今日の1枚(84)

昨日はどうしてもツクシが食べたくなって、甲州街道を西下、コジュケイやウグイスの歌を楽しみながら一日を過ごしてしまいました。
拙宅の近所でもソメイヨシノが開花しましたし、枝垂桜は樹によっては満開を迎えているものもあります。
ということでレコード鑑賞はお休みでした。

今日はフルトヴェングラーのチャイコフスキー、もう1枚を取り上げます。TOCE-3800 、交響曲第6番ロ短調作品74「悲愴」。
ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のスタジオ正規録音で、1938年10月と11月、ベルリンでの録音とクレジットされています。
当盤のケース裏側にはライヴ録音と表記されていますが、これは明らかな誤り。

1938年録音ですから初出は当然ながらSP。HMVの DB 4609/14 6枚12面でした。この録音、日本では昭和14年(1939年)に日本コロムビアから発売されて大変評判になったのだそうです。
当CDのカバーは、後に東芝エンジェルからLPとして初出したときのデザインを使用していると思われます。ゴッホの絵画をあしらったもの。

SPですから限界はありますが、良く聴いてみると中々優れた録音だと思います。当時のベルリンフィルの素晴らしい合奏力が余さず録られている一品。
演奏もフルトヴェングラーが大変充実した演奏を聴かせ、第3楽章の行進曲が全奏で出る直前(練習記号Yの直前)など大声で叫ぶ声が収録されていますし、アチコチにリズムを取る足音が聴かれます。
ライヴのフルトヴェングラーはうるさい指揮者の代表格だったろうことが偲ばれますね。
第1楽章の提示部の終わりの p 6つはバス・クラリネットで代用しています。
更に面白いのは、この楽章の最後のトロンボーンとティンパニに低弦のピチカートを加えていること。これが明瞭に聴き取れることでも、この録音の優秀さが証明できるでしょう。
第2楽章主部の繰り返しは実行。中間部の繰り返し2箇所、前半は実行しますが、後半は省略しています。
この直後にSP面の繋ぎがあるのですが、恐らくLP化の際に上手くいかなかったのでしょう、次の小節の頭(練習記号F)が音符一つ分被ってしまっています。5拍子が4拍子になってしまう。

参照楽譜
ユニヴァーサル(フィルハーモニア) No.64

 

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください