日本フィル・第304回横浜定期演奏会
日記を繙いてみると、去年最後の演奏会カテゴリーは日フィルの第303回横浜定期でした。そして昨日、今年最初の演奏会行も日フィルの横浜定期。感覚としては丸々1か月間コンサートからは遠ざかっていた気がします。
横浜の1月といえばコバケンの新世界というのが定番で、前半が有名ソリストの協奏曲だったり、ウインナ・ワルツだったり、また後半も超有名曲に変わることもありました。指揮者もここ2年は若手に委ねられていましたが、今年はコバケンに戻り、氏の新世界は3年振りということになります。
ヨハン・シュトラウスⅡ世/喜歌劇「こうもり」序曲
ヨハン・シュトラウスⅡ世/喜歌劇「こうもり」~「侯爵様、あなたのようなお方は」
ヨハン・シュトラウスⅡ世/トリッチ・トラッチ・ポルカ
レハール/喜歌劇「メリー・ウイドウ」~「ヴィリアの歌」
ヨハン・シュトラウスⅡ世/ワルツ「美しく青きドナウ」
ヨハン・シュトラウスⅡ世/ワルツ「春の声」
~休憩~
ドヴォルザーク/交響曲第9番「新世界より」
指揮/小林研一郎
ソプラノ/天羽明恵
コンサートマスター/木野雅之
フォアシュピーラー/千葉清加
ソロ・チェロ/菊地知也
今年は定番中の定番、ドイツから帰国中の名花・天羽明恵のソロでオペレッタを楽しむ、正にお正月に相応しいコンサートとなりました。演奏会の印象なども詳しく紹介する必要もなさそうなので、簡単なレポート。
プレ・トークが敬愛する奥田佳道氏とのことで、開演30分前から始まるトークも併せて楽しみました。やはりこういうお話は聞いてみるもの、私にとっての新知見も飛び出す内容の濃いトークでもありましたね。
先ずは2014-2015年シーズンは、マエストロ小林研一郎にとって指揮活動40周年になるとのこと。もう40年かという感慨もありますが、未だ40年?という意外感も持ちました。個人的には相当長期に亘って聴いてきた印象ですが、だとすれば氏はデビューした頃から「炎のコバケン」だったのでしょう。氏の個性の強さは生まれつきのものだったことがこの一点からも理解できる気がしました。
もう一つは「トリッチ・トラッチ」ポルカの由来。私はこれまで「お喋り」とか「ぺちゃくちゃ」を意味する曲名だとばかり信じていましたが、奥田氏の解説では、実は当時ウィーンに「トリッチ・トラッチ」という雑誌(新聞?)があったとのこと。所謂ゴシップ誌だったそうですが、シュトラウスは紙面で話題になることを予想してこのポルカを書いたらしいのですね。
いやぁ~、これはビックリしました。評論家の飯のタネ、と氏は茶化していましたが、これぞ専門家ならではの知見。改めて感服した次第です。
ということで、トークはコンサートを百倍楽しむ前振りにも助けられ、小林/天羽のまるで漫才のような司会進行も含めて予想以上に楽しいニュー・イヤー体験でしたよ。やはり「声」が入るナマ演奏はワクワクするし、ワルツの微妙なアイン・ツヴェーーー、ドレーにも身を揺すられる想い。
コバケン氏ならではの粘りも、オーケストラのウィーン・フィル顔負けの存在感も、天羽氏の華やかでユーモア全開のソロも理屈なく楽しめます。
トリッチ・トラッチの大太鼓一発、青きドナウの後半短縮版などアレッと驚く仕掛けもありましたっけ。それにしても冒頭の序曲、こんなにタップリ謳い上げる演奏は絶対にウィーンじゃ聴けないでしょう。
後半の新世界。コバケンはイングリッシュ・ホルンのソロをしっかり用意し、2番オーボエの持ち替えなどはさせません。難波さんのソロも堪能、福島シンバルの妙技など聴き所も満載でした。
アンコールはブラームスのハンガリー舞曲第5番。チャルダッシュで始まることをいやが上にも強調したハンガリアンは、コバケンの真骨頂でもあります。
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