2017グローリアス・グッドウッド3日目

前日雨が降り続いたグッドウッド競馬場、グローリアス・グッドウッド開催の3日目の馬場は更に悪化して soft 、所により heavy 。夏競馬というよりは冬の障害レースによくあるようなボコボコに掘れる極端な重馬場になったようです。
レディース・デイでもある3日目のG戦は3鞍ですが、前日の内に取り消した馬も多く、距離以上にスタミナが要求される結果となりました。

最初のリリー・ラングトリー・ステークス Lillie Langtry S (GⅢ、3歳上牝、1マイル6ハロン)は、2頭が取り消して10頭立て。距離は2800メートルほどですが、寧ろもっと長い方が適していると思われるエンドレス・タイム Endless Time が5対2の1番人気。前走アスコットのゴールド・カップ(GⅠ)にも出走した位ですが、アスコットは馬場が firm でスタミナ勝負にならず10着敗退。これは無視して良いというオッズでした。
5番人気(9対1)のダイアモンド・プール・モア Diamond Pour Moi が逃げましたが、先行していた3番人気(13対2)のドゥブカ Dubka が残り1ハロンで先頭に立ってスタンドから遠い側のラチ沿いに粘ります。そこに4番手から追う2番人気(11対2)のメロディック・モーション Melodic Motion と、中団に待機していたエンドレス・タイムが外から追い込んでの大接戦。結局、最後の一歩でエンドレス・タイムがドゥブカを首差で差し切り、同じく首差でメロディック・モーションと言う結果になりました。上位人気3頭による順当な決着。

チャーリー・アップルビー厩舎、ウイリアム・ビュイック騎乗、ゴドルフィンのエンドレス・タイムは、去年のランカシャー・オークス(GⅡ)に勝っている5歳馬。去年はそのあとヴェルメイユ賞と仏セントレジャーに古馬として出走して共に2着でした。
今期はヨークシャー・カップ(GⅡ)4着から始動し、前走のゴールド・カップは馬場が合わず敗退。今回は得意の馬場でスタミナを十二分に発揮し、恐らく次は愛セントレジャーに向かうでしょう。去年は共に2着だったヴェルメイユと仏レジャーももちろん選択肢で、何としても長距離GⅠ戦を手中に収めたいところです。

続いてはリッチモンド・ステークス Richmond S (GⅡ、2歳牡せん、6ハロン)。前日に2頭、当日の朝にも1頭の取り消しが出て7頭立て。ここは前走ニューマーケットでジュライ・ステークス(GⅡ)を制しているカードシップ Cardship が2対1の1番人気。
3番人気(4対1)の一角ヘッドウェイ Headway 1頭だけがスタンドに近い側を選び、残り6頭が馬場の中央を走るという面白い展開の中、5番人気(16対1)のグリーン・パワー Green Power の逃げ。カードシップは3番手から抜ける構えを見せましたが、後方に待機していた3番人気(4対1)のもう1頭バラケーロ Barraquero が素晴らしい脚で前を纏めて捉えると、2番手で粘る2番人気(3対1)のネボ Nebo に1馬身4分の1差を付ける快勝。カードシップは更に2馬身4分の1差の3着に終わっています。

勝ったバラケーロはブライアン・ミーハン厩舎、リリー・ラングトリーに続くG戦ダブルとなるウイリアム・ビュイック騎乗。前走チェプトウ競馬場の未勝利戦(6ハロン)を6馬身差で圧勝していましたが、その前のデビュー戦では、初日にヴィンテージ・ステークスを制したエクスパート・アイ Expert Eye の3着した馬。ミーハン師はこのレース3勝目となりますが、明らかに今回のバラケーロにGⅠ馬としての素質を認めているようで、次走はフランスに遠征してモルニー賞で早速GⅠ戦に挑みたい意向。モルニー賞には2日目にモールコム・ステークスを制したハヴァナ・グレイ Havana Grey も参戦を宣言しており、ドーヴィルを舞台に英国勢の活躍が見られそうです。
バラケーロには来年のコモンウェルス・カップに20対1、2000ギニーにも33対1のオッズが出されましたが、ミーハン師としては重の6ハロンを快勝した以上は1マイルにも自信を深め、2000ギニーの方に意欲を見せていました。

3日目の掉尾を飾るのが、今開催最後のGⅠ戦となるナッソー・ステークス Nassau S (GⅠ、3歳上牝、1マイル1ハロン197ヤード)。去年は最終日に行われていましたが、今年はレディース・デイのメイン・プログラムです。ここも早々と前日に3頭が回避を決定し、6頭立て。3歳馬3頭と古馬3頭の対決となりましたが、オブライエン師が敢えて挑戦させてきたウインター Winter が10対11の1番人気。対する古馬の首領格はゴスデン厩舎の秘蔵っ子ソ・ミ・ダー So Mi Dar の長く待たれたシーズン初戦で、これが4対1の2番人気で続きます。
ギニーを連覇してコロネーションも制したウインター、ここでは初距離となる1マイル2ハロン、重馬場、更に加えて古馬との初対戦と言う3つの壁が立ちはだかっているように見えましたが・・・。

ゴドルフィンの3番人気(6対1)でサン=タラリ賞を制した日本からも注目のソーベツ Sobetsu が逃げ、ウインターは3番手。1マイルを過ぎてからは本命馬のスタミナに観衆の目が一斉に注がれましたが、懸念は驚嘆に変わり、いつもの末脚を繰り出すと、後方から追い込む最低人気(16対1)のブロンド・ミー Blonde Me を1馬身半抑えて堂々人気に応えました。粘ったソーベツが首差の3着に入り、ソ・ミ・ダーは失望の5着に終わっています。
もちろん鞍上は今回もライアン・ムーア、これでGⅠ戦4連勝となるウインター、シーズン後半には新しい世界が拓けたようです。即ち2000メートルを、しかも極端な重馬場で制したということは、馬場も距離も問題ではないということ。もちろん強い世代の3歳牝馬、イネイブル Enable とはどちらが強いか、という興味も沸いてくるじゃありませんか。
このあとはジャドモント・インヴィテーショナル、愛チャンピオン・ステークス、そして凱旋門賞というローテーションも、オブライエン師は排していません。愛チャンピオンのオッズはレース前の8対1から3対1に上がり、更には凱旋門賞にも12対1のオッズが出されています。未だ「もしかすると」の段階ですが、今年の凱旋門賞はイネイブル vs ウインターという飛んでもない決戦の舞台になるかもよ。

ところでエイダン・オブライエン厩舎、ナッソー・ステークスは去年のマインディング Minding に続く連覇で、通算では4勝目。ムーア騎手も連覇で2度目となりました。そのムーア騎手、これがGⅠ戦、節目となる100勝目に当たるのだそうな。レース後に知らされましたが、本人は全く知らなかったとのこと。もちろん100勝の中には日本での勝利も含まれます。

 

 

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