愛オークスはオブライエンのワン・ツー

今日は先ずアイルランド・オークス Irish Oaks (GⅠ、3歳牝、1マイル4ハロン)から行きましょう。7月19日にカラー競馬場で行われたG戦3鞍、その最後に行われたのがアイルランド平場シーズン最後のクラシックでした。

馬場は good to firm 、所により firm と良馬場で、先日紹介したように11頭が登録していましたが、最終的にはヴォート・オフン Vote Often が取り消して10頭立て。その時にも書いたように、オークス2着のタファーシャ Tarfasha が7対4の1番人気に支持されていました。
スタート直前、クマニ厩舎が英国から送りこんだヴォリューム Volume の後脚に装着していた蹄鉄がアイルランドでは使用禁止になっていることが判明、急遽蹄鉄を取り換えるというアクシデントが発生します。この結果スタートは20分遅れ、待っていたタピストリー Tapestry が入れ込むという連鎖反応も。

レースは3番人気(4対1)のヴォリュームが予想通りの逃げ、直線に向いた時には3馬身ほど後続を引き離していました。これを3番手で追走していたタファーシャが前を行くオブライエン厩舎の1頭パレス Palace を交わして2番手に上がり、そのまま前を捉えるかと見えましたが意外に伸びず、4番手にいた5番人気(10対1)のブレスレット Bracelet が一気に先頭に躍り出ると、後方から追い込む4番人気(13対2)タピストリーを首差抑えて優勝。これも首差でヴォリュームが3着に逃げ粘っていました。
4着以降は4馬身以上離されましたが、ブービー人気(80対1)で女性騎手として初めて愛オークスに騎乗したアナスタシア・オブライエンのビヨンド・ブリリアンス Beyond Brilliance が4着。タファーシャは5着に敗退し、2番人気(7対2)に支持されたムーア騎乗のマーヴェラス Marvellous もスタミナを欠いて8着に終わっています。
結果はエイダン・オブライエン師のワン・ツー・フィニッシュ。師にとっては4度目の愛オークス制覇となりました。勝ったブレスレットに騎乗したコーム・オダナヒューは、これまで何度もニア・ミスがありましたが、漸くアイルランドのクラシック初制覇。また息子のジョセフは、馬場が良化すれば乗りたいと願っていたタピストリーでの2着でしたが、レース前のアクシデントによる入れ込みがアンラッキーだったとも言えましょう。

以上がオークス、続いてクラシックに先立って行われたG戦に行きましょう。
最初はミンストレル・ステークス Minstrel S (GⅢ、3歳上、7ハロン)。8頭が出走し、チーム・オブライエンで去年のこのレースを制したダーウィン Darwin が6対4の1番人気。

先手を取ったのは4番人気(8対1)のアンスガー Ansgar 。快調に飛ばし、2番手を追走したダーウィンでしたが、最後は1馬身まで詰め寄るのが精一杯でした。首差で2番人気(10対3)のイースタン・ルールズ Eastern Rules が3着。
アンスガーを管理するのは、女性調教師のサブリナ・ハーティーさん(Miss Sabrina J Harty)。パット・スマーレン騎乗で、前走ロイヤル・アスコットのダイヤモンド・ジュビリー(GⅠ)10頭立て10着からの巻き返しです。今年6歳になるせん馬ですが、これまで怪我や病気で思うように調整が出来なかった馬、サブリナ女史の苦労が報われたG戦初勝利です。

カラーの最後は2歳戦のアングルジー・ステークス Anglesey S (GⅢ、2歳、6ハロン63ヤード)。1頭が取り消して5頭立て。前走ロイヤル・アスコットのチェシャム・ステークス(リステッド、7ハロン)で2・3着したトスカニーニ Toscanini (未勝利ながら)とディック・ウィッティントン Dick Whittington が2対1で1番人気を分け合っていました。

イトーリオ Itorio の逃げを追走したトスカニーニがゴール前1ハロンで先頭に立ちましたが、これを直ぐに交わしたディック・ウィッティントンが半馬身差グイと伸びて優勝。4分の3馬身差でラピッド・アプローズ Rapid Applause が3着。
勝ったディック・ウィッティントンは、エイダン・オブライエン厩舎、ジョセフ・オブライエン騎乗で、3戦目にネイヴァンで未勝利を脱出、前走がロイヤル・アスコットでした。その前走は7ハロンがステイ出来ず、将来も5ハロンから良馬場の6ハロンが守備範囲と言うスプリンターであることに父子の意見は一致しています。

ところで昨日はイギリスのニューバリー競馬場でもハックウッド・ステークス Hackwood S (GⅢ、3歳上、6ハロン8ヤード)が行われました。英国の競馬誌でも取り上げていないほどマイナーな扱いでした。
good の馬場、2頭が取り消して12頭立て。去年は僅か4頭立てで、勝ったヒーラート Heeraat も連覇を狙って参戦してきましたが、今年は多頭数で苦しいとの評価から7番人気(11対1)に甘んじていました。1番人気(3対1)は前走ダイアモンド・ジュビリー4着の実績馬ミュージック・マスター Music Master

レースは3歳のザット・イズ・ザ・スピリット That is The Spirit が逃げましたが、追い込み馬の競馬となり、本命ミュージック・マスターがヒーラートを首差捉えて期待に応えています。短頭差で4番人気(11対2)のエス・ケ・ラヴ Es Que Love が3着。
ヘンリー・キャンディー厩舎、ファーガス・スウィーニー騎乗のミュージック・マスターは、これがG戦初勝利となる4歳馬。G戦はこれまで去年のジャージー・ステークス(5着)、秋のベングー・ステークス(2着)、そして前走と何れもアスコットで3戦して来ましたが、今回が初勝利となりました。

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