G戦初勝利続出のアメリカ競馬
昨日のアメリカ競馬は、4つの競馬場でG戦7鞍。最初に紹介するレースと、最後に取り上げるG戦以外は全てG戦初勝利という結果になりました。
その最初はパークス・レーシング競馬場のパークス・ダッシュ Parx Dash (芝GⅢ、3歳上、5ハロン)。2011年に創設されたばかりの最短距離戦ですが、去年からGⅢに格上げされました。firm の馬場に1頭が取り消して9頭立て。5対2に3頭が並ぶ大混戦でしたが、僅かの差で1番人気に支持されたのは、去年のBCターフ・スプリントの2着馬で前走ペンシルヴァニア・ガヴァナーズ・カップ(一般ステークス)に勝ってきたタイトゥンド・タッチダウン Tightend Touchdown 。
レースは内枠から順にスタートが良く、1番枠のモンゴリアン・サタデイ Mongolian Saturday の逃げ。直線までにも激しく順位が入れ替わる中、直線半ばでボールド・サンダー Bold Thunder が一旦先頭に立った所、後続3頭が並んで急襲、3頭が並ぶ写真判定に持ち込まれました。その結果、前半では最後方に下げていた5対2の一角ベンズ・キャット Ben’s Cat が大外を抜けて優勝。ハナ差でタイトゥンド・タッチダウンが2着、同じくハナ差でこれも5対2のマーチマン Marchman が3着でした。
キング・レザーバリー厩舎、ジュリアン・ピメンテル騎乗のベンズ・キャットは、何とこのレース、2012年から3連覇。創設された2011年は2着でしたから、彼無しにパークス・ダッシュは語れません。前走ジャイパー・インヴィテーショナル(芝GⅢ)は4着でしたが、これで通算成績は41戦27勝、うちステークスは22勝という快速馬です。
次にデラウエア・パーク競馬場から、デラウエア・ハンデキャップ Delaware H (GⅠ、3歳上牝、10ハロン)。去年からGⅠに格上げされた3歳上の牝馬中距離戦で、fast の馬場に6頭が出走。去年のケンタッキー・オークス馬プリンセス・オブ・シルマー Princess of Sylmar が1対5の圧倒的1番人気に支持されていました。
レースは2番人気(6対1)で1番枠から出たベル・ギャランテー Belle Gallantey が逃げ、プリンセス・オブ・シルマーは前半控えて4~5番手に待機。第4コーナー手前で進出し、逃げるベル・ギャランテーと2番手追走4番人気(13対1)フラッシー・アメリカン Flashy American の間を割って抜けようとしましたが、間が開かずに一瞬引いて外に出す不運。これが最後まで響き、結局はベル・ギャランテーの逃げ切りを許してしまいました。立て直して追い込んだものの、2着確保がやっとのプリンセス・オブ・シルマーは2馬身4分の3差届かず。半馬身差3着にはフラッシー・アメリカンが粘っています。
ルディー・ロドリゲス厩舎、ホセ・オルティス騎乗のベル・ギャランテーは、前走オグデン・フィップス・ハンデ(GⅠ)がG戦デビュー、25対1のオッズで6頭立て5着していた5歳牝馬。2戦目でGⅠタイトルを手にしました。
昨日の3場目は、春夏開催のフィナーレを迎えたベルモント・パーク競馬場からボウリング・グリーン・ハンデキャップ Bowling Green H (芝GⅡ、4歳上、12ハロン)。去年までは秋競馬の開幕戦 3歳上の10ハロンとして施行されてきたかつてのGⅠ戦で、今年から2ハロン伸びた距離で行われます。firm の馬場に1頭が取り消して6頭立て。アメリカに来て3戦目、マンノ・ウォー3着、マンハッタン4着とGⅠ戦を闘ってきたグランディア Grandeur が3対5の1番人気。
レースは最低人気(18対1)のホーヴァット・クラン Horvat Clan がスローペースに落としての逃げ、グランディアは4番手で待機します。3コーナーを過ぎた辺りからペースが上がり、グランディアは外から差を詰めて直線半ばでは先頭。アメリカ初勝利目前でしたが、前半3番手から一旦下がるようにしてインコースを衝いた3番人気(9対2)のハノーヴァー・キッド Hanover Kid がスルスルと脚を伸ばし、ゴールでは頭差で本命馬に競り勝っていました。4分の3馬身差でブービー人気(15対1)のスカイ・ブレイザー Sky Blazer が3着。グランディアは、内の勝馬との間に1頭(2番人気のボイステラス Boisterous 、結果4着)分の間隔があったことで勝ちを攫われた印象です。
ジェーソン・サーヴィス厩舎、ジョエル・ロザリオ騎乗のハノーヴァー・キッドは、前走ニュー・ジャージーのモンマス・ステークス(芝GⅡ)で2着していた6歳馬。これがG戦初勝利の番狂わせでした。
昨日最後のレポートは、G戦4鞍を並べたアーリントン・パーク競馬場の芝フェスティヴァルから。芝コースは終日 firm 、最初は一時期GⅠだったこともあるアーリントン・ハンデキャップ Arlington H (芝GⅢ、3歳上、10ハロン)です。6頭が出走し、去年のヴァージニア・ダービー(芝GⅡ)馬で前走ルイヴィル・ハンデ(芝GⅢ)に勝ったウォー・ダンサー War Dancer が9対5の1番人気。
レースはアヴァンザーリ Avanzare がスローでの逃げ、ウォー・ダンサーは3番手から。逃げたアヴァンザーリはスローだったこともあって良く粘り、直線半ばでもまだ先頭。これを2番手を追走していた4番人気(11対2)のフィネガンズ・ウェイク Finnegans Wake が外から何とか競り落とした所に、前半最後方で我慢していたアドミラル・キッテン Admiral Kitten が内から猛然と追い上げ、前に迫った所がゴール。写真判定の結果、フィネガンズ・ウェイクが何とか頭差でリードを守り切っていました。半馬身差で本命ウォー・ダンサーが3着。
デール・ロマンス厩舎、ヴィクター・エスピノザ騎乗のフィネガンズ・ウェイクは、2012年にチャーチル・ダウンズのアローワンス戦に勝ってから13連敗中でしたが、2年越しの3勝目にしてステークスも初勝利。3歳時にはセクレタリアート・ステークスで2着、去年はボーリング・グリーン・ハンデでも2着した実績のある5歳馬。漸く実力に相応しいG戦タイトルを獲得しています。
続いてはスターズ・アンド・ストライプス・ステークス Stars and Stripes S (芝GⅢ、3歳上、12ハロン)。1頭が取り消して9頭立て、ここ2年勝鞍は無いものの、去年のこのレースで2着したサントレイサー Suntracer が8対5の1番人気。
スタートが最も良かったのはシートン・ホール Seton Hall でしたが、ゆつたりしたマラソン・レース、最初のスタンド前では2番人気(9対5)のザ・ピザ・マン The Pizza Man が先頭に立ち、オープラード・オーレー O’Prado Ole が2番手。向書面ではオープラード・オーレーが競り掛ける場面もありましたが、結局はそのまま行った行った、最後はオープラード・オーレーを半馬身抑えてザ・ピザ・マンの逃げ切り勝ち。サントレイサーは前半7番手から大外を回って良く追い込みましたが、首差届かず3着まで。レース直後に2着のチャニング・ヒル騎手が勝馬に対して異議申し立て。どうやら最初のスタンド前で逃げ馬が急に外に寄れたことを進路妨害として訴えたようですが、これは馬が躓くようにして右に傾いたため。最終的には着順通りで確定し、スタンドからも歓声が起きていました。
ロジャー・ブルージュマン厩舎、フロラン・ジェルー騎乗のザ・ピザ・マンは、これがG戦初勝利ながら、16戦11勝でステークスは6勝目。去年のこのレースがこれまで唯一のG戦挑戦で、去年は3着していた5歳せん馬です。アーリントンの芝コースでは10戦7勝と言うコース・スペシャリストでもあります。
アーリントンの芝G戦、3鞍目は今年が第100回となるアメリカン・ダービー American Derby (芝GⅢ、3歳、9.5ハロン)、一時期はGⅠに各付けされた時期もありましたが、現在はGⅢにまで降格されてしまいました。10頭が出走し、何故かアローワンス戦に勝っただけのスクールオブザハードロックス Schoolofthehardrocks が6対5の1番人気。英ダービーで逃げ、最後は13着に沈んだジェームス・グレアム厩舎のアワ・チャンネル Our Channel が参戦してきたのも見どころです。
その本命馬がスタート良く飛び出しましたが、直ぐにゴーストリー・ワンダー Ghostly Wonder がハナを主張しての逃げ。前半2番手を追走した英国のアワ・チャンネルが先頭に立ちましたが、前半6番手から内ラチ沿いに伸びた2番人気(7対2)のディヴァイン・オース Divine Oath が抜け、アワ・チャンネルを半馬身差し切っての優勝。4分の3馬身差で最後方からハイボール Highball が3着に食い込み、スクールオブザハードロックスは4着。
トッド・プレッチャー厩舎、フロラン・ジェルー騎乗のディヴァイン・オースは、これがステークス初勝利。1月にガルフストリームの芝コースで初勝利を挙げたあと、2月の芝アローワンスを連勝。キーンランドのポリトラックでレキシントン・ステークス(GⅢ)は2着でしたが、前走は芝に戻ってペン・ナショナルの一般ステークスで4着。これで芝コースでは4戦3勝となります。ジェルー騎手は前のレースに続いてG戦ダブル達成。
土曜日の最後は、モデスティー・ハンデキャップ Modesty H (芝GⅢ、3歳上牝、9.5ハロン)。1頭が取り消して14頭立て。最終的な人気は入電していません。
逃げたのは59対1の伏兵アイ・オー・アイルランド I O Ireland でしたが、外枠発走から直ぐに2番手に付けていた4対1のアイム・オールレディー・セクシー I’m Alredy Sexy がこれを外から交わすと、大混戦の2着争いを首差制しての優勝。1着から4着までが首・ハナ・首の混戦、2着にはガルサリー Gulsary 、3着がストリート・オブ・ゴールド Street of Gold で確定しています。
ウェイン・カタラーノ厩舎のアイム・オールレディー・セクシー、コンビを組んだのは何とこのひG戦ハットトリックとなるフロラン・ジェルー騎乗。勝馬はアーリントンの芝では4戦4勝となる4歳馬で、去年は7月のアローワンス、ハトゥーフ・ステークス(一般ステークス)、パッカー・アップ・ステークス(芝GⅢ)に続いてのG戦2勝目で、アーリントンでは全てジェルーが騎乗してきました。今期は5月にチャーチル・レディーズ・ターフ・マイル(芝GⅡ)の6着、ミント・ジュレップ・ハンデ(芝GⅢ)2着と3戦目での初勝利。得意のアーリントン芝コースでGⅠ初制覇を目指します。
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