2014ロイヤル・アスコット4日目

今年のロイヤル・アスコットも4日目を迎えました。相変わらず好天が続いて馬場は乾燥、イギリスの常として固過ぎる馬場は危険を伴うことからコース全体に散水が施されました。それでも公式発表は good to firm 、ラウンド・コースは所により good ということで、これを歓迎する陣営と敗因に挙げる厩舎もあり、日本とは状況がかなり異なることが判ります。
4日目は去年までGⅢだったクィーンズ・ヴァーズがリステッドに降格されたため、G戦は3鞍です。

最初はアルバニー・ステークス Albany S (GⅢ、2歳牝、6ハロン)。3頭が取り消しても21頭立ての混戦。ロイヤル・アスコットでは2歳のG戦が4鞍ありますが、その中でも最も難解な一戦でしょう。新馬勝ちしただけの馬が6頭、2戦無敗が2頭いる一方で、未勝利馬も4頭いるという内容。1番人気は9対4、2戦無敗のペイシェンス・アレキサンダー Patience Alexander と何故か未勝利のセクシー・レッグス Sexy Legs が並んでいました。

アメリカ(ウェスリー・ウォード厩舎、ヴィクター・エスピノザ騎乗)から遠征してきた4番人気(7対1)のサンセット・グロウ Sunset Glow がダッシュ良く飛び出しての逃げ。これを余裕を持って追走した7番人気(14対1)のカーソリー・グランス Cursory Glance が2馬身捉える圧勝。首差で人気の一角ペイシェンス・アレキサンダーが3着に入り、セクシー・レッグスは9着敗退。
ロジャー・ヴァリアン厩舎、アンドレア・アズテニ騎乗のカーソリー・グランスは、これまでケンプトンの新馬戦(6ハロン)に勝ったのみ。2連勝でGⅢ勝馬となりましたが、内容の良さから来年の1000ギニーに16対1のオッズが出されました。ここ数年で急速に頭角を現してきたアズテニ騎手にとっては、これが嬉しいロイヤル・アスコット初勝利。

続いてはキング・エドワード・7世ステークス King Edward Ⅶ S (GⅡ、3歳、1マイル4ハロン)。アスコット・ダービーの愛称で親しまれてきた3歳戦、ここからセントレジャーに向かう馬も出ています。今年はダービー6着のウエスタン・ヒム Western Hymn が取り消して9頭立て。前走ガリニュール・ステークス(GⅢ)に勝ったオブライエン厩舎のアデライデ Adelaide が6対5の1番人気。
オデオン Odeon が逃げ、アデライデは先行グループから抜け出しましたが、前半は後方で待機していた6番人気(12対1)の伏兵イーグル・トップ Eagle Top が抜群の末脚を発揮して一気に先頭に立つと、本命馬に3馬身4分の1の大差を付けて圧勝。更に2馬身4分の1差でブービー人気(25対1)のスコットランド Scotland が3着に入りました。リングフィールド・ダービー・トライアル(L)勝馬で本番は取り消した2番人気(6対1)スノー・スカイ Snow Sky は4着、3番人気(7対1)でゴドルフィンのマイナーズ・ランプ Miner’s Lamp も6着と小波乱です。

ジョン・ゴスデン厩舎、ウイリアム・ビュイック騎乗のイーグル・トップは、2歳時は未出走。今期ニューバリーのデビュー戦に勝ち、前走レスターのハンデ戦が4着(共に11ハロン)で、これが未だ3戦目とキャリアの浅い馬。血統的にも去年のオークス3着で、パーク・ヒル・ステークス(GⅡ)に勝ったザ・ラーク The Lark の全弟と筋の通ったもの。セントレジャー・タイプではなさそうですが、このレースで見せた瞬発力には将来性を感じます。
初日のキングマン Kingman 、二日目にはザ・フューグ The Fugue でGⅠを制したゴスデン師、このレースは2011年にナサニエル Nathaniel でも制しており、ナサニエルは次走キングジョージで大金星を挙げていますから、イーグル・トップにも同様の期待が掛かりそうですね。

4日目最後のG戦は、3歳牝馬のマイルGⅠ戦コロネーション・ステークス Coronation S (GⅠ、3歳牝、1マイル)。今年のギニー馬、英と仏の勝馬はいずれも仏オークスに挑戦、愛ギニー馬もオークスに向かいましたので例年の様にギニー対決は無し。クラシック馬不在と言うこともあってか12頭が揃いました。その半分はニューマーケットの1000ギニーに出走したメンバーで、2着の、続いてアイルランドでも2着したライトニング・サンダー Lightning Thunder が自然な流れで5対2の1番人気に支持されていました。

スタートでアメリカから遠征してきたケンタッキー・オークス4着馬ロザリンド Rosalind が落馬。騎乗していたキーレン・ファロン騎手は大事を取って以後の騎乗をキャンセルするアクシデントがありました。
逃げたのはジェイ・ワンダー J Wonder 、スローペースに落とします。これを先行した3番人気(11対2)のリジーナ Rizeena が捉え、後方から追い込むフランス遠征馬で4番人気(15対2)のレストーク・イン・パリス Lasstalk in Paris (仏1000ギニーは1番に気で12着敗退)に4分の3馬身差を付けて優勝。頭差で1000ギニー5着馬ユーロ・チャーリン Euro Charline が3着に入り、2番人気(7対2)のマイ・ティターニア My Titania が4着。人気のライトニング・サンダーは9着と凡走に終わりました。クラシック2戦の疲れが出たのでしょうか。

長老クライヴ・ブリテン師が管理し、ライアン・ムーアが騎乗したリジーナは、2歳時にロイヤル・アスコットでクィーン・メアリー・ステークスに勝った馬で、その後モイグレア・スタッド・ステークスでGⅠも取った強豪。今期はデビューとなった1000ギニーで期待されながら7着に終わっていましたが、この勝利で名誉を挽回した形です。2着のレストーク・イン・パリスと並び、ギニーのレヴェルを高める結果となりました。
ムーア騎手は、今アスコット開催では3勝目となり、開催チャンピオン・ジョッキーを狙える位置に付けたと言えましょう。

最初にも紹介したように、今年はクィーンズ・ヴァースがリステッドに降格になりました。しかし去年は後にセントレジャーとゴールド・カップを制することになるリーディング・ライト Leading Light が勝ったレースですから、簡単に結果だけでも書いておきましょう。
マルゾッコ Marzocco という馬が1番人気でしたが、勝ったのはリングフィールド・ダービー・トライアルで2着だったハートネル Hartnell 。管理するマーク・ジョンストン師は、何とこのレース14年間で7勝と圧倒的な強さを発揮。勝馬は当然ながらセントレジャーに向かうことになるでしょう。

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