今日の1枚(209)
昨日に続いてエーリッヒ・クライバーの2枚目です。以下の6曲が収録されていることになっていますが、後で記すように極めて珍奇なる1枚。
①モーツァルト/交響曲第40番
②リヒャルト・シュトラウス/交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
③ドヴォルザーク/序曲「謝肉祭」
④ヨゼフ・シュトラウス/ワルツ「天体の音楽」
⑤ヨハン・シュトラウスⅡ世/喜歌劇「ジプシー男爵」序曲
⑥ヨハン・シュトラウスⅡ世/「仲良しのワルツ」
①③④⑤がロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、②は北ドイツ放送交響楽団、⑥はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団との演奏とクレジットされています。全てモノラル録音で、例によってこの配信にはデータが記載されていません。
①は既にデッカから正規盤として発売されているものと同じで、デッカ盤のデータによると、1949年4月25日にロンドンのキングスウェイ・ホールで録音されたもの。プロデューサーは Victor Olof 、エンジニアが Kenneth Wilkinson という表記は信じても良いでしょうか。
初出はデッカの LX 3022 で、2面に収録。LPながら78回転という一時的に採用された珍しい方式での発売だったようです。WERMによるとクラリネット無しのオリジナル版での演奏とありますが、これは聴けば判るように間違いで、クラリネット版での演奏です。リピートは第3楽章のみ。
②は1枚目のシューベルト第5と同じオーケストラを指揮したライヴ録音ですが、明らかに同じ日の演奏ではありません。こちらは純粋なモノラルで、音質も極めて良好。特にティンパニは皮の振動が伝わってくるようで嬉しい驚き。最後の拍手も収録されています。
問題は③で、音が流れてくると、明らかに全く別の音源。ドヴォルザークではなく、ヴィオリンのソロと弦楽合奏によるステレオ。曲名は判りません。恐らくオリジナルのCDに誤って入っているのでしょうが、珍品奇盤の類。そもそも4分で謝肉祭が収まる訳はありませんからね。
ドヴォルザークの謝肉祭に付いては、1948年2月21日にロンドンのキングスウェイ・ホールで録音されたデッカの正規音盤があり、そちらが入る筈だったのでしょう。
クライバーはシュトラウス一家の音楽をかなり録音していて、戦前のSPファンには寧ろワルツの指揮者として知られていたのではないでしよぅか。④⑤は共にロンドン・フィルとの正規録音で、データが無いので断言できませんが、①やドヴォルザークと同じ時期に録音されたものと思われます。クライバーは、⑤を戦前にベルリン・フィルを指揮して録音したテレフンケン盤がありましたが、それとは全く別の音源です。
④はデッカからSPで K 1924 の2面で出たのが初出。⑤も同じくデッカのSP2面、K 1954 で出ていました。ワルツは繰り返しをするかしないか、当時は録音の場合に収録時間の関係もあってバラバラ。敢えて指摘することも無いと思いますので省略しましょう。
⑤はワルツの本場ウィーン・フィルを振ったもので、SP時代にHMVから C 1676 等で出ていたもの。要するに「こうもり」のメロディーをオムニバス風に並べたもので、367という作品番号が附されています。
同じ音源と思われるものが Archiphon からも配信されていて、それによれば1929年2月3日の録音の由。
参照楽譜
①フィルハーモニア No.27
②ペータース Nr.4192e
③???
④日本楽譜出版
⑤オイレンブルク No.1106
⑥無し
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