クラシック前哨戦(2)ルイジアナ編
昨日の土曜日、もう一つのクラシック前哨戦はルイジアナ州のフェア・グラウンズ競馬場G戦4連発の中で行われました。こちらもレース順にレポートして行きましょう。
最初は第8レースの メルヴィン・H・ミュニッツ・ジュニア・メモリアル・ハンデキャップ Mervin H. Muniz Jr. Memorial H (芝GⅡ、4歳上、約9ハロン)。firm の馬場に1頭が取り消しての6頭立て。前走ガルフストリーム・パーク・ターフ・ハンデ(芝GⅠ)でハナ差2着のスランバー Slumber が9対5の1番人気。
そのスランバーはスタート・ダッシュが付かず後方2番手からの苦しい流れ。1番枠から好スタートを切った4番人気(4対1)のチョコレート・ライド Chocolate Ride がそのまま逃げ切ってしまいました。スランバーも最後で良く伸びましたが、半馬身届かず2着、更に半馬身で2番手を進んだ5番人気(9対1)のパロールド Paroled が3着に入っています。勝時計の1分48秒18はトラック・レコードというオマケ付でした。
ブラッド・コックス厩舎、ジョセフ・タラモ騎乗のチョコレート・ライドは、前走フェア・グラウンズ・ハンデ(芝GⅢ)を人気薄で逃げ切った5歳せん馬。前走はステークス初挑戦での勝利で、何とG戦に2連勝、その前の一般戦からも3連勝となります。9ハロンの距離でも3戦3勝となり、ここに来て素質が開花した印象です。
第9レースはフェア・グラウンズ・オークス Fair Grounds Oaks (GⅡ、3歳牝、8.5ハロン)。fast の馬場に8頭が出走し、これまでこの競馬場で行われている3歳牝馬トライアルを総なめしてきたアイム・ア・チャッターボックス I’m a Chatterbox が3対5の断然1番人気。
レースは5番人気(26対1)のジュニー Jugni が逃げ、アイム・ア・チャッターボックスは2番手から虎視眈々。直線逃げ馬を交わして先頭に立った大本命、そのまま前半4番手から追い上げる3番人気(6対1)のシュック・アップ Shook Up に2馬身半差を付け、後続を寄せ付けませんでした。更に1馬身差で2番人気(5対2)のフォエヴァー・アンブライドルド Forever Unbridled が3着に入り、極めて順当な結果。
ラリー・ジョーンズ厩舎、フロラン・ジェルー騎乗のアイム・ア・チャッターボックスは、1月の一般ステークス(シルヴァーバレットデイ・ステークス)、2月のレーチェル・アレクサンドラ・ステークス(GⅢ)に続いてフェア・グラウンズのチャンピオン3歳牝馬。陣営も“次ははケンタッキー・オークス”と明言しています。ここ7年でフォア・グラウンズ・オークス馬はケンタッキー・オークスに4勝、今年の勝馬も中心の1頭になることは間違いないでしょう。
そして第10レースのニュー・オーリーンズ・ハンデキャップ New Orleans H (GⅡ、4歳上、9ハロン)。1頭が取り消して8頭立て、去年のホイットニー・ステークス(GⅠ)の勝馬で、前走サンタ・アニタ・ハンデ(GⅠ)でもシェアード・ビリーフ Shared Belief の2着した強豪モレノ Moreno が6対5の1番人気。ここは負ける要素は少ないと見做されていました。
最低人気(45対1)ゴー・ゴー・ロケット Go Go Rocket の逃げを3番手で追走したモレノ、第3コーナーで仕掛け、外から先頭に立った時点では楽勝に見えましたが、前半4番手を進んだブービー人気(22対1)のコール・ミー・ジョージ Call Me George が外から迫り、最後は半馬身差で差し切る大波乱。2番手に付けていた2番人気(3対1)のアルバーノ Albano が最後は本命馬を頭差交わして2着に飛び込み、モレノは3着に終わっています。仕掛けが速過ぎたか、トップハンデ(122ポンド、勝馬とは8ポンド差)が響いたか。
グラント・フォースター厩舎、これが区切りの2000勝目となったジェームス・グレアム騎乗のコール・ミー・ジョージは、前走アローワンス戦3着も含めて5連敗中。G戦では去年11月、ホーソン・ゴールド・カップ・ハンデ(GⅡ)で3着したことがあるだけで、もちろんステークス初勝利となります。
フェア・グラウンズの最後は、第11レースのルイジアナ・ダービー Louisiana Derby (GⅡ、3歳、9ハロン)。ケンタッキー・ダービーへの100ポイントが掛かる、ルイジアナからの挑戦馬を決める重要なトライアル。9頭が出走し、ルコント・ステークス(GⅢ)、リズン・スター・ステークス(GⅡ)とフェア・グラウンズのトライアルを連勝してきたインターナショナル・スター International Star が2対1の1番人気。
プレッチャー厩舎が送り込む5番人気(7対1)のスタンフォード Stanford が逃げ、直線でも脚色衰えず。しかし前半7番手に待機していたインターナショナル・スターが遂に直線で一気に末脚を爆発させると、粘るスタンフォードを首差捉えて見事に人気に応えました。4馬身4分の1差でこれも2対1(微差2番人気)のウォー・ストーリー War Story が3着。
マイケル・メイカー厩舎、ミグェル・メナ騎乗のインターナショナル・スターは、2歳時にカナダのGⅡ戦に勝ったのを含めてG戦は4勝目。100ポイントを加算して通算171ポイントは、昨日の時点でのトップに立ちました。これでケンタッキー、大きな期待を背負ってチャーチル・ダウンズに向かうでしょう。オーナーのラムゼー夫妻は、去年のヴィカーズ・イン・トラブル Vicar’s in Trouble に続いてルイジアナ・ダービー2連覇。念願のケンタッキー・ダービーをこの馬で狙います。
ところで昨日はカリフォルニアのサンタ・アニタ競馬場でもG戦が一鞍行われています。日本にも関係の深いトーキョー・シティー・カップ Tokyo City Cup (GⅢ、4歳上、12ハロン)。この大井競馬場との友好関係にあるレースについては例年紹介してきました。ダートの2400メートルというアメリカでは珍しい距離ということもあり、2頭が取り消して6頭立てと小頭数。アメリカでは4戦して未勝利ながら、チリで長距離のGⅠ戦に勝っているブロンゾ Bronzo が3対5の1番人気。去年のBCダート・マイルでは4着に健闘していました。
3番人気(7対1)のアーリントン・ハウス Arlington House がゆったりしたペースで逃げる展開。2番手に付けた2番人気(5対2)のスカイ・キングダム Sky Kingdom との2頭が3番手以下をやや離して逃げる中、第3コーナー手前で先頭を奪ったスカイ・キングダムが直線では独走、5番手から追い上げる5番人気(12対1)のベイルアウトボビー Bailoutbobby に5馬身4分の3差を付ける圧勝に終わりました。更に4馬身半差で3番手を追走した人気のブロンゾが3着。
ボブ・バファート厩舎、マーチン・ガルシア騎乗のスカイ・キングダムは、一昨年のトーキョー・シティー・カップの勝馬で、1年越しで2度目の制覇。勝星は去年ロス・アラミトスの一般ステークス(ラス・ヴェガス・マラソン・ステークス)以来で、これが今期初戦でもありました。
ということでクラシック前哨戦、来週はニューヨーク、ケンタッキー、カリフォルニアからのレポートとなります。
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