復活祭の復活劇

引き続き先週のフランス競馬、次は4月6日の月曜日、イースター・マンデーの休日に行われたG戦2鞍のレポートにいきましょう。今年最初のロンシャン競馬場で行われるG戦、馬場はこちらも heavy とシーズン当初の重馬場が続きます。

先ずは3歳馬のラ・フォース賞 Prix La Force (GⅢ、3歳、2000メートル)。1頭が取り消して7頭立て。去年コンデ賞(GⅢ)、クリテリウム・ド・サン=クルー(GⅠ)と連勝し、3戦無敗のエピキュリス Epicuris のシーズン・デビューとあって7対10の断然1番人気。ここは負ける要素はほとんど無いと思われていました。
そのエピキュリス、馬場が重いこともあってスタートから先手を取る逃げ作戦。しかし競馬はやって見なければ判らないもの、残り1ハロンで後方待機3頭の中の1頭、4番人気(91対10)のシルヴァーウェイヴ Silverwave に外から差し切られてしまいました。着差は4馬身、G勝のペナルティーのない同斤量戦でしたから正に完敗の一言でしょう。更に2馬身半差で5番人気(104対10)のメドラーノ Medrano が3着。

シルヴァーウェイヴはアラン・クエティル Alain Couetil 厩舎、エードリアン・フアシエ Adrien Fouassier 騎乗という余り馴染の無いコンビ。オーナーはジャン=ミシェル・エゲシッペという人で、このレースにはもう1頭を出走させていました。別の厩舎(パスカル・ベイリー)所属馬でクリストフ・スミオンが騎乗したジュール・エ・ジム Jules et Jim がその馬ですが、オーナーとしてはこちらが主力で、人気も勝っていた(71対10、3番人気)位です。ですからオーナーも吃驚という結果だったのでしょう。
しかしシルヴァーウェイヴも無敗で、2歳時はローカル競馬で2戦2勝、今期も既にローカル(アンゲール競馬場)で条件戦で勝っており、無傷の4連勝ということになります。初めての中央競馬、G戦初挑戦での快挙で、今後は仏ダービーが目標になるでしょう。

一方、敗れたエピキュリスは各ブックメーカーが英ダービー候補にも挙げている馬で、参戦には追加登録が必要になります。レース前のオッズは16対1でしたが、この敗戦でオッズは25対1に降下。シーズン初戦と重馬場が敗因とすれば、次走での巻き返しがクラシック制覇の絶対条件になってくるでしょう。

続いては同じ距離で行われるダルクール賞 Prix d’Harcourt (GⅡ、4歳上、2000メートル)、今年最初のヨーロッパGⅡ戦でもあります。出走馬は10頭、7歳になったとは言え、ここは実績上位のアル・カジーム Al Kazeem が11対5の1番人気。5歳時にはGⅠに3連勝した同馬ですが、去年はウインザーのGⅢに1勝のみ。シーズン終戦のチャンピオン・ステークス2着で漸く復活の兆しは見えていましたが、果たして今期はどうか?

レースは6番人気のケルティック・ロック Celtic Rock が逃げ、アル・カジームは先行策。いつも以上の積極的なレース運びで、残り300メートルで先頭に立つと、伏兵の2頭、アフェール・ソリテール Affaire Solitaire (176対10、最低人気)に4分の3馬身、更に頭差でフェイト Fate (171対10、ブービー人気)を抑えての貫録勝ちです。アフェール・ソリテールは前走エクスバリー賞(GⅢ)の勝馬、フェイトもシーズン終戦にフロール賞(GⅢ)を制した馬ですから、何れも重賞勝馬を斥けた内容には価値があると見て良いでしょう。
ロジャー・チャールトン厩舎のアル・カジームは、上記の通り4歳から5歳にかけてG戦に5連勝し、中でも5歳時のトトソル・ゴールド・カップ→プリンス・オブ・ウェールズ・ステークス→エクリプス・ステークスのGⅠ3連勝は、その年の凱旋門賞筆頭候補にまで上がるほどの快進撃でした。今回は鞍上に名手ライアン・ムーアを配してのシーズン・デビュー勝利。今後も新たなコンビで臨むのかは不明ですが、差し当たってはシーズン最初のGⅠ戦たるガネー賞が目標となるでしょう。ムーア騎手とのコンビで復活を果たしたアル・カジーム、7歳馬の巻き返しに期待が高まります。

 

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