2000ギニーの本命はこの馬

4月も中旬に入り、漸くイギリスの平場シーズンも本格的にスタートした感があります。ポリトラックのウインター・ダービーを別にすれば、昨日のニューバリー競馬場で行われたG戦3鞍が事実上英国最初のパターン・レースとなります。

この日の馬場は good 、所により good to soft 。最初は古馬の長距離戦、ジョン・ポーター・ステークス John Porter S (GⅢ、4歳上、1マイル4ハロン5ヤード)。取り消しが1頭あり9頭立て。3歳時にゴードン・ステークス(GⅢ)に勝ち、去年の最終戦でドラー賞(GⅡ)4着だった5歳馬ノーブル・ミッション Noble Mission が11対4の1番人気。

レースはニアリー・コート Nearly Caught の逃げで始まり、後方を進んだノーブル・ミッションが残り3ハロンでスパート。同じく先行から抜け出した4番人気(7対1)キュバニータ Cubanita との叩き合いとなり、残り1ハロンは2頭のマッチレース。結局キュバニータが本命ノーブル・ミッションを首差抑えて優勝。1馬身4分の1差3着には最低人気(33対1)のラワキ Rawaki が突っ込んでスタンドを驚かせました。
レイフ・ベケット厩舎、ジム・クロウリーが騎乗したキュバニータは、去年の最終戦で同じニューバリー、同じ距離のセント・サイモン・ステークス(GⅢ)に勝っており、これでGⅢに連勝。今回はGⅢ勝のペナルティーとして3ポンドの加増にも拘わらず快勝。コースと馬場のスペシャリストとしての特質も明らかにしたようです。

続いて1000ギニーのトライアルとしての位置付けのフレッド・ダーリング・ステークス Fred Darling S (GⅢ、3歳牝、7ハロン)。こちらは2頭が取り消して11頭立て。2歳最終戦のBCジュヴェナイル・フィリーズでは着外に終わったものの、その前にロックフェル・ステークス(GⅡ)に勝っているアル・サキーラ Al Thakhira が11対4の1番人気。GⅡ勝のペナルティーはありません。鞍上はフリーとなったランフランコ・デットーリ。

スペンサー騎乗のヴァローニア Valonia が逃げ、後方待機のアル・サキーラと、中団に付けていた並んだ2番人気(4対1)のジェイ・ワンダー J Wonder がほぼ同時にスパート。2頭の叩き合いを制したのは、ジミー・フォーチュンが手綱を取るジェイ・ワンダーで、アル・サキーラとは頭差でした。1馬身4分の1差3着にはフランケル Frankel の半妹で2番人気の一角ジョユーズ Joyeuse 。この上位3頭は何れもクラシックで活躍が期待できそうな印象でした。
トライアルを制したジェイ・ワンダーは、ブライアン・ミーハン師の管理馬。2歳時ニューマーケットのナーザリー戦を含めて2連勝したあと挑戦したラウザー・ステークス(GⅡ)では7着と敗退しましたが、そのあとジックリと成長・調教に費やしての3歳デビュー戦。英仏両ギニーに登録があり、英1000ギニーには12対1のオッズが出されました。
一方2着に終わったアル・サキーラ陣営は、7ハロンがベストとの見方ながらも仏1000ギニーにはチャンスありと考えている由。出否は馬場状態がカギになるでしょう。またレディー・セシルが管理する注目のジョユーズも英仏ギニーに登録があり、こちらも動向から目が離せません。

最後は2000ギニーを占う重要な一戦、グリーナム・ステークス Greenham S (GⅢ、3歳、7ハロン)。予定通り10頭が出走、前年のソラリオ・ステークス(GⅢ)勝馬で2戦無敗のキングマン Kingman が15対8の1番人気。

3番人気(11対2)のアステア Astaire が逃げましたが、先行していたキングマンが残り1ハロン出抜け出すと、あとは1頭だけの競馬。2番人気(11対4)のナイト・オブ・サンダー Night Of Thunder が順当に2着に食い込みましたが、着差は4馬身半と開いていました。更に2馬身4分の3差で最低人気(80対1)のマスター・カーペンター Master Carpenter が3着に入り、逃げたアステアは5着。
ハーリッド・アブダッラー殿下のジャドモント・ファームが所有するキングマンは、ジョン・ゴスデン厩舎、ジェームス・ドイル騎乗。これで無傷の3連勝、勝タイムは牝馬のフレッド・ダーリング・ステークスより2秒も速く、2000ギニーのオッズは7対4に上がって目下2000ギニーの本命。今年最初のクラシックはキングマン中心に展開することは間違いなさそうです。2着に来たハノン/ムーア・コンビのナイト・オブ・サンダーは完敗を認め、むしろ仏2000ギニーに活路を見出したいとのコメントが出されました。

昨日はアイルランドのネイヴァン競馬場でもクラシック、というよりダービーのトライアルとなるバリーサックス・ステークス Ballysax S (GⅢ、3歳、1マイル2ハロン)が行われました。 去年まではレパーズタウン競馬場で施行されていたレースですが、何故今年はネイヴァンなのか、今後もここに移して行われるかについては未だ調べが付いていません。
soft の馬場に8頭が出走し、3月23日にカラーの新馬戦をデビュー勝ちしたアンサード Answered が7対4の1番人気に支持されていました。

ステアバウト Stirabout が逃げ、先行した6番人気(25対1)のオール・セット・トゥー・ゴー All Set To Go が一旦先頭に立って逃げ切りを図りましたが、5番手に付けていたアンサードをマークするように追走していた2番人気(5対2)のファシネイティング・ロック Fascinating Rock が一気に抜け出してリード。最後にアンサードも追い上げましたが、オール・セット・トゥー・ゴーを短頭差捉えたのがやっと。勝馬とは2馬身半差が付いていました。チーム・オブライエンの3番人気(4対1)カルロ・ブガッティ Carlo Bugatti も接戦に加わったものの最後は交わされて4着。
デルモット・ウェルド厩舎、パット・スマーレン騎乗のファシネイティング・ロックは、2歳時は1戦して5着。今期3月30日にレパーズタウンの10ハロン戦で初勝利を挙げたばかりですが、出走馬中10ハロンを経験したのはこの馬だけでした。今週の登録締め切りで8000ポンドを支払って英ダービーに追加登録を済ませ、恐らくもう1戦を試走してからエプサムを目指すと思われます。

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