日本フィル・第229回横浜定期

昨日は横浜に遠征しました。といっても30分で着いちゃう。以下のもの。

日本フィルハーモニー交響楽団 第229回横浜定期演奏会
2007年7月7日 みなとみらいホール
ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第3番
~休憩~
ラフマニノフ/交響曲第2番
指揮/広上淳一
独奏/小山実稚恵
コンサートマスター/扇谷泰朋

なぁに、七夕、全て7繋がりのラッキー・コンサートです。
実際、いろいろラッキーがありました。
今回は奥田氏のプレトークも聞こうと思ったので5時半には会場入りしたのですが、人でごった返していました。聞けばチケット完売なのだそうです。日本フィルは横浜は人気があるけれど、東京はガラガラ。何で?

奥田さんの話も参考になりました。第3協奏曲の冒頭のテーマも、第2交響曲の序奏も、ロシア聖歌の旋律なんだそうです。
広上の第2については、湾岸戦争当時にイスラエル・フィルと何度も演奏した曲とのこと。
何でもメータに呼ばれて行ってみると、戦争のためにコンサートが暫く中止になっており、広上登場は演奏会そのものが3ヶ月振りだった由。何万人もいる定期会員のために、1日2回、月曜から金曜までの毎日これを演奏したのだそうですね。このイスラエル公演だけでも10回は指揮した。
広上追っかけ氏、奥田さんならではの解説。

演奏も良かったですね。ラフマニノフの大曲2曲は時間的にも大変、交響曲も一切のカット無し全曲版でした。
(都響のデ・プリーストはフィラデルフィア出身なので、未だにオーマンディによるズタズタ版で演奏したそうな。そんな指揮者まだいるんだぁ~、と妙な感心)
あとで聞いた話ですが、金曜日の埼玉では雑音を立てないために空調を切って演奏したそうです。しかも第1楽章の繰り返しを実行したこともあって、プレイヤーはヘトヘトになっていたようですね。従って、横浜では繰り返しはカットしました。

演奏は素晴らしいものでした。前日のエピソードなどは微塵も感じさせず、客席は集中力も充分。特に第3楽章の美しさは絶品。私はマーラーの第5交響曲のアダージェットを連想したほどに内面的な充実を感じました。さすが十八番。

前半の協奏曲にも大きな収穫がありました。オーケストラの素晴らしさは言うまでもないのですが、ソロが良かったですネェ。
小山さんはこれまでパワーだけで弾きまくる、という印象でしたが、肩の力が抜けてきました。まだ音の濁る欠点は多少残っているものの、この夜は絶妙なピアニシモを表現していました。
このお陰で、作品に立体的な深みが生まれ、単なるピアニズムを超越してラフマニノフ作品の真価が出てきています。
彼女のベストワンはラフマニノフの第3協奏曲でしょう。それでも謙虚な所がいいですね。

それにしても広上=コンチェルトは、ソリストにとっては余程演奏し易いバックなのでしょう。それが証拠に札幌の小菅さんも今日の小山さんも、演奏が終わった途端にマエストロに抱きついていましたからね。

コンサートの最後にアンコールがありました。この場合はこれしかないでしょうね。「ヴォカリーズ」
最初から最後まで、ラフマニノフの魅力にドップリと浸かり、現実の時間は延々2時間を大分越えてはいたものの、長さを全く感じさせないコンサートでした。

コンサート終了後、恒例のミニパーティーがありました。入団間もない美しいフルート奏者たちの3重奏が聴ける(見れる)、とあって、こちらも大混雑。ホールの片隅、柱の影で談笑する広上・小山の姿もありました。
我々は中途で退席、久し振りに桜木町に出て、ワシントンホテルのイタリアンを楽しみました。

 

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