2014ロイヤル・アスコット千穐楽

昨日はロイヤル・アスコットの5日目、5日間開催の千穐楽でした。最終日のG戦は2鞍、馬場は相変わらず good to firm で、全コース同じ発表でした。

先ずはハードウィック・ステークス Hardwicke S (GⅡ、4歳上、1マイル4ハロン)。10頭が出走し、このレースに断然強いサー・マイケル・スタウト厩舎のテレスコープ Telescope が7対4の1番人気に支持されていました。去年のダービー候補、古馬になって充実し、得意の良馬場なら負けられません。如何にもスタウト師好みのタイプではあります。
そして期待は裏切られませんでした。エクティハーム Ektihaam の逃げを先行グループの外に付けたテレスコープ、直線で抜け出すと、2着以下に何と7馬身差を付ける圧勝。2着にも後方から3番人気(7対1)のヒルスター Hillstar が追い込み、スタウト師のワン・ツー・フィニッシュです。頭差で4番人気(8対1)のペサーズ・ムーン Pether’s Moon が3着。2番人気(5対1)のダンディーノ Dandino は6着に終わりました。

スタウト厩舎首戦のライアン・ムーアが騎乗したテレスコープは、ダービー候補と言われながら中々仕上がらず、3歳シーズンはヴォルティジュール・ステークス(GⅡ)を制した所で終戦。今期はゴードン・リチャーズ(GⅢ)、ハックスレー(GⅢ)と何れも苦手な重馬場で2着が続き、ここに来て漸く得意の夏競馬で才能を一気に爆発させた形です。
オーナーはハイクレア・サラブレッド・レーシングで、2010年のハービンジャー Harbinger と同じ。ハービンジャーもここに勝ってキングジョージを圧勝していますから、テレスコープとイメージが重なるのは当然でしょう。丁度1か月後、同じコース、同じ距離ですから、同じように走ればGⅠタイトルは間違いないと思われます。
更にブックメーカーは秋の凱旋門賞にも反応、14対1のオッズが出されました。仮にロンシャンが良馬場なら極めて有力な1頭になるでしょう。今年の凱旋門賞は、良ならテレスコープ、重ならトレーヴというのがコアなファンの予想と思われます。

管理するスタウト師、最近はチョッと静かにしている印象ですが、ハードウィックはこれで8勝目。後でも触れますが、今開催はG戦以外にも勝星を確実に重ね、4勝で開催リーディング・トレーナーを獲得しました。ロイヤル・アスコットの勝利は通算で72勝となり、もちろん現役調教師では最多勝となります。

今年の掉尾を飾るG戦は、ダイアモンド・ジュビリー・ステークス Diamond Jubilee S (GⅠ、3歳上、6ハロン)。初日にキングズ・スタンドを制したソール・パワー Sole Power は、結局レース後の疲れが取れず回避。1頭取り消しの14頭が出走してきました。7対2の1番人気に支持されたのは、ソール・パワーと同じ馬主で同厩のスレイド・パワー Slade Power の方。兄貴分より2歳年下ですが、血統的には何の関係もありません。

スタートすると馬群は二つに分かれ、スタンドから遠い側と馬場中央組とに二分。早々と遠いグループが有利に立っていることが明白で、その中に付けていた本命スレード・パワーが抜け出すと、中央グループの中から何とか有利グループに迫ろうとした3番人気(5対1)のデュー・ディリジェンス Due Dilligence に1馬身半差を付けて見事期待に応えました。頭差で遠いグループの2番人気(4対1)アルジャマヘール Aljamaaheer が3着と極めて順当。勝馬の進路取りが審議となりましたが、最後は着順通りで確定しています。但し勝馬に騎乗したウェイン・ローダン騎手は不注意騎乗により1日、7月6日の騎乗停止処分が課せられました。
勝馬を管理するアイルランドのエドワード・ライナム厩舎は、初日のソール・パワー、2日目クイーン・メアリーのアンセム・アレクサンダー Anthem Alexander に続いて開催3勝目。何より同じオーナーの2頭でキングズ・スタンド/ゴールデン・ジュビリーの短距離ダブルという快挙を達成したのが誇りでしょう。オーナーはアイルランドのブックメーカー・ファミリーで、登録名はサベナ・パワー。馬名にファミリーのシンボルである「パワー」を付けるのがトレードマークです。
今年5歳のスレード・パワーは、前走グリーンランズ・ステークス(GⅢ)を含めてG戦は5勝目。GⅠは今回が初制覇となります。先輩ソール・パワー、更にはこのレースの2・3着馬共に来月のジュライ・カップに参戦予定で、今日の結果を受けてスレード・パワーが7対2の本命に上がりました。因みにソール・パワーは8対1です。
一方2着のデュー・ディリジェンスにも大注目で、エイダン・オブライエン厩舎の3歳馬。今回は古馬との初対決でそのスピードを証明し、将来の短距離王に成長する資質は充分と見ました。ジュライ・カップのオッズは2番人気を示しています。今回は馬齢重量の関係でジョセフは乗れず(4歳馬のダーウィン Darwin に乗っていました)、体重の軽いライアン・ムーアが騎乗していました。

そのライアン・ムーア、終わって見ればこの日のハットトリックを含めて6勝。最近5年間で4度目となる開催リーディング・ジョッキーのタイトルを獲得しています。師であるスタウト氏と並び、目出度くチャンピオン・トレーナー/チャンピオン・ジョッキーのダブルを達成した二人でした。

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください