3歳馬、速し

イギリスの平場シーズンも残り2か月となってきました。残るはセントレジャー開催のドンカスター、2歳馬のGⅠが集中するニューマーケット、そしてチャンピオン・シリーズのアスコットが主な開催ですね。
その前、英国の短距離路線では最後のGⅠとなるスプリント・カップが行われました。それを中心とするレポートです。

そのヘイドック競馬場、先ずはスーペリアー・マイル Superior Mile (GⅢ、3歳上、1マイル)から。やや渋った good の馬場に1頭が取り消して6頭立て。ここ4年で2勝しているロジャー・チャールトン厩舎ということもあり、前々走ソールズベリーでソヴリン・ステークス(GⅢ)に勝ったキャプテン・キャット Captain Cat が15対8の1番人気。

ペニテント Penitent が逃げ、先行していた3番人気(11対4)のオーシャン・テンペスト Ocean Tempest が抜けた所に後方2番手に付けていたキャプテン・キャットが急襲し、5番人気(18対1)のボルティー・ボーイズ Balty Boys に1馬身半差で人気に応えました。頭差でオーシャン・テンペストが3着。
上記ロジャー・チャールトン厩舎、ジョージ・ベイカー騎乗のキャプテン・キャットは、前走グッドウッドのセレブレーション・マイルでは仕掛けが遅れたことが災いしての3着。この時騎乗していたジェームス・ドイルは自らの判断ミスを認めていました。次走はニューマーケットのGⅡ戦(ジョエル・ステークス)、一気にドバイでGⅠ奪取まで狙える5歳馬と見ました。

そしてスプリント・カップ Sprint Cup (GⅠ、3歳上、6ハロン)。17頭と英国を代表するスプリンターが揃い、キングズ・スタンド、ナンソープとGⅠに連勝したソール・パワー Sole Power が5対2の1番人気。但し連勝したのは何れも5ハロン、1ハロン伸びたここでは逆転を狙う俊英も虎視眈々と機会を狙っています。
7歳の古豪ソール・パワーに挑戦するのは、去年の勝馬で2番人気(6対1)に支持されているゴードン・ロード・バイロン Gordon Lord Byron (パターン・レースが導入されてから2連覇は出ていません)の他、前走ナンソープではソール・パワーの後塵を拝した5頭の3歳馬も含まれていました。

逃げたのは、その3歳馬の一角ホット・ストリーク Hot Streak 。人気のソール・パワーは指定席の最後方に待機し、連覇を目指すゴードン・ロード・バイロンが先行から抜けて連覇目前となりましたが、後方から馬群を縫うように脚を伸ばしたのが、やはり3歳馬で7番人気(11対1)のジー・フォース G Force 、ゴードン・ロード・バイロンを4分の3馬身差し切っていました。1馬身半差で3番人気(15対2)のミュージック・マスター Music Master が3着、ソール・パワーも追い上げましたが半馬身及ばず4着。1ハロン伸びた距離と、騎乗したヒューズ騎手のコメントでは馬場が柔らか過ぎたことが敗因だったようです。
勝馬を管理するデヴィッド・オメーラ師、騎乗したダニー・タドホープ騎手共々GⅠは初制覇。3歳馬が勝ったのは、最近11年で4度目となりました。ジー・フォースは、2歳時は1戦のみ。今年初戦で初勝利を挙げ、続くハンデ戦も連勝。その後クラスを上げたハンデ戦で3・2着と惜敗が続きましたが、前々走は思い切ってグッドウッドのキング・ジョージ・ステークス(GⅡ)に挑戦して5着。そして前走ナンソープでも6着でしたが、後半で追い込んだ伸び脚には、距離が延びれば逆転も可能と思わせるものがありました。いきなりGⅠホースになったジー・フォースは、6ハロンから7ハロンの追い込み馬として未だ未だ活躍が期待できそうです。

さて昨日は、ケンプトン競馬場のポリトラック・コースでもG戦が2鞍組まれていました。馬場状態は standard ということで、芝とは違う表記になります。
最初のセプテンバー・ステークス September S (GⅢ、3歳上、1マイル4ハロン)は7頭立て。これが今期初戦ながら去年のセントレジャー6着、シーズンをアスコットのカンバーランド・ロッジ・ステークス(GⅡ)優勝で締めたシークレット・ナンバー Secret Number が5対2の1番人気。

ブービー人気(12対1)のパタリオン Battalion がスロー・ペースに落としての逃げ。シークレット・ナンバーも先行しましたが、抜け出した所に追い込んだのは、5番人気(15対2)のプリンス・ビショップ Prince Bishop 、シークレット・ナンバーに2馬身差を付けてゴドルフィンのワン・ツー・フィニッシュとなりました。1馬身4分の1差で逃げたパタリオンが3着。
1・2着を独占したサイード・ビン・スロール厩舎、フレッディー・ティリッキ騎乗のプリンス・ビショップは、実は去年のこのレースの勝馬で、2連覇達成。今期はドバイのGⅠを制して臨んだワールド・カップが9着、今回はそれ以来の休み明けに加え、GⅠ勝ちのペナルティーとして7ポンドが課せられていたことで人気を落としていたようです。この冬もドバイで一層の活躍が期待される所でしょう。

最後はサイレニア・ステークス Sirenia S (GⅢ、2歳、6ハロン)。2歳馬のポリトラック戦という珍しい条件、1頭が取り消しても10頭が揃いました。前走ニューマーケットの芝戦で2着に4馬身差を付けて圧勝したホーム・オブ・ザ・ブレイヴ Home of the Brave が11対10の1番人気。
2勝馬のエスカレーティング Escalating が逃げ切りを図りましたが、人気のホーム・オブ・ザ・ブレイヴがこれを交わして先頭。しかし後方に待機していた3番人気(12対1)のバーント・シュガー Burnt Sugar が一気に追い込み、2番人気(5対2)のマフトゥール Maftool に2馬身4分の1差を付けて快勝。更に4分の3馬身差でホーム・オブ・ザ・ブレイヴは3着でした。

リチャード・ハノン厩舎、フランスからジェラール・モッセが渡英して騎乗したバーント・シュガーは、去年の勝馬ブラウン・シュガー Brown Sugar の半弟という血統。前々走リングフィールドのポリトラック・コースで初勝利を挙げ、前走ヨークのナーザリー(芝コース)では5着でした。騎乗したモッセは陣営にフランス行きを進言したとか。何処に活躍の場を見出すのか興味が沸いてきましたね。

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