本命馬強し!
新年も2週目に入り、昨日はフロリダとカリフォルニアで5鞍のG戦が行われました。GⅠ戦は2月まではありませんが、そのステップとなるレースが続きます。
先ずは先週に続きガルフストリーム・パーク競馬場から。10日は3鞍が組まれていましたが、最初はダート・コースのハルズ・ホープ・ステークス Hal’s Hope S (GⅢ、4歳上、8ハロン)。fast の馬場に1頭が取り消しての5頭立て。去年の勝馬で、ほぼ1年の休養明けとなるリー Lea がイーヴンの1番人気。
5頭立てと言うことで5頭が一団となるスロー・ペースの展開。最初は3番人気(6対1)のゴールデン・ラッド Golden Lad が、続いて2番人気(8対5)のヴァリッド Valid が逃げましたが、後続も余り離されずに追走。最初は最後方に下げたリーも終始内をキープして後方2番手の位置。第4コーナーに向かって最後方に付けていた最低人気(と言っても10対1)のコンフロンテーション Confrontation が外から一気にスパートして直線で先頭に立ちましたが、一旦最後方に下げたリーが直線では大外に回し、鋭く伸びると更に外からコンフロンテーションを半馬身捉えて見事人気に応えました。ハナ差で3番手を追走していた4番人気(7対1)のプレイヤー・フォー・リリーフ Prayer for Relief が3着。
ウイリアム・モット厩舎、ジョエル・ロザリオ騎乗のリーは、ハルズ・ホープ2連覇。去年はここをステップに2月初旬のドン・ステークスもコース・レコードで連勝してGⅠ馬となりましたが、その後ヴィールス感染から発熱、ほぼ1年を棒に振ってしまった6歳馬です。長い休みを挟んでの3連勝、一昨年までのアルバート・ストール厩舎時代は芝馬としてG戦にも勝っていましたが、去年はダート・コースのチャンピオンを狙える器として期待されていただけに、今年は無事に1年を走り、去年果たせなかった古馬チャンピオンの座を目指すことになるでしょう。次走はもちろん2月7日のドン・ハンデ(GⅠ)2連覇が目標。
続いての2鞍は何れも古馬による芝のマイル戦、牝馬によるマーシュアズ・リヴァー・ステークス Marshua’s River S (芝GⅢ、4歳上牝、8.5ハロン)は firm の芝コースに10頭立て。去年G戦に3勝し、BCフィリー・アンド・メア・ターフ6着以来となるパランダ Parranda が6対5の1番人気に支持されていました。
レースは1枠発走から8番人気(20対1)のスカイランダー・ガール Skylander Girl が逃げ、3番枠発走のパランダは内の3~4番手。直線では外に出しながら逃げ馬を捉えると、そのままスカイランダー・ガールに3馬身差を付ける圧勝で期待に応えました。ハナ差で7番手から追い込んだ7番人気(19対1)のホワイ・キャサリン Why Katherine が3着。
クリストフ・クレメント厩舎、ジョン・ヴェラスケス騎乗のパランダはBCの後に中国の馬主(チャイナ・ホース・クラブ)グループが入手してクレメント厩舎に転じた6歳馬で、来月シンガポールで行われる中国競馬文化祭に出走させるのが目標なのだとか。そのための調整を進めていましたが、出来が良いのでここへの参戦に踏み切った由。去年の年初にはここガルフストリーム・パークでスワニー・リヴァー・ステークス(芝GⅢ)に勝ち(ロドルフォ・ガルシア厩舎で)、その後カリフォルニアでもウイルシャー・ステークス(芝GⅢ)、ロイヤル・ヒロイン・ステークス(芝GⅡ)と勝ち星を重ね、いくつかのGⅠ戦でも入着を果たしてBCにまで駒を進めてきました。
ガルフストリームの最後は、牡馬によるGⅡ戦のフォート・ローダーデール・ステークス Fort Lauderdale S (芝GⅡ、4歳上、8.5ハロン)。今年が58回目だそうですが、創設は1947年。計算が合わないのは施行されない年が何年もあったからで、GⅢに格上げされたのが2010年のこと。GⅡに上がったのも2013年ということで、G戦になってから日が浅いため、レースとしての歴史を辿るのが困難な一戦でもあります。今年はダート変更予備登録を含めて2頭が取り消し、12頭立て。前走アメリカでのステークス初勝利を飾ったムシャウィシュ Mshawish が9対5の1番人気。
ここも1番枠から出た5番人気(9対1)のシルヴァー・フリーク Silver Freak が逃げ、ムシャウィシュは4番手から向正面では3番手を窺う好位で待機。直線ではやや膨れ気味に外を回ったムシャウィシュ、内から伸びる7番人気(13対1)のグランド・ティト Grand Tito を首差抑えて優勝。この日のG戦3鞍は何れも1番人気が勝つ結果となりました。2馬身4分の1差で後方4番手から追い込んだ9番人気(45対1)のフレデリックスバーグ Fredericksburg が3着。
トッド・プレッチャー厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のムシャウィシュは、一昨年3歳時にはフランスのギッシュ賞で2着したことのある馬。ヨーロッパでは7戦し、ドーヴィルのトルゲヴィヌ賞(一般ステークス)など2勝し、去年2月にはドバイで現地のGⅡ戦(サビール・マイル)に優勝。デューティー・フリー(GⅠ)は4着でしたが、アメリカに転じ、初戦のオーシャンポート・ステークス(芝GⅢ)が6着。続くサラトガのアローワンス戦に勝ったものの、進路妨害のため3着降着という気性の難しい面も見せていました。続くニッカーボッカー・ステークス(芝GⅢ)で3着に入り、前走ガルフストリームでエル・プラード・ステークス(一般ステークス)に勝ってアメリカでのステークス初勝利を上げ、ステークス連勝で米G戦初勝利も果たしました。
一方西海岸のサンタ・アニタ競馬場、先ずは勝馬から4着までにダービーへの夫々 13-4-2-1 ポイントが与えられるシェイム・ステークス Sham S (GⅢ、3歳、8ハロン)から。fast の馬場に8頭が出走し、未勝利馬ながらGⅠ戦で2度2着しているカルキュレイター Calculator が3対5の断然1番人気、そろそろ初勝利を挙げてダービー候補に名乗りを上げたいところでしょう。
レースは5番人気(15対1)のセント・ジョー・ベイ St. Joe Bay が逃げ、カルキュレイターは5番手に待機。しかし3コーナーから仕掛け、外を通って先頭で直線に向いたカルキュレイター、後は後続を引き離す独走劇。前半4番手から進出した同厩のブービー人気(21対1)ロック・シャンディー Rock Shandy に4馬身4分の1差を付け、ここまでの溜飲を一気に下げています。同じく4馬身4分の1差が付いた3着には、6番人気(17対1)のパイオニア・オブ・ザ・ウエスト Pioneer of the West が食い込みました。
ワン・ツー・フィニッシュとなったピーター・ミラー厩舎、エルヴィス・トルヒーヨ騎乗のカルキュレイターは、デル・マーでのデビューからの2戦が3着、4着。それでも同馬の才能を認めたミラー師はデル・マー・フューチュリティー、フロントランナー・ステークスとGⅠ戦に立てつづけて挑戦、共に2着と実績を残し、ここでの初勝利と10ポイントを獲得し、ポイント・トータルも14(フロントランナーの2着が4ポイント)となって現時点の2位タイとなりました。父は4歳でビング・クロスビー・ハンデ(GⅠ)を制したマッチェム系のイン・サンメーション In Summation 、カルキュレイターはその2年目の産駒で、父にG戦初勝利をもたらした芦毛馬です。
11日の最後はサン・パスカル・ステークス San Pasqual S (GⅡ、4歳上、8.5ハロン)。11頭が出走し、去年は故障でダービー戦線から離脱したものの、秋に復活してクラーク・ハンデ(GⅠ)を制したホッパチュニティー Hoppertunity が4対5の1番人気に支持されていました。
レースは9番人気(27対1)のブルー・トーン Blue Tone がハナを奪いましたが、直ぐに3番人気(9対1)のビッグ・カサノヴァ Big Cazanova がこれを交わして先頭、2番枠スタートのホッパチュニティーは内ラチ沿いの5番手で待機。直線でもそのままインコース一杯を通ったホッパチュニティー、一気に突き抜けると、3番手から流れ込む7番人気(12対1)のアピーリング・テイル Appealing Tale に1馬身4分の3差を付ける貫録の強さを見せ付けました。首差で前半のペースを作ったブルー・トーンが粘っての3着。
このレース5勝目となるボブ・バファート厩舎、マーチン・ガルシア騎乗のホッパチュニティーは、上記の様にクラシック目前で故障に泣いた期待馬。オークローンのレベル・ステークス(GⅡ)に勝ち、サンタ・アニタ・ダービーでは後のダービー馬カリフォルニア・クローム California Chrome の2着したほどの実力の持ち主。秋の復帰初戦(アローワンス)こそ2着でしたが、続くクラーク・ハンデでGⅠを射止め、今期初戦のここでもG戦に連勝、更なる飛躍が期待される明け4歳馬です。
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