ダービー馬の初年度産駒

昨日のアメリカはサラトガとデル・マー、二つの夏競馬を代表する競馬場でG戦が計3鞍行われました。

サラトガ競馬場では2歳馬のG戦が本格的にスタートし、先ずは牝馬によるアディロンダック・ステークス Adirondack S (GⅡ、2歳牝、6.5ハロン)。fast の馬場に7頭が出走し、ベルモントのデビュー戦を2馬身半で快勝したプレッチャー厩舎のアンジェラ・ルネー Angela Renee が9対5の1番人気。
レースはハナっ速い4番人気(5対1)ヴィヴィアン・ダ・ブリング Vivian Da Bling の逃げ、アンジェラ・ルネーは2番手で追走します。前を捉えに入った本命馬でしたが、前半5番手から徐々に進出し、3番手の外から直線に入った3番人気(7対2)のカヴォーティング Cavorting の末脚が勝り、アンジェラ・ルネーを1馬身4分の3差抑えて優勝。更に2馬身4分の1差3着には2番人気(2対1)のワンダー・ギャル Wonder Gal が入りました。
キアラン・マクローリン厩舎、イラッド・オルティス騎乗のカヴォーティングは、前走7月3日にベルモントのデビュー戦で11馬身の圧勝劇を演じた馬。これで2戦2勝、オーナー(ストーンストリート・ステーブル)はこのレース3連覇となります。調教師、騎手共にアディロンダックは初制覇。

続いては2歳牡馬のサラトガ・スペシャル・ステークス Saratoga Special S (GⅡ、2歳、6.5ハロン)。今年はトヨタがスポンサーになり、総賞金は20万ドル。1頭が取り消して10頭立て。牝馬版と同様デビュー勝ちしたばかりのアイ・スペント・イット I Spent It が5対2の1番人気。
レースは5番人気(7対1)のノンナズ・ボーイ Nonna’s Boy の逃げで始まり、アイ・スペント・イットは4番手を追走。直線、2番人気(3対1)のミスター・ジー Mr. Z が抜け出しましたが、直線では内ラチ沿いを抜けたアイ・スペント・イットが目の覚めるような末脚を爆発させ、ミスター・ジーに2馬身4分の3差を付ける圧勝で期待に応えました。3着は5馬身差が開いて6番人気(10対1)のダブリュー・ヴィ・ジェットセッター W V Jetsetter 。
アンソニー・ダトロウ厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のアイ・スペント・イットは、上記の様に7月2日にベルモントの新馬戦に勝って無傷の2連勝。父は2010年のケンタッキー・ダービー馬スーパー・セイヴァー Super Saver で、同馬は3歳の秋に引退したため、今年の2歳が初年度産駒に当たります。アイ・スペント・イットは早くから才能を認められており、父の後を追ってダービーまで上り詰めることが出来るか、今から期待が持たれている器でもあります。

そしてデル・マー競馬場からはジョン・C・メイビー・ステークス John C. Mabee S (芝GⅡ、3歳上牝、9ハロン)一鞍。firm の馬場に3頭が出走を取り消して6頭立て。前走、アメリカで5戦目にしてゲイムリー・ステークス(GⅠ)で初勝利を挙げたアルゼンチンのGⅠ馬ミス・セレンディピティー Miss Serendipity が9対5の1番人気。
レースは2番人気(2対1)のウィッシング・ゲート Wishing Gate が絶妙なペースに持ち込んで逃げ切りを図りましたが、馬群が一団になった第3コーナーでは一旦最後方に下がったブービー人気(8対1)のムーラン・ド・ムガーン Moulin de Mougin が、最後の最後で内ラチ沿いに追い込み、逃げ馬を半馬身差し切っての番狂わせ。更に半馬身差で3番人気(4対1)のコージー・アップ・レディー Cozze Up Lady が2番手を粘り切り、ミス・セレンディピティーは4番手を進むも直線では3着馬に前をカットされる不利もあり(審議になりましたが着順変更なし)最下位6着敗退。勝馬からの着差は然程では無く、やはり不利が響いたと言えそうです。
これが今シーズンのG戦初勝利となるリチャード・マンデラ厩舎、この日が49歳の誕生日というマイク・スミス騎乗のムーラン・ド・ムガーンは、6月28日にサンタ・アニタのロイヤル・ヒロイン・ステークス(芝GⅡ)でパランダ Parranda の3着していましたが、去年のロイヤル・ヒロインを制したスキアパレルリ Schiaparelli の半妹に当たる血統。芝に転向してからは6戦3勝2着1回3着2回と、漸く適性を見出した印象。これで通算成績は13戦4勝となり、G戦はもちろんステークスも初勝利となります。

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