サンタ・アニタ長期開催のフィナーレ

土曜日はG戦が12鞍も行われたアメリカ競馬、昨日は2鞍のG戦と、前日に比べれば楽なものです。東海岸、西海岸の順に紹介しましょう。

先ずはベルモント・パーク競馬場のヴィクトリー・ライド・ステークス Victory Ride S (GⅢ、3歳牝、6.5ハロン)。去年は6ハロンだったと思いますが、今年は弱冠距離が伸びても短距離戦であることには変わりありません。7頭が出走し、8対5の1番人気に支持されたレッド・ヴェルヴェット Red Velvet は、前々走がアローワンス戦での大差(9馬身4分の3)勝ち、前走もベルモントの一般ステークスを圧勝(5馬身4分の3)した快速馬です。
ここもビデオテープとばかりに先頭に立ったレッド・ヴェルヴェットでしたが、今回は伏兵(20対1)ファット・キャット Fat Kat に絡まれ、3番人気(7対2)のミス・ビヘイヴィアー Miss Behaviour にも交わされる苦しい展開。更に前半は離された後方3番手を進んだ5番人気(10対1)のストリート・ストーリー Street Story の末脚が爆発、一旦先頭に立ったミス・ビヘイヴィアーを1馬身4分の3差突き放す逆転劇でした。更に1馬身半差の3着にも後方2番手から2番人気(2対1)のマイラム Milam が食い込み、レッド・ヴェルヴェットは4着敗退。昔日本では短距離の追い込み馬と言う馬券鉄則が謳われましたが、今回はその典型です。
スティーヴン・アスムッセン厩舎、ジョエル・ロザリオ騎乗のストリート・ストーリーは、これがステークス3勝目。前走はオークローン・パークの一般ステークス勝で、2か月半の休み明けでした。他にオークローンでの一般ステークス勝ちがあり、G戦は今回が初勝利。典型的な「短距離の追い込み馬」だそうです。

そしてサンタ・アニタ競馬場からはサン・フアン・カピストラーノ・ステークス San Juan Capistrano S (芝GⅡ、3歳上、14ハロン)。去年まではサンタ・アニタ春開催のフィナーレとして4月第3週に行われてきたレースですが、今年は閉鎖されたハリウッド競馬場のプログラムをほぼ忠実に引き継いだため、春夏開催のサンタ・アニタの締めくくりとして移行されたことになります。firm の馬場、2頭が取り消しての7頭立て。ステイヤー不在のアメリカ競馬、3対5の断然1番人気に支持されたクイック・カサブランカ Quick Casablanca は故郷のチリとアルゼンチンで長距離GⅠに勝ち、アメリカに転じてからはラスト・タイクーン・ステークス(芝GⅢ)に勝ち、前走チャーリー・ウィッティンガム・ステークス(芝GⅡ)で3着した馬。ここでは格上の本命馬です。
レースはスタートが良かった2番人気(9対2)のビッグ・キック Big Kick が逃げる展開となり、最初のスタンド前では7馬身差、向正面では更に9馬身も後続を引き離す大逃げ。本命クイック・カサブランカは前半5~6番手から逃がし過ぎに気付いて懸命に追い上げるも、結局は2馬身4分の3差まで詰めるのがやっとでした。3着は9馬身4分の3差で4番人気(8対1)のスタースパングルド・ヒート Starspangled Heat が入り、その後も大きな間隔でポツン・ポツンと入線。何とも面白くないレースでした。改めてアメリカ競馬では長距離戦の魅力が失われたこと、カリフォルニアでの競馬衰退が感じられる光景ではありましたね。
マイケル・マチョウスキー厩舎、ヴィクター・エスピノザ騎乗のビッグ・キックは、カナダ産馬で現地デビューした5歳せん馬。ここまでで18戦4勝となりますが、今回がステークス・デビューにして初勝利。こんな馬でもかつてのGⅠ戦に勝ってしまうのですから、仮に日本の馬が大挙して参戦すれば上位独占は間違いなかろうと思われました。

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