ブルー・グラスはダンス・ウィズ・フェイト
これから昨日の土曜日のアメリカ競馬をレポートして行きますが、未だ体調は完璧にはほど遠く、今回も3回程度に分割しながら書いていきます。まぁ、今日中には何とか終わるでしょう。
ということで最初は4月短期集中開催のキーンランド競馬場から。GⅠ3鞍を含むG戦5レースの盛り沢山から、最初はポリトラック・コースのコモンウェルス・ステークス Commonwealth S (GⅢ、4歳上、7ハロン)。2頭が取り消して10頭立て、BCスプリント2着ながらその後勝ち運に恵まれていないラフ・トラック Laugh Track が9対5の1番人気。
レースはスタートして暫くは激しいハナ争いが繰り広げられ、最終的に逃げたのは5番人気(7対1)のディメンジョン Dimension 。そのまま逃げ切るかと思われましたが、前半は後方2番手に控えていた2番人気(9対2)のオケージョナル・ヴュー Occasional View が外を回って鋭く伸び、ディメンジョンを1馬身捉えて優勝。ラフ・トラックも後方から追い上げましたが、1馬身4分の3馬身及ばずまたしてもの3着。
ケネス・マクピーク厩舎、アラン・ガルシア騎乗のオケージョナル・ヴューは、クレーミング戦で陣営がコンバートした6歳せん馬で、ポリトラック・コースを得意とする馬。前走は初めて体験したオークローン・パークの一般ステークスで9着に敗れていました。ポリトラックでは5勝目、ステークスでも二度入着した経験もあります。
キーンランドの二つ目はシェイカータウン・ステークス Shakertown S (芝GⅢ、4歳上、5.5ハロン)、同じ短距離でも firm のコースで行われた芝戦です。1頭取り消しの12頭立て。BCターフ・スプリントでは10着に敗れたものの、去年のこのレースを制したハヴロック Haverock が3対1の1番人気。
抜群のスタートでハナを奪った10番人気(23対1)のマーチマン Marchman がそのまま快調に飛ばし、最後もインコースを衝いて伸びる最低人気(33対1)のポジティヴ・サイド Positive Side を首差抑えて優勝、大荒れの結果になってしまいました。4分の3馬身差で3番人気(6対1)のサムシング・エクストラ Something Extra が3着に入り、ハヴロックは後方のまま7着惨敗。
ブレット・カルホウン厩舎、ロビー・アルバラード騎乗のマーチマンは、もちろんこれがG戦初勝利。一月前の前走フェアグラウンズの一般ステークスでは逃げて3着に終わっていました。このとき勝ったガントリー Gantry も出走していましたが、中団のまま6着に終わっています。競馬はやって見なければ判りません。同馬の通算成績は、これで12戦3勝2着2回3着3回。
このあとはGⅠ戦3連発となり、先ずは古馬牝馬の短距離戦、マジソン・ステークス Madison S (GⅠ、4歳上牝、7ハロン)。1頭取り消して8頭立て。前走サンタ・アニタのラス・フローレス・ステークス(GⅢ)でシーズン・デビューを飾ったジュディー・ザ・ビューティー Judy the Beauty が3対5の1番人気。前の二つのステークスでは本命馬が敗れていましたから、これも多少の不安が過ります。
しかし3番人気(7対1)エデン・プレーリー Eden Prairie の逃げを4~5番手で追走したジュディー・ザ・ビューティー、直線では馬場の中央を鋭く伸び、2番人気(6対1)ベター・ラッキー Better Lucky の追い込みを2馬身半差抑えて堂々人気に応えました。3着は2馬身4分の1差で4番人気(8対1)のアブロボス Apropos と順当。
同馬のオーナーでもあるウェスリー・ウォード厩舎、ジョン・ヴェラスケス騎乗のジュディー・ザ・ビューティーは、ここキーンランドでは4戦4勝、ポリトラックでも6戦5勝とコース得意の馬。去年10月にはサラブレッド・クラブ・オブ・アメリカ・ステークス(GⅡ)では短距離チャンピオンのグルーピー・ドール Groupie Doll を破って優勝。BCフィリー・アンド・メアではグルーピー・ドールの2着とライヴァル関係にあったスプリンター。念願のGⅠ初制覇で、グループ―・ドールの後継馬を目指します。
続いて古馬牝馬の芝戦、ジェニー・ワイリー・ステークス Jenny Wiley S (芝GⅠ、4歳上牝、8.5ハロン)。10頭が出走し、2011年のBCジュヴェナイル・フィリーズ・ターフの勝馬でGⅠ馬のステファニーズ・キッテン Stephenie’s Kitten が3対1の1番人気。
ダッシュ良く飛び出したクラウド・スペイシズ Cloud Spaces が逃げ、ステファニーズ・キッテンは中団待機。馬群がバラけぬまま直線に入る大混戦。最後は5頭が一線に並ぶ際どい勝負を制したのは、7番手で直線に入り、思い切りよく内ラチ沿いを衝いて伸びた7番人気(13対1)ハード・ノット・トゥー・ライク Hard Not to Like による番狂わせ。写真判定の結果、半馬身差の2着は3番人気(4対1)のディスクリート・マーク Discreet Marq が入り、以下ハナ差でアバコ Abaco 、頭差でエモーショナル・キッテン Emotional Kitten 、同じく頭差で2番人気(7対2)センター・コート Centre Court (5着)の順。ステファニーズ・キッテンは前が開かない不利もあって8着に終わりました。
マイケル・マッツ厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のハード・ノット・トゥー・ライクは、これがステークス3勝目でG戦は去年のマーシュアズ・リヴァー・ステークス(芝GⅢ、ガルフストリーム)に続く2勝目。前走もガルフストリームの芝クレーミング戦に勝っての参戦でした。一昨年はアシュランド・ステークス(GⅠ)で2着の実績もありますが、父ハード・スパン Hard Spun は現在日本で供用中の種牡馬。今年の種付け料は400万円とお手頃だそうです。
キーンランド最後はダービーへの道、ブルー・グラス・ステークス Blue Grass S (GⅠ、3歳、9ハロン)。長年トヨタがスポンサーになっていることでも馴染のレースですね。出走枠を超過した1頭が除外となり14頭立て。BCジュヴェナイル・ターフの3着馬で前走も芝のアローワンス戦を快勝したボビーズ・キッテン Bobby’s Kitten が、ポリトラック・コース・デビューながら7対2の1番人気。
7番人気(9対1)のパブロ・デル・モンテ Pablo Del Monte が先頭に立った以外は多頭数ということもあってゴチャついた流れ。先頭で直線に入ったパブロ・デル・モンテが粘るところ、前半10番手から外を通った3番人気(6対1)のダンス・ウィズ・フェイト Dace With Fate が抜け出し、これも中団から抜けてきた同じ3番人気、1週前にトランシルヴァニア・ステークス(GⅢ)に勝ったばかりのメダル・コート Medal Court を1馬身4分の3差抑えて優勝。同じく1馬身4分の3差でパブロ・デル・モンテが3着に粘りました。失望は人気のボビーズ・キッテンで、レース半ばでは行く気を失くして12着大敗。やはり懸念されたポリトラックが全く合わない様子でした。
ピーター・ユートン厩舎、コーリー・ナカタニ騎乗のダンス・ウィズ・フェイトは、ゴールデン・ゲートのタペタ・コースで行われたエル・カミノ・レアル・ダービー(GⅡ)の2着馬。BCジュヴェナイルは8着に終わっており、ダート・コースでは良い結果が出ていません。今回は初遠征での勝利でダービー出走資格を得ましたが、ユートン師はケンタッキーのダートには懐疑的。ダービー参戦は未定の状態です。
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