プロムス2014も開幕

学校が終業式を終えると、英都ロンドンの音楽祭プロムスが開幕しました。折角2シーズン続けてきましたから、今年もネット中継鑑賞記をやりましょう。
BBC3のサイトを見ると、どうやら今年はこれまでの1週間視聴が延長されて4週間は楽しめるようです。ほぼ1か月あれば慌てることもありません、気長に夏の一日を楽しみましょう。

7月18日 ≪Prom 1≫
エルガー/オラトリオ「神の国」
 BBC交響楽団
 指揮/サー・アンドルー・デイヴィス Sir Andrew Davis
 聖母マリア(ソプラノ)/エリン・ウォール Erin Wall
 マグダラのマリア(メゾ・ソプラノ)/キャサリン・ウイン=ロジャース Catherine Wyn-Rogers
 聖ヨハネ(テノール)/アンドルー・ステイプルズ Andrew Staples
 聖ペテロ(バリトン)/クリストファー・パーヴェス Christopher Purves
 合唱/BBCウェールズ・ナショナル・コーラス、BBCコーラス

トップ・バッターはホストを務めるBBC響、その桂冠指揮者アンドルー・デーヴィスは何とプロムス125回目の登場だそうです。これ以上英国的な作品は無かろうというエルガーのオラトリオで幕開け。
この放送はテレビ中継もありましたが、テレビはイギリスでなければ見ることは出来ません。昔はラジオも、ネット中継も無かったのですから、将来は世界中で映像が見られることを期待しましょう。

「神の国」はエルガーが意図していたオラトリオ三部作の第2作に当たるもの。第1作の「使徒たち」は去年プロムスで取り上げられましたから、今回はその続編。残念ながら第3部になる予定の「最後の審判」はエルガーの死によって未完に終わりました。
全曲は5部構成。オーケストラだけの前奏曲に続き、「上の部屋にて」「美しい門で」「五旬節」「癒しの印」「上の部屋」が続けて演奏されました。
核心に当たるのは第3部で、流石にこの部分が終わると拍手が起きましたが(第4部の後でも)、当夜は休憩なし。一気に1時間45分が通されます。

日本では滅多に演奏されない作品(10年以上前に大友/東響が取り上げましたね)ですが、如何にもエルガーの憂いに満ちた合唱作品は素晴らしく、この機会にお聴きになられることをお勧めします。「使徒たち」と共通するモチーフもいくつか登場し、オラトリオ三部作としての意図は明らかでしょう。
人物や事象にライト・モチーフが使われるのはワーグナーの影響によるもの。「指輪」の手法による「パルシファル」的合唱曲と言っても間違いじゃありますまい。
聖ヨハネ役のテノールが完調ではないように感じられましたが、合唱の素晴らしさは流石に英国でした。

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