ゲルギエフと世界平和管

プロムス第3夜は「スポーツ・プロムス」ということで、スポーツやその番組のテーマ音楽などが演奏されたようです。これは申し訳ないけれとパスして、次に行きましょう。

7月20日 ≪Prom 4≫
ロクサンナ・パヌフニク/平和への3つの道 Three Paths to Peace (ヨーロッパ初演)
R.シュトラウス/交響的幻想曲「影のない女」
     ~休憩~
マーラー/交響曲第6番
 世界平和管弦楽団 World Orchestra for Peace
 指揮/ワレリー・ゲルギエフ Valery Gergiev

中国フィルを指揮したユーは中国のゲルギエフと呼ばれているそうですが、翌日は「本当のゲルギエフ」登場です。マエストロが指揮者を務めているワールド・オーケストラ・フォー・ピース。

今年のプロムスには3本の矢があると書きましたが、このコンサートは2本目と3本目の矢を併せ持った一夜でしょうか。
今年は第一次世界大戦勃発から丁度100年目に当たり、世界各地で記念の式典が行われていました。プロムスでもこれに因み、第一次大戦と直接関係ある音楽や、「戦争と平和」を意識したコンサートが数多く見受けられます。平和を願うメッセージこそ第2の矢。

プロムス4を担うオケは、国連創設50周年を記念して故サー・ゲオルグ・ショルティが創設したオケ。残念ながらショルティは創設コンサートを振っただけで他界したため、その後を引き継いだのがゲルギエフというわけ。
常設の団体ではなく、機会に応じて臨時編成されるようですね。因みに今回のコンマスはミュンヘン・フィルを率いているコンサート・マスターだそうな。このオケ、プロムスには三度目の登場だそうです。

最初に取り上げられた作品は同オケの委嘱によって書かれた作品で、今回がヨーロッパ地域での初演。作曲家は、有名なアンジェイ・パヌフニクの娘で、1968年生まれ。もちろんこの夜も会場に列席し、客席の歓声に応えていました。
弦のソロと鐘の音が目立つ10分強ほどの作品で、タイトルの通りアブラハムとイサクの話を基にしたもの。キリスト教、ユダヤ教、イスラム教による三者三様の平和への道を探ります。今年のプロムスには最適の作品でしょう。彼女のホームページは以下、ヴィデオもありますが、これとは別にユーチューブを探せば当作品をゲルギーが振ったものもあった筈。

http://www.roxannapanufnik.com/

続いて演奏されるのは、今年のプロムスのテーマ、3本目の矢に当たるリヒャルト・シュトラウス生誕150年を記念したもの。プロムスでは「バラの騎士」「サロメ」「エレクトラ」が全曲演奏されますが、残念ながらこれだけ。「影のない女」も演奏会形式で全曲が聴きたかったのですが、良い所取りの交響的幻想曲でお茶を濁した印象です。

最後はマーラーの6番。この作品は一昨年もシャイイーとゲヴァントハウスが取り上げましたが、アルバート・ホールでナマ体験するなら別ですが、ネット中継では如何にハイ・ディフィニション・オーディオといっても厳しいものがあります。
シャイイーと同様、2・3楽章はアンダンテ→スケルツォの順でした。第4楽章のハンマーも2回で、これまた一昨年と同じ。臨時編成オケだけあって、あるいはゲルギーの指揮だけに、縦線は全く合いません。そんなことはお構いなしに大歓声。

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