2014クラシック馬のプロフィール(10)

英愛仏のクラシック馬を血統面から考察するシリーズ、第9回までで暫く止まっていました。仏オークスはアヴニール・セルタン Avenir Certain が、愛ダービーはオーストラリア Australia が夫々制して2冠を達成していたからです。
そして今回、アイルランド・オークスに勝ったブレスレット Bracelet を取り上げましょう。ブレスレットは父モンジュー Montjeu 、母チェリー・ヒントン Cherry Hinton 、母の父グリーン・デザート Green Desert という血統。

しかしブレスレットに付いては、私がここで新たに紹介する必要もないでしょう。母の母、つまり2代母はあのアーバン・シー Urban Sea で、既にその産駒シー・ザ・スターズ Sea the Stars が2000ギニーに勝った時にプロフィールも紹介していました。
具体的には「2009クラシック馬のプロフィール(1)」という記事で、2代母以降はそちらを読んでください。ブレスレットはシー・ザ・スターズの姪に当たる名血なのですね。

兄にガリレオ Galileo 、弟にシー・ザ・スターすを持つ母チェリー・ヒントン(2004年 鹿毛)は、クールモアが購入した馬で、アイルランドでエイダン・オブライエン師によって調教されました。競走成績は5戦未勝利と一見変哲もないように見えますが、中々そうでもありません。3歳時の僅か5戦ですから、全てを紹介しちゃいましょう。ご覧あれ。
2007年4月29日 ネイヴァン競馬場の未勝利戦(8ハロン firm) 9頭立て3着(ヘファーナン騎乗)
2007年5月16日 ネース競馬場 ブルー・ウインド・ステークス(GⅢ、10ハロン good) 14頭立て2着(ヘファーナン騎乗)
2007年6月1日  エプサム競馬場 オークス(GⅠ、12ハロン good to soft) 14頭立て5着(ヘファーナン騎乗) 勝馬はライト・シフト Light Shift
2007年6月22日 アスコット競馬場 コロネーション・ステークス(GⅠ、8ハロン good to soft) 13頭立て12着(ムルタ騎乗)
2007年7月15日 カラー競馬場 キルボイ・エステート・ステークス(リステッド、9ハロン soft) 11頭立て3着(ヘファーナン騎乗)

これが全てです。1戦未勝利のまま2戦目でいきなりG戦に挑戦して2着、そのまま何とオークスに遠征し、シッカリ5着賞金を獲得している辺り、厩舎の期待が如何に高かったかが判ろうというもの。この時点ではダービー、愛ダービー馬ガリレオの妹という血統が売りだったと思いますが、現在ではその価値はもっと高くなっています。

繁殖牝馬としての価値が高いチェリー・ヒントンは、5戦のみで競走馬を引退し、繁殖に入ります。これまでの産駒は、
2009年 ワディング Wading 鹿毛 牝 父モンジュー 3戦2勝2着1回 エイダン・オブライエン厩舎でロックフェル・ステークス(GⅡ)優勝
2010年 レイク・ミシガン Lake Michigan 鹿毛 牡 父モンジュー 未出走
2011年 ブレスレット
2012年 シンプリー・ア・スター Simply a Star 栗毛 牝 父ジャイアンツ・コーズウェイ Giant’s Causeway 4戦未勝利(2014年7月22日現在) エイダン・オブライエン厩舎

即ちブレスレットは母の3番仔で、2頭目の勝馬。しかも全姉のワディングも2歳時にGⅡを勝っており、クラシックに向けてオッズも出されていました。残念ながら姉は調整が巧くいかずクラシックは無縁でしたが、妹の活躍で繁殖牝馬としての価値は絶大なものがあります。

以上でこの項は終了。もし私がブレスレットのオーナーなら、その後の成績がどうあろうとも3歳で現役を終え、直ぐに配合相手を考えるでしょう。それほどの名血と言って間違いありません。
ファミリー・ナンバーは9-h。

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください