待たれていたチャンピオンの復帰戦

3月14日の土曜日、アメリカ競馬はオークローン・パークのG戦3鞍と、サンタ・アニタの1鞍が行われました。特にオークローンは前年のチャンピオンたちが待たれていた今期の初戦を迎えるということもあり、ファンの注目を集めます。

そのオークローン・パーク競馬場、最初はアゼーリ・ステークス Azeri S (GⅡ、4歳上牝、8.5ハロン)。ここでは何と言っても去年の3歳牝馬チャンピオンで、BC以来となるアンタパブル Untapable が大注目。特にBCディスタッフでは古馬を蹴散らして優勝し、そのレースで引退を発表したロージー・ナプラヴニクに有終の美をプレゼントした名牝。今年からはジョン・ヴェラスケスを鞍上に迎え、オッズは1対9と圧倒的な支持を集めていました。馬場は雨のためにぬかるんでいましたが、発表は good 。1頭が取り消しての5頭立て。
久し振りの実戦ということでやや遅れ気味のスタートを切った大本命、それでも唯一の逃げ馬ゴールド・メダル・ダンサー Gold Medal Dancer (8対1)を終始1馬身半ほどの差で追走する2番手。第3コーナーから差を詰めたアンタパブル、直線では逃げ馬に外から頭差まで詰め寄ったものの、再びゴールド・メダル・ダンサーが盛り返し、最後はチャンピオンに半馬身差を付ける番狂わせとなってしまいました。2馬身半差で最後方から追い込んだムファージャー Mufajaah が3着。最終的なオッズは入ってきていません。
ドニー・フォン・ヘメル厩舎、ルイス・キノネズ騎乗のゴールド・メダル・ダンサーは、前走今期初戦のバヤコア・ステークス(GⅢ、オークローン・パーク)で3着(勝ったのはムファージャー)だった5歳馬。去年一般ステークスのミネソタ・ディスタッフ・ステークス(8ハロン)に勝っていましたが、G戦は初勝利です。今回はアンタパブルの122ポンドに対し、117ポンドと5ポント差。2頭は4月11日のアップル・ブロッソム・ハンデ(GⅠ)で再び対戦することになりますが、休養明けを叩かれたアンタパブルの変わり身に期待しましょう。

続いては同じ条件の牡馬戦、レーザーバック・ハンデキャップ Razorback H (GⅢ、4歳上、8.5ハロン)。こちらも1頭が取り消して6頭立て。ここには去年のBCダート・マイル2着以来となるタピチュア Tapiture が今期初登場。チャンピオンには一歩及ばないものの既にGⅡに2勝しており、ここでは119ポンドのトップハンデ。アゼーリで大本命が敗退したこともあってか、タピチュアは同じ2対1ながら僅かの差で2番人気。同じオッズで1番人気に支持されれたのは、前走フレット・W・フーパー・ハンデ(GⅢ)で首・首差の3着だったレース・デイ Race Day
レースは5番人気(7対1)のミッドナイト・ホーク Midnight Hawk が逃げ、レース・デイはピタリと2番手でマーク。第4コーナー手前で先頭に立ったレース・デイ、後は差を広げる一方かと思われましたが、再び内からミッドナイト・ホークが巻き返し、最後は首差まで詰め寄られたものの何とか凌いで人気に応えました。7馬身の大差が付いて最低人気(18対1)のゴールデン・チケット Golden Ticket (2012年のトラヴァース勝馬)が3着に入り、久々のタピチュアは5着敗退。
トッド・プレッチャー厩舎、ジョン・ヴェラスケス騎乗のレース・デイは、微差3着に終わった前走は1番人気で追い込み切れなかったもの。今回は早仕掛け勝ちましたが、危なく差し返される所でした。ヴェラスケス騎手はアゼーリでは一歩捉え切れず、ここでは何とか面目を保った形。

この日のアーカンソー、最後は重要なクラシック・トライアルの一つとなるレベル・ステークス Rebel S (GⅡ、3歳、8.5ハロン)。もちろんケンタッキー・ダービーのポイント対象で、勝馬には50ポイントが加算されます。この日降り続く雨で、遂に馬場は sloppy にまで軟化していました。ここは取り消す馬も無く7頭立て。この日3頭目の休み明けチャンピオンは、去年9月27日のフロントランナー・ステークス(GⅠ)を制して以来となるアメリカン・フェイロー American Pharoah 。BCは回避してここまで待機した2歳チャンピオン、悪化した馬場に不安は残りますが、2対5の圧倒的1番人気に支持されていました。
そのアメリカン・フェイロー、スタートから先手を奪うと後続を寄せ付けず、3番手から追走した2番人気(5対1)のメイドフロムラッキー Madefromlucky に6馬身4分の1差を付ける圧巻の逃げ切り勝ちでその存在感を大きくアピールしています。更に2馬身半差で4番人気(8対1)のボールド・コンケスト Bold Conquest が3着。
ボブ・バファート厩舎、ヴィクター・エスピノザ騎乗のアメリカン・フェイローは、これで4戦3勝。去年はフロントランナーの前に出る・マー・フューチュリティー(GⅠ)も制しており、ダービーへのポイントは60に上昇して現時点の5位。このあと同じコースのアーカンソー・ダービーからケンタッキーを目指すか、そのまま7週間後の本番に向かうかは思案の為所でしょう。

土曜日の最後は、サンタ・アニタ競馬場からGⅠのサンタ・マルガリータ・ステークス Santa Margarita S (GⅠ、4歳上牝、9ハロン)。fast の馬場に1頭が取り消して6頭立て。前走サンタ・マリア・ステークス(GⅡ)を含めてステークスに連勝中のウォーレンズ・ヴェニーダ Warren’s Veneda が3対2の1番人気。
レースは2番人気(2対1)の一角カサット Cassatt が逃げ、ウォーレンズ・ヴェニーダは指定席の最後方で待機。第3コーナーで外から一気に仕掛けた本命馬、直線には先頭で入る勢い。そのままもう一頭の2番人気(2対1)デーム・ドロシー Dame Dorothy に7馬身4分の1差を付ける圧勝劇でステークス3連勝を達成しました。半馬身差で4番人気(8対1)のザガールインザットソング Thegirlinthatsong が3着。
クレイグ・アンソニー・ルイス厩舎、ステークス3連勝でいずれも手綱を取っているタイラー・ベイズ騎乗のウォーレンズ・ヴェニーダは、これがGⅠ初制覇。陣営では次走に4月18日のチャールズ・タウン・クラシック(GⅡ)を指名、同馬にとってはカリフォルニアを出て遠征するのは初めてとなりそうです。

 

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