クラシック前哨戦(4)ニューヨーク編
4月4日のアメリカ競馬を続けましょう。第二弾はニューヨーク州アケダクト競馬場からのG戦4鞍です。もちろんダービー・トライアルのウッド・メモリアルが目玉ですが、これもGⅠの短距離戦カーター・ハンデもあってこちらも大注目でした。
最初は、かつてはGⅠだったこともあるガゼル・ステークス Gazelle S (GⅡ、3歳牝、9ハロン)。オークスへ100ポイント対象戦でもあり、fast の馬場に7頭が出走。この時点ではポイント数で第3位に付けているカンド・コマンド Condo Commando が3対5の断然一番人気。前走2月のアケダクトで一般ステークス(ブッシャ―・ステークス)にも勝ってシーズン2戦目、万全の体勢です。
スタート良くハナを切ったカンド・コマンド、クラブハウス・ターンでは一旦1番枠スタートの2番人気(7対2)プーカ Puca に先頭を譲ったものの、向正面では再びハナを奪い返すと、そのまま後続を寄せ付けずプーカに2馬身半差を付けて人気に応えました。更に2馬身4分の3差で最低人気(59対1)のマネーズオンシャルロッテ Money’soncharlotte が最後方から内ラチ沿いに伸びて3着。
ルディー・ロドリゲス厩舎、ジョエル・ロザリオ騎乗のカンド・コマンドは、これでポイント数も161に上がって文句無し。サラトガの新馬戦とスピナウェイ・ステークス(GⅠ)を連勝し、3戦目のフリゼッテ・ステークス(GⅠ)4着が唯一の敗戦。その後も2歳終戦のドモワゼル・ステークス(GⅡ)にも勝って、今期2勝を加えて6戦5勝。オークスは本命もしくは人気の一角になることは間違いないでしょう。
次は3歳の短距離戦、ベイ・ショア・ステークス Bay Shore S (GⅢ、3歳、7ハロン)。クラシックに直接繋がるレースではありませんが、8頭が出走し、前走スウェイル・ステークス(GⅡ)を快勝したレディー・フォー・ライ Ready for Rye が6対5の1番人気。
最低人気(82対1)のパパ・ウーパ Papa Upa が逃げて直線に入りましたが、前半は最後方で待機した4番人気(9対1)のマーチ March が外から一気に伸びると、大外を回った2番人気(2対1)のロード・ネルソン Lord Nelson を半馬身抑えて鮮やかな差し切り勝ち。4馬身4分の1差で3番手を進んだレディー・フォー・ライが3着。惜しかったのはロード・ネルソンで、遅れたスタートから押し上げて前に上がった所で前が塞がり、一気に最後方に後退。そこから大外を廻って追い上げたものの、最後の叩き合いでも勝ったマーチと馬体が接触するアクシデントもあって審議に。最終的には着順通りで確定しましたが、向正面での大きな不利が無ければこの馬が勝っていたかも知れません。
チャド・ブラウン厩舎、イラッド・オルティス騎乗のマーチは、これが4戦して2勝目。もちろんステークスは初勝利となります。
アケダクトのG戦、三つ目は愈々ダービー100ポイント対象のウッド・メモリアル・ステークス Wood Memorial S (GⅠ、3歳、9ハロン)。7頭が参戦しましたが人気は割れ、同じ2対1に3頭が並びます。僅かの差で1番人気に支持されたのは、去年のシャンペン・ステークス(GⅠ)勝馬のデアデヴィル Daredevil 。これをガッサムとジェロームを制したエル・カビア El Kabeir と、G戦で好戦するも勝星には恵まれれないフロステッド Frosted が同じオッズで追う人気。
ここも最低人気(42対1)のトースティング・マスター Toasting Master が逃げてスローペース。直線では3番手を進んだ5番人気(21対1)でニューヨーク産馬のテンセンデュア Tencendur が抜け出してあわや、と思われましたが、前半は後方2番手に控えていたフロステッドが外から追い上げ、テンセンデュアに2馬身差を付けて快勝、ここ3戦の鬱憤を見事に晴らしました。3馬身4分の3差で一旦は最後方まで下がったエル・カビアが盛り返しての3着、デアデヴィルは2番手追走も3着から6馬身以上離される4着に終わっています。
キアラン・マクローリン厩舎、ジョエル・ロザリオ騎乗のフロステッドは、10月30日にアケダクトの未勝利戦に勝って以来の勝利。この間、レムゼン・ステークス(GⅡ)で2着、ガルフストリームのホーリー・ブル(GⅡ)も2着、前走ファウンテン・オブ・ユース(GⅡ)も逃げて4着と3連敗中でした。今回は先行せずに後方に控えたのが良かったようで、本番前に漸くオーナーであるゴドルフィン陣営が確信している能力の高さを証明してきました。これでポイントは113に上がり、この時点では4位、ダービー出走権を確実なものにしています。3着に入ったエル・カビアも95ポイントまで加算し、こちらもダービー出走は間違いないでしょう。
最後は春の短距離決戦、カーター・ハンデキャップ Carter H (GⅠ、4歳上、7ハロン)。去年は3歳上という条件でしたが、今年は現実的に4歳上に変更されています。8頭が出走し、9対5の1番人気には去年のキングズ・ビショップ・ステークス(GⅠ)と前走アーカンソーのアローワンス戦を含めて目下4連勝中のザ・ビッグ・ビースト The Big Beast が選ばれていました。
ブービー人気(53対1)のグリーン・グラット Green Gratto が逃げ、人気のザ・ビッグ・ビーストは5番手から。グリーン・グラットが先頭で直線に入り粘り込むところ、前半は4番手の内で我慢していた4番人気(5対1)のダッズ・キャップス Dads Caps が逃げ馬と2番手追走の2番人気(3対1)のパレス Palace の間を割って伸び、粘るグリーン・グラットに1馬身半差を付けて優勝。4分の3馬身差でこれも伏兵(31対1、6番人気)のドリーム・サタデイ Dream Saturday が3着に入り、ザ・ビッグ・ビーストは外を回るも首差4着と及ばず。
この日G戦ダブルとなるルディー・ロドリゲス厩舎、ホセ・オルティス騎乗のダッズ・キャップスは、去年に続きカーター2連覇達成。但しその間には勝星が無く、ここ2戦も2月のトボガン・ステークス(GⅢ)、3月のトム・フール・ハンデ(GⅢ)と2着が続いていました。
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