今日の1枚(208)

暫く音盤カテゴリーは休んでいましたが、今回はエーリッヒ・クライバーに登場願いましょう。昨今のファンはクライバーと言えば息子のカルロスの人気が断然でしょうが、私共の世代では、「断然」父親のエーリッヒですね。カルロスなんてとんでもない、と・・・。
トスカニーニが1929年?にベルリンの芸術祭に参加した時に撮られた有名な写真があります。トスカニーニにフルトヴェングラー、ワルター、クレンペラー、そしてクライバーが一堂に会して撮影されたもの。この5人こそ、当時(そして今も)のスター級指揮者なのであります。他の4人が戦後も主要なポストについて多くの正規録音を残したのに対し、クライバーは1956年に急逝してしまったのは如何にも残念。その残された録音で偲ぶ「20世紀の偉大な指揮者たち」シリーズの1枚目は、次の2曲です。

①シューベルト/交響曲第5番
②ベートーヴェン/交響曲第6番

①は北ドイツ放送交響楽団、②はチェコ・フィルハーモニー管弦楽団を振った共にライヴ録音。拍手こそカットされていますが、クライバーの貴重な遺産でしょう。録音のデータ等は記載が無いので不明ですが、①に付いては同じ音源と思われるものがイタリアのヒストリカル・レーベルである IDIS から配信されており、それによると1953年1月29日にハンブルクでの演奏と記載されています。
その①は残響が過剰に多く、どうやら疑似ステレオ処理がされているようです。チョッと聴くとステレオ録音の様にも感じられますが、楽器が左右に分離されてないので、オリジナルはモノラル録音と思われます。EMIのシリーズと IDIS は基本的に同じですが、EMI配信の方が若干改良されているように感じられました。
リピートに関しては、第1・2楽章は全て省略。第3楽章は定石通り実施し、第4楽章は最初の第44小節のみ実行し、後半は省略しています。ライヴ演奏ですから、録音の際の盤面の都合によるものではないでしょう。

②は珍しくチェコ・フィルを振った録音で、音質から判断しても戦後の演奏と思われます。クライバーの田園はコンセルトヘボウとの有名なスタジオ録音がありますが、これは貴重な追加と言えそう。①と違って疑似処理がされていない純粋のモノラル録音。
第1楽章提示部のリピートは省略していますが、第3楽章は全て反復されています。特に終楽章は感動的な名演。

参照楽譜
①オイレンブルク No.508
②フィルハーモニア No.3

 

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