズ・ウェルズ クイーン・アン・ステークス勝馬チャーンウッド・フォレスト Charnwood Forest と、レーシング・ポスト・トロフィー勝馬メダーリー Meddaly の母
1989年 ハマス Hamas 黒鹿毛 牡 父ダンジグ Danzig ジュライ・カップ勝馬
1990年 フォート・ウッド Fort Wood 鹿毛 牡 父サドラーズ・ウェルズ パリ大賞典の勝馬
1992年 ティンバー・カントリー Timber Country 栗毛 牡 父ウッドマン Woodman プリークネス・ステークス、BCジュヴェナイル、シャンペン・ステークス勝馬で、ケンタッキー・ダービー3着
以上、聊か馬名を挙げ過ぎたかもしれませんが、それほどに名馬が続々と産まれているファミリー。近年の仏ダービー馬としては最も優れた血統の持ち主と言えるでしょう。
ファミリー・ナンバーは、4-m 。マンゴリア Mangolia を基礎牝馬とする牝系です。
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