雨降らず
ブリーダーズ・カップを3週後に控えた10月12日のアメリカ競馬、ベルモントとキーンランドの芝コースで静かに3鞍のG戦が行われました。
ニューヨークは土曜日に雨という予報が出ており、予定されたベルモント・パーク競馬場の芝戦はダート変更を見越して何頭もの追加登録がありました。しかし予報は見事に外れ、ダート変更時のみ登録の各馬は出走を見送らざるを得ません。
最初はニッカーボッカー・ハンデキャップ Knickerbocker H (芝GⅢ、3歳上、9ハロン)。結局馬場は firm のままで予備登録3頭、加えてオリジナル登録からも2頭が取り消しての8頭立て。前走シューメーカー・マイル(芝GⅠ)でオブヴィアスリー Obviously の2着したザー・アプルーヴァル Za Approval が8対5の1番人気。ニッカーボッカー2連覇中で、マンノ・ウォー・ステークス(芝GⅠ)に勝ったボイステラス Boisterous が5対2の2番人気で続きます。
レースはプレインヴュー Plainview の逃げ、好スタートから一旦3番手に下げたザー・アプルーヴァルが直線で外から前を捉えると、逃げるプレインヴューを1馬身4分の1差し切って見事に期待に応えました。首差でハウ・グレート Howe Gtrat が3着に追い込み、3連覇の掛かったボイステラスは6着敗退。
勝馬を管理するクリストフ・クレメント師は、タイ記録となるこのレース5勝目。鞍上は落馬負傷から復帰したばかりのジョエル・ロザリオ。ザー・アプルーヴァルは、アップルトン・ステークス(芝GⅢ)、レッド・バンク・ステークス(芝GⅢ)に続き今期G戦3勝目。前々走はカナディアン・マイル(カナダの芝GⅠ)でチャンピオン馬ワイズ・ダン Wise Dan の2着、前走もGⅠ戦2着で、1番人気も当然でした。今期はこれで終戦の予定、使っても11月末のカリフォルニアとのことです。
もう一鞍がアセーニア・ステークス Athenia S (芝GⅢ、3歳上牝、8.5ハロン)。こちらもダート用の登録馬3頭が出走せず、オリジナルの7頭立て。ガーデン・シティー・ステークス(芝GⅠ)勝馬で英国産のサミター Samitar がイーヴンの1番人気。
しかし優勝は、逃げるアッサティーグ Assateague の2番手に付けた2番人気(5対2)ピアニスト Pianist の完勝。後方2番手から追い込むアバコ Abaco に2馬身差を付けていました。更に1馬身4分の1差でサミターは3着。
サミターと同じチャド・ブラウン厩舎、同馬には初となるホセ・オルティス騎乗のピアニストは、5月にギャロレット・ステークス(GⅢ)を逃げ切った馬。前走サラトガのボールストン・スパ・ステークス(芝GⅡ)ではラーフィング Laughing を追走してそのまま2着しており、今回が二つ目のG戦勝利となりました。
最後にキーンランド競馬場からクィーン・エリザベスⅡ世チャレンジ・カップ・ステークス Queen Elizabet Ⅱ Challenge Cup S (芝GⅠ、3歳牝、9ハロン)。こちらも馬場は firm 、予定通り9頭が出走してきました。8対5の1番人気は、前走アメリカ・デビューのガーデン・シティ・ステークス(芝GⅠ)に勝ったフランス産馬アルテライト Alterite 。
レースはレイ・コート Leigh Court の逃げ。アルテライトは5番手から伸びましたが、前半離れた7番手に待機した3番人気(9対2)のキッテンズ・ダンプリングス Kitten’s Dumplings が外から一気に追い込むと、内から迫るアルテライトを首差抑えて優勝。半馬身差でカリフォルニア・トーマス California Thomas が3着に入りました。
マイケル・メーカー厩舎、ジュリアン・ルパルー騎乗のキッテンズ・ダンプリングスは、リグレット・ステークス(芝GⅢ)、レイク・ジョージ・ステークス(芝GⅡ)を含めて3連勝したあと、前走デル・マー・オークス(芝GⅠ)が4着。繊細な神経を持つ3歳馬で、この日入場者数レコードを記録した大観衆の見守るパドックからの先出を許可されての出走。その末脚を十分に発揮したレースでした。
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