読売日響・第492回名曲シリーズ

昨日は池袋の東京芸術劇場で読売日響の名曲シリーズを聴いてきました。以下のもの

ウェーバー/歌劇「オベロン」序曲
ブルッフ/ヴァイオリン協奏曲第1番
~休憩~
ムソルグスキー=ラヴェル/組曲「展覧会の絵」
指揮/パオロ・カリニャーニ
独奏/川久保賜紀
コンサートマスター/デヴィッド・ノーラン
フォアシュピーラー/小森谷巧

カリニャーニ・ファンの方はお読みにならない方が良いでしょう。ここでこの日記は閉じてください。
会場に着くと貼り紙。ソリストが交代するという公告です。予定のジャニーヌ・ヤンセンが急病のため出演不能になった由。
ホームページに案内があったようですし、私も噂で知っていましたが、大半の方はこの場で知ったのじゃないでしょうか。

楽員が登場してきてまたビックリ。何とティンパニに菅原淳氏が座っているではありませんか。確か先月の名曲シリーズで大きな花束を贈られ、賑々しく退団されたはず。
本来ティンパニを叩く方が急病でピンチヒッターなのか、と勘繰ってしまいました。別に構いませんよ。名手が思いもかけず戻ってきたんですから歓迎です。でもねぇ、何か狐に摘まれたような・・・。

ということでカリニャーニ登場。私は2回目です。前回は正直、あまり感心しませんでした。サントリーの定期です。特にモーツァルト。ミューザのウェーベルンは凄く良かった。
さて序曲が始まり、アレグロに入ります。どうも動きが重いし、弦のアンサンブルもピリッとしません。第一鳴りませんね。重く垂れ込めた湿気の所為でしょうか。

それは次の協奏曲でも同じ。川久保さんのソロも見事なのですが、一つ冴えません。前回エルガーであれほど艶っぽく、作品の核心に迫る名演を披露してくれたのと同じ人とは思えません。これも湿気故? 演奏中も笑顔がほとんどなく、自身に不満があるような感じ。オーケストラもいつものような乗りが感じられませんでした。
原因は湿気だけかしら・・・。
(序曲は16型で始めましたが、協奏曲は12型に一気に落としました)

最後のムソルグスキー=ラヴェルは流石に名人オケ。それなりに聴かせました。でも何か足りない。
今日の作品全てに言えることなのですが、スコアを譜面どおり音にするとこうなります、という手本のような演奏で、ナマ演奏に欲しい感動が無いのです。言葉は悪いけれど、リハーサルを聴いているような感想。作品に対する愛情不足というか、読み込みがイマイチなんです。

一例をひけば「リモージュ」。この細かい弦のパッセージを歌います。しかし私の好みから言うと歌い過ぎる。ウェーバーの最初のテーマと同じで、あまりにもカンタービレなので推進力が殺がれてしまうのです。いや、私にはそう聴こえてしまう。やはりイタリアのオペラ指揮者なんですねぇ。
どちらにしても、作品と演奏スタイルが完全に一致しているようには聴こえてきません。

これをカリニャーニの責任と決め付けるのは酷でしょう。やはりピンチヒッターというアクシデントがマイナスに作用した、と考えたいですね。こんな実力じゃないはず。次回は自身のプログラムで、完全に共感できる作品を聴いてから判断したいと思います。
こちらも悪いんです。直近のことで言えば、広上=ラフマニノフ、大友=エルガーというマエストロの思い入れの強い作品を堪能したばかり。読売日響を例にとっても、今期はスクロヴァチェフスキ、テミルカーノフと最高クラスの音楽をいきなり聴いてしまった。
それがクライツベルク、若杉、カリニャーニと続いて反動もあるのだと思います。
早くスクロヴァチェフスキが聴きたい!!

ということで、次回の定期はパスすることに決心がつきました。
ところで、
カリニャーニさん、フランクフルト歌劇場のGMDを2008年限りで退かれるそうですね。理由は明確にしていません。関係者はガッカリしているようですが、後任探しも迅速で、セバスチャン・ヴァイグレに決まったそうです。あのヴァイグレ、ロットのヴァイグレですよ。
フランクフルトは戦後ショルティが監督になり、以下マタチッチ、ドホナーニ、ギーレン、ベルティーニ、カンブルランと日本にも馴染み深いマエストロに引き継がれてきました。しかし何故かレヴェルが低下していたようで、カリニャーニはそれを活性化、復活させたと評判でしたね。何年か前にはヨーロッパの最良歌劇場にも選ばれたほど。

9年間の実績で退任されるようですが、今後は何処のポストに就くんでしょうか。2008年にはメトロポリタンでもデビューするそうです。
カリニャーニは何と言ってもオペラの指揮者なのでしょう。ヴェルディやプッチーニの歌劇をジックリ聴いてみたいものです。
ということで、残念ながらカリニャーニは今の所私には相性の悪いマエストロ。

 

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