ワン・ツー・フィニッシュ3態

先週末はアメリカ競馬レポートもサボっていました。遅れ馳せながら3月22日のG戦を取り上げて行きましょう。

最初はアケダクト競馬場のエクセルシオ・ステークス Excelsior S (GⅢ、3歳上、9ハロン)。ニューヨークも来月から本格的なGⅠ戦線がスタートしますが、これは先ずその前哨戦でしょう。fast の馬場に1頭が取り消して6頭立て。ゴドルフィンの勝負服を着た2頭の有力馬が、馬券上もカップリングされて1対5の断然1人気に支持されていました。3連勝中のロング・リヴァー Long River と、去年11月にディスカヴァリー・ハンデ(GⅢ)を制したロマンシュ Romansh です。
逃げたのは2番人気(4対1)のパーカッション Percussion 、これをロマンシュ、ロング・リヴァーのゴドルフィン・ペアが2・3番手で追走します。先に先頭に立ったのはロマンシュ、これを直線半ばでロング・リヴァーが捉えましたが、内で粘るロマンシュが差し返し、首差でゴールイン。いずれにしても、人気通りゴドルフィンのワン・ツー・フィニッシュで決着しました。3着は4馬身4分の1差と開いてパーカッションの逃げ粘り。1・2着は厩舎こそ違いますが、鞍上はオルティス兄弟とジョッキーもワン・ツー・フィニッシュです。
トーマス・アルベルティーニ厩舎、ホセ・オルティス騎乗のロマンシュは、前走ドン・ハンデ(GⅠ)では11着と大敗。その前のディスカヴァリーには勝ったものの、それに先立つペンシルヴァニア・ダービー(GⅡ)では6着とムラ駆けタイプの馬。実力はありながらもコースや馬場状態で走ったり走らなかったりが極端に分かれてしまうようです。

次にガルフストリーム・パーク競馬場からインサイト・インフォメーション・ステークス Inside Information S (GⅡ、4歳上牝、7ハロン)。こちらも fast 、7頭が出走してきました。ウルフソン厩舎が3頭出しで臨みましたが、軍団のエース格で前走バーバラ・フリッチー・ハンデ(GⅡ)で1番人気になりながら3着に終わったセントリック Centrique が7対5の1番人気。
そのセントリック、スタートで隣の馬と接触し最後方からの競馬となる不利。5番手まで上がるのがやっとの内容で、結局は5着と期待を裏切ります。逃げたファイヴ・スター・モンマ Five Star Momma を3番手で追走した3番人気(9対2)のハート・スティーラー Heart Stealer が抜け出し、これをマークするように追走していた2番人気(4対1)マイ・パル・クリスティー My Pal Cristy に2馬身差を付けて優勝。本命馬に替ってもウルフソン厩舎のワン・ツー・フィニッシュとなりました。更に1馬身半差で逃げたファイヴ・スター・モンマが3着。
マーチン・ウルフソン厩舎、ジョエル・ロザリオ騎乗のハート・スティーラーは、去年12月にシュガー・スワール・ステークス(GⅢ)に勝っている4歳牝馬。前走2月のハリケーン・バーティー(GⅢ)ではチャンピオンのグルーピー・ドール Groupie Doll に及ばず5着に敗れていました。古馬スプリンターの新チャンピオンを目指す1頭です。

続いてポリトラック・コースを舞台とするターフウェイ・パーク競馬場からクラシックに繋がる二つの前哨戦を見ていきましょう。最初はケンタッキー・オークスに向け勝馬に50ポイント加算対象となるバーボネット・オークス Bourbonette Oaks (GⅢ、3歳牝、8ハロン)。1頭が取り消して11頭立て。2対1の1番人気は、2戦2勝でステークスに初めて挑戦するプレッチャー厩舎のスローン・スクエア Sloane Square です。
ストーミー・ノヴェル Stormy Novel の逃げをピタリと2番手に付けたスローン・スクエア、直線抜けて3連勝かと思われましたが、4番手から追い上げた2番人気(7対2)オーレリアズ・ベル Aurelia’s Belle の伸び脚に2馬身4分の1差交わされて初黒星を喫しました。更に2馬身半差でケイティーズ・アイズ Katie’s Eyes が3着。
ウェイン・カタラーノ厩舎、チャニング・ヒル騎乗のオーレリアズ・ベルは、去年10月にキーンランドのポリトラック・コースでデビュー勝ちした馬。その後オールド・ハット(GⅢ)3着、フォワード・ギャル(GⅡ)2着、ダヴォナ・デール(GⅡ)3着とダートでは惜敗してきた馬。今回はポリトラックに戻ってステークス初制覇を果たしました。50ポイントを獲得してオークスを目指すと思われますが、ダート・コースでも能力を発揮できるかが課題と言えそうです。

そして牡馬のスパイラル・ステークス Spiral S (GⅢ、3歳、9ハロン)。こちらはダービーに向けて勝馬に50ポイントが加算されます。出走馬は12頭、GⅠ(デル・マー・フューチュリティー)馬で前走エル・カミノ・レアル・ダービー(GⅢ)にも勝っているタマランド Tamarando が2対1の1番人気。
レースはソリタリー・レンジャー Solitary Ranger 、オールモスト・フェイマス Almost Famous 、ハリーズ・ホリデイ Harry’s Holiday が雁行するように引っ張る流れ。タマランドは前3頭からやや離れた中団を進みます。しかし3頭の先行争いを競り勝ったハリーズ・ホリデイを捉えたのは、前半7番手に控えていた2番人気(7対2)のウィー・ミス・アーティー We Miss Artie 。ゴール寸前で粘るハリーズ・ホリデイをハナ差捉えていました。3着は頭差の接戦で4番手から追い込んだコーストライン Coastline 、タマランドは奮わず8着敗退です。
トッド・プレッチャー厩舎、ジョン・ヴェラスケス騎乗のウィー・ミス・アーティーは、前走ファウンテン・オブ・ユース(GⅡ)で8着大敗して1番人気を譲っていましたが、2歳時にはキーンランドのブリーダーズ・フューチュリティーを制してGⅠ馬になっていた存在。得意のポリトラック・コースで見事に復活して見せた形でしょう。2歳時GⅠの10ポイントに加えて今回の50ポイント、通算60ポイントは現時点でのトップ。オーナーのラムゼー夫妻は他にダービー候補2頭を擁しており、3頭が全て順調にダービーに出走することが念願でしょう。

最後はサンタ・アニタ競馬場のサン・ルイ・レイ・ステークス San Luis Rey S (芝GⅡ、4歳上、12ハロン)。かつてはGⅠだったこともあり、今年64回目を迎える芝の長距離戦。まあ、アメリカ版の阪神大賞典と言ったところでしょうか。firm の馬場に僅か5頭立て。4対5の1番人気は、アイルランドから転籍しアメリカでもデル・マー・ハンデ(芝GⅡ)、サン・マルコス(芝GⅡ)に勝っているヴァガボンド・シューズ Vagabond Shoes 、ここでは格上と言う評価です。
しかし悲劇が起きます。半マイル地点で後方に待機していたヴァガボンド・シューズに故障発生。左後脚の骨折で、結局は安楽死処分をせねばならぬ重傷でした。レースは悲劇を尻目に行った行ったの展開。結局はスタートからゴールまで同じ順位で流れ、4番人気(10対1)ファイア・ウィズ・ファイア Fire With Fire の逃げ切り勝ち。半馬身差で終始2番手追走の3番人気(3対1)ルカイヤン Lucayan が2着、2番人気(5対2)テメレーヌ Temeraine が追い込むもハナ差届かず3着と、小頭数には有り勝ちな波乱となってしまいました。
このレース6度目の勝利となるネイル・ドライスデール師は、2着ルカイアンとでワン・ツー・フィニッシュ。鞍上はタイラー・ベイズでした。因みにこの伝統の芝戦で最多勝利調教師のタイトルホルダーは、故チャーリー・ウィッティンガム師の9勝。その記録にあと3勝に迫ったドライスデール師です。ファイア・ウィズ・ファイアは、去年のこのレースの3着馬。前走は一般ステークス勝ちで、今回がG戦初勝利となりました。

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