ハリウッド・パーク、最後のG戦

昨日の12月14日、今年一杯で閉鎖が決まっているハリウッド・パーク競馬場で最後のG戦が行われました。南国フロリダのG戦と併せて紹介して行きましょう。

先ずはガルフストリーム・パーク競馬場で行われたG戦1鞍、シュガー・スワール・ステークス Sugar Swirl S (GⅢ、3歳上牝、6ハロン)から。fast の馬場に6頭立て。11月2日にカルダー競馬場で行われた一般ステークス(ボールド・ワールド・ハンデ)で1・2着を争った2頭が中心と見做され、その時は1馬身差で2着だったハート・スティーラー Heart Stealer がイーヴンの1番人気。勝ったアール・フリー・ロール R Free Roll は2番人気(5対2)と逆転していました。前走とは枠順の利・不利が逆転していたからでしょうか。
前走同様アール・フリー・ロールが逃げ、前半は5番手に控えていたハート・スティーラーが徐々に進出すると、直線では3頭分の外から末脚を活かし、内ラチ沿いに粘るアール・フリー・ロールを首差で差し切って人気通りの結果となりました。同じく首差で2頭の真ん中を衝いたマニングズ・シスター Munnings Sisiter が3着。
マーチン・ウルフソン厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のハート・スティーラーは、これがG戦初挑戦での初勝利。通算成績は10戦3勝となります。これがシュガー・スワール3勝目となるカステラノ騎手、前日の第3レースに勝ってアメリカのシーズン獲得賞金レコードを更新($25,655,988)したばかり、その時点で勝鞍も345勝となり、全米リーディングは確実な情況。G戦勝鞍も加えて、記録を更に伸ばしました。

そしてハリウッド・パーク競馬場。開催そのものは来週22日がグランド・フィナーレで、その日は特別にガラも行われる予定ですが、G戦は昨日が最後でした。掉尾を飾るG戦は3鞍。最初は一昨年までGⅠだったハリウッド・ターフ・カップ・ハンデキャップ Hollywood Turf Cup H (芝GⅡ、3歳上、12ハロン)。馬場は firm 、6頭が出走し、前走 yielding 馬場のカナディアン・インターナショナルで5着したテメレーヌ Temeraine が7対5の1番人気。9月には同じ距離のケンタッキー・ターフ・カップ(芝GⅢ)を1番人気で勝っているステイヤーです。
レースは3番人気(3対1)のセグウェイ Segway が逃げ、2番手を追走したテメレーヌが抜け出しましたが、前半は8馬身差で最後方を追走していた2番人気(8対5)のルカイヤン Lucayan が3コーナーから外を回って仕掛け、最後は本命馬を半馬身差し切っての鮮やかな追込み勝ちを決めました。2馬身4分の1差で逃げたセグウェイが3着。
31年の歴史でこのレース初制覇となるネイル・ドライスデール厩舎、今回が同馬に初めてとなるジョエル・ロザリオ騎乗のルカイヤンは、去年の仏2000ギニーを大穴で制した馬。その後勝鞍に恵まれず9連敗中でしたが、漸く長いトンネルを抜けた形です。アメリカに転厩してからは、7戦目での初勝利。夏はデル・マー・ハンデ(芝GⅡ、11ハロン)で2着、9月にはサンタ・アニタでジョン・ヘンリー・ターフ・チャンピオンシップ(芝GⅡ)で3着と一息足りない競馬が続いていました。ドライスデール師によれば、フランスではマイラーだったが、アメリカではスピード的に後れを取り、思い切って長距離を使ったのが良かったとのこと。カナダは馬場が重くスピードが活かされませんでしたが、今回は良馬場に戻ったことも好結果を産んだ要因と思われます。

続いてネイティヴ・ダイヴァー・ステークス Native Diver S (GⅢ、3歳上、9ハロン)。2頭が取り消して7頭立て。注目されるのは、3頭出しで臨むジェリー・ホーレンドルファー厩舎で、5対2の1番人気に支持されたのも師のヒア・ザ・ゴースト Hear The Ghost で、サン・フェリペ・ステークス(GⅡ)の勝馬ながら未だ経験の浅い1頭。前走休養明けのクレーミング戦2着を叩かれての良化に期待が掛かります。
4頭の激しい先頭争いを制したのは、同じホーレンドルファー厩舎のブルースカイズンレインボウズ Blueskiesnrainbows 。ハナ争いに脚を使ったにも拘わらず、最後まで粘り切っての鮮やかな逃げ切り勝ち。本命ヒア・ザ・ゴーストが3番手から追い上げて半馬身差の2着。更に半馬身差で3着に入った3番人気(4対1)ラウジング・サーモン Rousing Sermon もホーレンドルファー厩舎の1頭で、ホーレンドルファー師のワン・ツー・スリーとなりました。人気も1番人気と2番人気が入れ替わっただけと順当。
マーチン・ペドローザが騎乗したブルースカイズンレインボウズは、前走BCマラソン(GⅡ)で2着した4歳馬。去年ボブ・バファート厩舎に所属した時に、同じハリウッド・パークでスワップス・ステークス(GⅡ)に勝っており、サンタ・アニタ・ダービー(GⅠ)でも3着に入っていました。

ハリウッド・パーク競馬場で行われる最後のG戦となったのが、33回目となるキャッシュコール・フューチュリティー CashCall Futurity (GⅠ、2歳、8.5ハロン)。1頭が取り消して12頭立て。イーヴンの1番人気には2戦2勝、前走ハリウッド・プレヴュー・ステークス(GⅢ)を7馬身差で圧勝して一躍スターダムに躍り出た感のあるシェアード・ビリーフ Shared Belief 。せん馬ながら3戦全勝でクラシック路線に乗れるでしょうか。ヨーロッパとは違ってせん馬にも参戦の権利があるアメリカならではの現象でしょう。
先手を取ったのは伏兵(99対1)ブラザー・ソルジャー Brother Soldier 、一時は後続に4馬身差を付ける大逃げを打ちます。これを2番手で追走した本命シェアード・ビリーフ、向正面中程でキャンディー・ボーイ Candy Boy の出し抜けを食わせるようなスパートにも動じず、直線でキャンディー・ボーイを捉えると最後は独走。2着に粘り込むキャンディー・ボーイに何と5馬身4分の3差を付ける圧勝劇で見事人気に応えました。更に1馬身4分の1差で3番人気(8対1)のデル・マー・フューチリティー(GⅠ)勝馬タマランド Tamarando が3着に入り、又してもホーレンドルファー厩舎の1着・3着。2番人気(5対2)に支持されたBCジュヴェナイル5着馬タップ・イット・リッチ Tap It Rich は11着敗退です。キャンディー・ボーイが向正面でスパートした際にコービーズ・バック Kobe’s Back (結果10着)が躓いたことが審議となりましたが、コービーズ・バックがキャンディー・ボーイに乗り掛かったのが原因として訴えは却下されました。
ジェリー・ホーレンドルファー厩舎、コーリー・ナカタニ騎乗のシェアード・ビリーフは、これで無傷の3連勝。現時点でのケンタッキー・ダービー候補筆頭に祭り上げられそうな勢いです。1・2着馬が共にキャンディー・ライド Candy Ride 産駒と言うのも血統ファンには注目される所でしょう。ホーレンドルファー師は、最後となったフューチュリティーを1988年のキング・グローリアス King Glorious 以来となる2勝目で有終の美を飾りました。

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