スーパー・サタデー(カリフォルニア編)

土曜日のアメリカ競馬、続編はカリフォルニアですが、その前にチャーチル・ダウンズ競馬場で行われたジェファーソン・カップ・ステークス Jefferson Cup S (芝GⅢ、3歳、8ハロン)に寄り道してから向かいましょう。何もこんな日に別の場所でG戦を組まなくても、と思いますが、アメリカ競馬は州単位ですからそういうわけにもいかんのでしょう。firm の馬場に1頭が取り消して7頭立て。G戦初挑戦ながら2連勝中のハート・トゥー・ハート Heart to Heart が1対2の断然1番人気。
期待通りスタートから主導権を奪ったハート・トゥー・ハート、5番手から追い込んだ4番人気(9対1)キャプテン・ディキシー Captain Dixie に持ったまま4馬身差を付ける圧勝でした。更に2馬身4分の1差3着にはブービー人気(14対1)のスポーツキャスター Sportscaster が2番手から前残り。
ブライアン・リンチ厩舎、ジュリアン・ルパルー騎乗のハート・トゥー・ハートは、今期は4戦3勝でG戦初勝利。前走サラトガの一般ステークス(ベター・トーク・ナウ・ステークス)がステークス初挑戦で初勝利でした。

以上でサンタ・アニタ競馬場のGⅠレース5連発に行きましょう。こちらはBCの舞台、5戦全てが勝馬にBCの優先出走権が与えられるトライアルです。
最初はゼニヤッタ・ステークス Zenyatta S (GⅠ、3歳上牝、8.5ハロン)。fast の馬場に1頭が取り消して5頭立てと小頭数。今期未だ3戦目ながら、2歳と3歳のチャンピオン牝馬に輝いたビホールダー Beholder が2対5の断然1番人気。
レースは3番人気(7対1)のティズ・ミッドナイト Tiz Midnight が逃げ、ビホールダーは丁度真ん中の3番手。徐々に前との差を詰め、直線で先頭に立った本命馬は、最後は逃げ馬に差を再び詰められる場面もありましたが、何とかティズ・ミッドナイトに4分の3差を付ける貫録勝ち。3馬身4分の1差でスタートに失敗した2番人気(2対1)のアイオタパ Iotapa が3着。
リチャード・マンデラ厩舎、今回初めてとなるマイク・スミス騎乗のビホールダーは、去年に続きゼニヤッタ2連覇。2歳時はBCジュヴェナイル、去年もサンタ・アニタ・オークスなどにも勝って世代のチャンピオンに選ばれましたが、今期はシーズン・デビューの一般ステークス(サンタ・ルチア・ステークス)には勝ったものの、前走ベルモントのオグデン・フィップス(GⅠ)が4着。今回の走りっぷりも今一つの印象で、3年連続でチャンピオンの座に就くには、もう一つ調子を上がる必要があるのかも。

この日二つ目のGⅠ戦は、2歳牡馬のチャンピオン選出に繋がるフロントランナー・ステークス FrontRunner S (GⅠ、2歳、8.5ハロン)。2頭が取り消して8頭立て。前走デル・マー・フューチュリティーを未勝利馬として優勝したアメリカン・フェイロー American Pharoar が1対2の圧倒的1番人気。
スタートからダッシュ良く飛び出した大本命、そのまま後続を寄せ付けず2着以下に3馬身4分の1差を付けてGⅠ2連勝です。4番手を追走した5番人気(12対1)のカルキュレイター Calculator が2着に入り、後方2番手から追い上げたテキサス・レッド Texas Red が1馬身半差で3着。
ボブ・バファート厩舎、ヴィクター・エスピノザ騎乗のアメリカン・フェイローは、前走でも紹介したようにデビュー戦はまさかの5着敗退。それでも素質を信じるバファート師は二走目でGⅠに挑戦させての勝利、これで2歳牡馬部門の最前線に立ったと言えるでしょう。

続いてはBCフィリー・アンド・メア・ターフのトライアルとなるロデオ・ドライヴ・ステークス Rodeo Drive S (芝GⅠ、3歳上牝、10ハロン)。firm の馬場、2頭が取り消しても12頭立ての混戦。ここ2戦で凡走していたものの、既にGⅠに3勝しているエモリエント Emollient が3対1の1番人気。
レースは伏兵(70対1)バネアギード Bunairgead が逃げましたが一団の詰まった流れ。第4コーナーを回るところで4番人気(5対1)ムーラン・ド・ムガーン Moulin de Mougin が滑って転倒しマイク・スミスが放り出されるアクシデントもありましたが、5~6番手に付けていたエモリエントが馬群を割って抜け出すと、先に先頭に立っていた5番人気(6対1)パランダ Parranda との叩き合い。パランダの差し返しを振り切ったエモリエント、最後は半馬身差で人気に応えました。1番4分の1差で2番人気(7対2)アイリッシュ・ミッション irish Mission と8番人気(20対1)ラスティー・スリッパー Rusty Slipper が3着同着。なお落馬した人馬は共に問題なし、スミスは次のGⅠをシッカリ勝っています。
ウイリアム・モット厩舎、ロージー・ナプラヴニク騎乗のエモリエントは、ヨーロッパでもお馴染みのジャドモント・ファームの自家生産馬。勝鞍は去年のスピンスター・ステークス(GⅠ)以来ですが、アシュランド・ステークス、アメリカン・オークスに続いてGⅠは4勝目。ここ2戦、サラトガのダイアナ・ステークス(芝GⅠ)、アーリントンのビヴァリー・ディー(芝GⅠ)と何れも結果が伴いませんでしたが、今回は初めて装着したブリンカーが功を奏したようです。

そしてオウサム・アゲン・ステークス Awesome Again S (GⅠ、3歳上、9ハロン)。もちろんBCクラシックの前哨戦で、1頭が取り消して7頭立て。ここは何と言っても6戦6勝の怪物シェアード・ビリーフ Shared Belief が1対5の断然1番人気、無敗でBCに臨めるかが最大の見どころでしょう。
レースを引っ張ったのは、2番人気(6対1)のフェド・ビズ Fed Biz 。これを本命馬も含めて3頭が離れず追走する激しい展開となり、結局は4番手の外から駒を進めたシェアド・ビリーフが、逃げ粘るフェド・ビズを首差捻じ伏せて無傷の7連勝を飾りました。2頭の斤量差は2ポンド(勝馬が重い)ありました。2馬身4分の1差でブービー人気(34対1)のフットブリッジ Footbridge が3着。
ジェリー・ホーレンドルファー厩舎、前のレースでの落馬もなんのその名手マイク・スミス騎乗のシェアド・ビリーフは、2歳時にキャッシュコール・フューチュリティーを制し、今期はパシフィック・クラシックも勝ってGⅠは3勝目。これが3歳馬としては3戦目、古馬との対戦も初めてでしたが、期待通りクラシックを制することが出来るか、今年のBCでも最大の見どころとなりそうです。

さて長かった一日も、最後のシャンデリア・ステークス Chandelier S (GⅠ、2歳牝、8.5ハロン)。2歳牝馬の頂点を目指す12頭が出走し、前走デル・マー・デビュタントで3着のコンケスト・エクリプス Conquest Eclipse が2対1の1番人気。
1番枠を利して4番人気(8対1)のサンデー・ソネット Sunday Sonnet が逃げましたが、前半4番手のインコースを通った2番人気(5対2)のアンジェラ・ルネー Angela Renee 、直線で外に持ち出すと、後方3番手から追い込む本命コンケスト・エクリプスを1馬身半抑えて優勝。更に3馬身半差の3着には、これも後方2番手で待機していた7番人気(26対1)の未勝利馬ダネット Danette が食い込みました。
トッド・プレッチャー厩舎、ラファエル・ベハラノ騎乗のアンジェラ・ルネーは、ニューヨークから遠征してきた馬で、ベルモントでデビュー勝ちしたあとアディロンダック・ステークス(GⅡ)が2着、続くスピナウェイ・ステークス(GⅠ)では1番人気に支持されながら、スタートで他馬と接触したのに加えて泥んこ馬場という不利も重なり、勝馬から19馬身も離された3着に終わっていました。今回はそこからのリバウンド、出走馬の中では最も安定したレース内容だったと言って良いでしょう。

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