タラモ騎手、逃げ切ってGⅠ戦ダブル達成

スポーツ界の話題は南米に移ってしまいましたが、競馬も普段通りに行われています。土曜日のアメリカ競馬は3場でG戦7鞍。GⅠも3鞍組まれており、話題には事欠きません。レースが行われた順に紹介して行きます。

最初は東海岸のデラウエア・パーク競馬場から、オベアー・ステークス Obeah S (GⅢ、3歳上牝、9ハロン)。fast の馬場に8頭立て。2対1の1番人気に支持されたのは、モンマス・ビーチ・ステークス(一般ステークス)で2着して来たズッキーニ・フラワー Zucchini Flower 。去年の同じレースに勝っている5歳馬です。
レースは1枠発走の最低人気(35対1)デイドリーミン・グレイシー Daydreamin Gracie が逃げ、ズッキーニ・フラワーは4番手追走。2番手に付けていた2番人気(5対2)のモンタナ・ネイティヴ Montana Native が仕掛けて前を捉えて直線に向いた所、前半は最後方で待機していた3番人気(7対2)のガメイ・ノワール Gamay Noir が一気に仕掛けて外から先行馬に並び掛け、直線の叩き合いでモンタナ・ネイティヴに半馬身差を付けて優勝。頭差でブービー人気(12対1)のアンブッシャ― Ambusher が3着に追い込み、ズッキーニ・フラワーは4着敗退。
マーチン・ウルフソン厩舎、ダニエル・センテーノ騎乗のガメイ・ノワールは、今年3月29日にガルフストリーム・パークのランパート・ステークス(GⅢ)で大穴を開けた(49対1)馬。その後4月19日にホーソンでシックスティー・セイルズ・ハンデ(GⅢ)で3着してここに遠征していました。ガルフストリームで大穴を出した時も最後方から一気の競馬で、これがこの馬のスタイルなのでしょう。嵌った時の一発が怖い。

続いては西海岸のサンタ・アニタ競馬場に飛んでGⅠ戦を2鞍。シューメーカー・マイル・ステークス Shoemaker Mile S (芝GⅠ、3歳上、8ハロン)はハリウッドでプレミエ・ハンデとして創設されたレースですが、今年からサンタ・アニタに移行。去年同様勝馬にはBCマイル(芝GⅠ)への優先出走権が付与されます。firm の馬場に7頭立て。去年の勝馬で前走アメリカン・ステークス(芝GⅢ)を逃げ切ったオビアスリー Obviously が8対5の1番人気。
前走、そして去年と同様に逃げたオビアスリー、さすがに最後は一杯になりましたが、持ち前のスピードを活かして逃げ切り勝ち、2連覇を達成しました。先行3頭が4番手以下を大きく引き離す展開でしたが、勝馬を追った2頭がバテ、後続から追い上げた4番人気(6対1)のサマー・フロント Summer Front が2着。更に半馬身差の3着には、5番人気(8対1)のトムズ・トリビュート Tom’s Tribute と6番人気(9対1)のシレンティオ Silentio が同着でした。
去年までマイク・ミッチェル厩舎に所属していたオビアスリー、今年からはフィリップ・ダマト師が管理しています。鞍上はジョセフ・タラモ。同馬にとってはこれがG戦7勝目、優先出走権を得て参戦した去年のBCマイルは5着でしたが、今年もアメリカン→シューメーカーと同じ路線で連勝し、今年こそ優勝を狙います。シューメーカー2連覇は5頭目、他に隔年で二度勝った馬もいて、6頭目のダブル達成でもありました。

直後に行われたヴァニティー・ステークス Vanity S (GⅠ、3歳上牝、9ハロン)。2008年から10年までゼニヤッタ Zenyatta が3連覇したGⅠ戦ですね。2頭が取り消して6頭立て。8対5の1番人気に支持されたのは、3月のサンタ・マルガリータ・ステークス(GⅠ)を制したレット・フェイス・アライズ Lat Faith Arise 。
これも1枠から出た3番人気のアイオタパ Iotapa が逃げ、レット・フェイス・アライズは後方2番手の待機策。直線に入ってもアイオタパの逃げ足は衰えるどころか2番手を進んだ2番人気(9対5)グレース・ホール Grace Hall との差は開く一方。最後は10馬身4分の1の大差が付いていました。グレース・ホールがそのまま2着を維持し、1馬身4分の3差でシャージンガー Scherzinger が3着。人気のレット・フェイス・アライズは4着に上がるのがやっとでした。
ジョン・サドラー厩舎、鞍上のジョセフ・タラモは、シューメーカーに続いて逃げ切ってのGⅠダブル達成です。2月にサンタ・マリア・ステークス(GⅡ)に勝ち、続くサンタ・マルガリータではレット・フェイス・アライズの2着していた4歳馬。前走チャーチル・ダウンズのフマーナ・ディスタッフ(GⅠ)では6着と期待を裏切っていましたが、今回は圧巻の雪辱戦でGⅠ初勝利となりました。

最後はナイター開催のチャーチル・ダウンズ競馬場からG戦4鞍。最初はクラシック戦線を終えた3歳馬によるマット・ウィン・ステークス Matt Winn S (GⅢ、3歳、8.5ハロン)。fast の馬場に7頭が出走し、ダービーでは着外に敗退したものの2歳時にここチャーチル・ダウンズでケンタッキー・ジョッキー・クラブ・ステークス(GⅡ)に勝っているタピチュア Tapiture がイーヴンの1番人気。
レースはブービー人気(14対1)のジ・アドミラル The Admiral が逃げましたが、3番手に付けていた2番人気(3対1)のオールモスト・フェイマス Almost Famous が第4コーナー手前でこれを捉えて先頭。前半4番手で我慢していた本命タピチュアもこれを見てスパートし、直線に入ると直ぐに先頭を奪い、後方2番手から追い込む5番人気(9対1)のウランバートル Ulanbator に2馬身差を付けて見事人気に応えました。1馬身4分の1差で早目に先頭に立ったオールモスト・フェイマスが3着。
スティーヴン・アスムッセン厩舎、ロージー・ナプラヴニク騎乗のタピチュアは、今期初戦にオークローンのサウスウエスト・ステークス(GⅢ)にも勝っており、これがG戦3勝目。そのあとレベル(GⅡ)が2着、アーカンソー・ダービー(GⅠ)の4着を経てダービーに挑戦(15着)していました。

二つ目はフレール・ド・リ・ハンデキャップ Fleur de Lis H (GⅡ、3歳上牝、9ハロン)。6頭が出走し、前走5月2日に同じチャーチル・ダウンズでラ・トロワイエンヌ・ステークス(GⅠ)を制したオン・ファイア・ベビー On Fire Baby が6対5の1番人気。
1枠から飛び出したオンディーヌ Ondine が先行し、オン・ファイア・ベビーは2番手追走。しかし直線に向いても本命馬の反応は鈍く、替って前半は最後方(と言ってもほぼ全馬一団の流れでしたが)に待機していた4番人気(10対1)のモーリー・モーガン Molly Morgan が内ラチ沿いにスルスルと進出、第4コーナーで先頭を奪うと、後方2番手から外を回った3番人気(5対2)のフラッシー・アメリカン Flash American に4馬身差を付ける逆転劇です。更に2馬身半差で2番人気(2対1)のフィフティーシェイズオブヘイ Fiftyshadesofhay が3着に入り、オン・ファイア・ベビーは京はオフだったのか5着敗退に終わりました。
デール・ロマンス厩舎、コーリー・ラヌリー騎乗のモーリー・モーガンは、前走ラ・トロワイエンヌではオン・ファイア・ベビーの2着だった馬。ここに来て本格化してきた5歳馬で、これが5勝目でG戦初勝利。これからも成長が楽しみな1頭です。

この日の第8レースとして行われたのが、GⅠのスティーヴン・フォスター・ハンデキャップ Stephen Foster H (GⅠ、3歳上、9ハロン)。BCへの優先出走権が掛かっていました。9頭が出走し、去年のBCクラシック2着馬ウイル・テイク・チャージ Will Take Charge が5対2の1番人気。前走オークス・デイのアリシェバ・ステークス(GⅡ)では人気になりながら6着敗退しており、ここでの巻き返しが期待されていました。
レースは最低人気(80対1)のジャガー・ポウ Jaguar Paw が逃げ、ウイル・テイク・チャージは定位置でもある後方2番手で待機。2番手に付けていた7番人気(10対1)のムーンシャイン・マリン Moonshine Mullin が第3コーナー手前で逃げ馬を競り落として直線。3番手に付けていた2番人気(3対1)のデパーティング Departing が外から並び掛けて一旦は先頭に立ちましたが、内ラチ沿いに粘るムーンシャイン・マリンが二の脚を使って差し換えし、最後は1馬身4分の3差で優勝。後方から大外を回って追い上げたウイル・テイク・チャージでしたが時既に遅く、デパーティングをゴール寸前で首差捉えて2着を確保するも勝馬を脅かすまでには至りませんでした。
ランディー・モース厩舎、カルヴィン・ボレル騎乗のムーンシャイン・マリンは、実は前走アリシェバ・ステークスでも差し返して番狂わせを演じた6歳馬。二戦続けてのG戦勝ち、二戦続けての波乱となりました。カナダをベースにしていた経緯については、既に5月3日の日記でも紹介した通りです。

最後はリグレット・ステークス Regret S (芝GⅢ、3歳牝、9ハロン)。この日のG戦では唯一の芝コース、firm の馬場に2頭が取り消して8頭立て。前走同じチャーチル・ダウンズで一般ステークス(エッジウッド・ステークス)に勝ったア・リトル・ビット・サッシー A Little Bit Sassy が5対2で1番人気。
既にG戦に勝っているイスタンフォード istanford が逃げ、ア・リトル・ビット・サッシーは2番手追走。直線で本命馬が先頭に立ち、5~6番手を進んでいた2番人気(3対1)のオーレリアズ・ベル Aurelia’s Belle が大外、更に本命馬との間を割るように4番人気(6対1)のキス・ムーン Kiss Moon が脚を伸ばして最後の叩き合い。ゴール手前で本命馬が左ムチを受けて大きく外に膨れるも頭差のリードを保って1着入線。オーレリアズ・ベルが2番手、半馬身差で前をカットされたように見えたキス・ムーンが3着でした。しかし2番手入線のジョン・ヴェラスケスから先頭ゴールのルイス・サエズに対して進路妨害の訴え。審議の末、最後の攻防で勝馬が外に斜行、結果的にキス・ムーンの進路が狭くなったとの裁決で、ア・リトル・ビット・サッシーは4着降着となりました。2番手から4番手の馬がそのまま繰り上がり、優勝はオーレリアズ・ベル。
ウェイン・カタラーノ厩舎、ジョン・ヴェラスケス騎乗のオーレリアズ・ベルは、3月にターフウェイ・パークのポリトラック・コースでバーボンネット・オークス(GⅢ)に勝った馬。ケンタッキー・オークスに挑戦して9着に終わりましたが、芝コースに路線を変えて2勝目のG戦制覇となりました。

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