秋への一服
先週でニューヨークもカリフォルニアも夏競馬を終えたアメリカ、今週は本格的な秋競馬のスタートを前にして一服感が漂います。ケンタッキー、シカゴ、ルイジアナの各州から5鞍のG戦をレポートして行きましょう。
最初はチャーチル・ダウンズ競馬場の3鞍。先ずアック・アック・ハンデキャップ Ack Ack H (GⅢ、3歳上、8ハロン)は fast の馬場に5頭立て。前走モンマス・カップ(GⅡ)で2着したブラデスター Bradester が6対5の1番人気。
スタートから先手を取ったブラデスター、一旦ライト・トゥー・ヴォート Right to Vote に絡まれる場面もありましたが、そのまま押し切って3番人気(5対2)カーヴ Carve に1馬身4分の3差で優勝。5馬身半差の3着には2番人気(2対1)のフラッシュバック Flashback が入って順当に収まりました。
エディー・ケナリー厩舎、コーリー・ラヌリー騎乗のブラデスターは、2月にマインシャフト・ハンデ(GⅢ)を制していた馬。サルヴァトーレ・マイル(GⅢ)、モンマス・カップと2着が続いていましたが、ここで二つ目のG戦勝ち、BCダート・マイルが目標になるでしょう。
この後は将来に向けて重要な2歳戦。先ず牡馬によるイロコイ・ステークス Iroquois S (GⅢ、2歳、8.5ハロン)は来年のケンタッキー・ダービーのポイント対象となる最初のレースで、勝馬にはBCジュヴェナイルの優先出走権も与えられます。9頭が参戦し、サラトガ・スペシャル(GⅡ)2着のミスター・ズィー Mr. Z が6対5の1番人気。
そのミスター・ズィーがスタートから飛ばしましたが、2番手を追走していた6番人気(11対1)のラッキー・プレイヤー Lucky Player が第4コーナーでこれを捉えて先頭。一旦は6番手から進出してきた3番人気(4対1)のボールド・コンケスト Bold Conquest に交わされましたが、再び首差で差し返してのサプライズ。1馬身半差で2番人気(7対2)のハシュタッグ・バーボン Hashtag Bourbon が前が開かず外に出して3着に入り、ミスター・ズィーは5着に沈んでしまいました。
1・2着馬は共にスティーヴン・アスムッセン師の管理馬で、勝馬はリカルド・サンタナ騎乗。5月にチャーチルで新馬勝ちし、バシュフォード・マナー(GⅢ)は不利があっての4着、前走一般ステークスのプレーリー・メドウズ・ジュヴェナイル・マイルで2着。これで4戦2勝となり、ステークスもG戦も初勝利となりました。もちろんBCも、来年はダービーも目標となるでしょう。
続いても同じ条件の牝馬によるポカホンタス・ステークス Pocahontas S (GⅢ、2歳牝、8.5ハロン)。BCジュヴェナイル・フィリーズの対象レース、ケンタッキー・オークスのポイント対象で、去年はGⅡでした。10頭立て、サラトガでスカイラーヴィル・ステークス(GⅢ)2着のテイク・チャージ・ブランディー Take Charge Brandi が3対2の1番人気。
しかしこちらも本命馬は期待を裏切り、2番人気(7対2)のクリスティーナズ・ジャーニー Cristina’s Journey がまんまと逃げ切ってしまいました。2馬身4分の1差で3番人気(9対2)のパングバーン Pangburn が2着、更に2馬身半差でブービー人気(29対1)のマイルハイ・バタフライ Milehigh Butterfly が3着に入り、テイク・チャージ・ブランディーは3番手追走から伸びず5着。
デール・ロマンス厩舎、ミゲル・メナ騎乗のクリスティーナズ・ジャーニーは、7月27日にエリス・パークのデビュー戦を逃げ切り勝ちしたばかり。2戦目のステークス初挑戦でBC出走権とオークスへの10ポイントを獲得しました。
2歳戦が続いたので、次もアーリントン・パーク競馬場からアーリントン=ワシントン・フューチュリティー Arlington-Washington Futurity (GⅢ、2歳、7ハロン)に行きましょう。去年は8ハロンでしたが、今年は1ハロン短縮されての施行です。来年からメイン・コースが再びダート・コースに戻るということで、最後のポリトラック・コースに1頭が取り消して7頭立て。この日チャーチル・ダウンズのイロコイを制したラッキー・プレイヤーが2着だったプレーリー・メドウズ・ジュヴェナイル・マイル3着のリカウント Recount が9対5の1番人気に支持されていました。
前走は1番人気で敗れたリカウント、今回は裏切ることなく逃げ切りました。しかしレースは大接戦で、2番手を進んだ3戦無敗のプライヴェイト・プロスペクト Private Prospect (4対1)とは頭差、4番手から追い込んだワン・ゴー・オール・ゴー One Go All Go も更に頭差3着という結果です。最内を通ったリカウント、真ん中のプライヴェイト・プロスペクト、外のワン・ゴー・オール・ゴーは通ったコースが結果を左右した印象。
ジェームス・ディヴィート厩舎、エマヌエル・エスキヴェル騎乗のリカウントは、7月20日にアーリントンでデビュー勝ち、続く上記一般ステークスで人気になりながらの3着。これで3戦2勝となります。
最後にルイジアナ・ダウンズ競馬場からスーパー・ダービー Super Derby (GⅡ、3歳、9ハロン)。一時期はGⅠに格付けされ、アリシェバ Alysheba やサンデー・サイレンス Sunday Silence が制したこともあるこのレース、現在は往時のハイレヴェルは望めません。35回目の今年は fast の馬場に11頭立て。ルイジアナ・ダービー(GⅡ)馬ヴィカーズ・イン・トラブル Vicar’s in Trouble が6対5の1番人気に支持されていました。
28対1の伏兵アイド・ビー・クール Ide Be Cool を3番手から2番手とマークしたヴィカーズ・イン・トラブル、第3コーナーで先頭に立つと、後は完全な独走。88対1の大穴デクランズ・ファスト・キャット Declan’s Fast cat に7馬身4分の1差を付ける圧勝劇でした。4分の3馬身差で5対1のヴィクトリー・ノア・デイフィート Victory Nor Defeat が3着。
マイケル・メイカー厩舎、ロージー・ナプラヴニク騎乗のヴィカーズ・イン・トラブルは、ルイジアナ・ダービーのあとケンタッキー・ダービーは最下位。アイオワ・ダービー(GⅢ)、ウェスト・ヴァージニア・ダービー(GⅡ)と何れも3着した後、ルイジアナ以来の勝利となります。他にル・コント・ステークス(GⅢ)にも勝っており、G戦勝利は三つ目。
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