日本フィル・第212回サンデーコンサート

昨日はいつものコンサート行スケジュールから外れた演奏会を聴いてきました。池袋の東京芸術劇場コンサートホールで行われた日フィルのサンデーコンサート、以下のプログラムです。

ブラームス/ドイツ・レクイエム
指揮/広上淳一
ソプラノ/中嶋彰子
バリトン/河野克典
合唱/パイオニア合唱団
コンサートマスター/物集女純子(ゲスト)
フォアシュピーラー/齋藤正和
オルガン/長井浩美

先週京都で聴いてきたばかりの広上マエストロを聴くためですが、もう一つ強い念願があったからでもあります。それは、
未だ日フィルの正指揮者だった当時の広上氏は、ブラームスのドイツ・レクイエムを東京定期で取り上げたことがあります。記録をひっくり返してみると、1993年10月7日と8日の2日間、第454回定期演奏会でのこと。

当時も既に会員だった私ですが、実はこの演奏会を聴くことができませんでした。理由は今でもハッキリ覚えていますが、あの日(10月7日、木曜日)の東京は夕方から雷を伴う豪雨に襲われ、当時蒲田に勤めていた私は事務所から駅に着くまでにびしょ濡れになってしまいました。たとえ濡れ鼠のまま電車で虎ノ門に着いても、駅からサントリーホールまで歩く内に(あのころは溜池山王という駅は未だありませんでした)再び濡れ雑巾になるのは明らか。泣く泣くコンサート行を諦めたのでした。
その後も広上/ブラームス・ドイツレクイエムを聴く機会はあるだろうと思っていましたが、私が知っている限り日本国内では取り上げていないと思います。
こんなことを何時までも記憶しているのは、よほどあの定期を聴き逃したのが悔しかったのでしょう。広上の指揮に嵌り始めたばかりでしたし、大好きなブラームスを聴けなかったという想いを断ち切ることが出来なかったのですナ。

そんな時にサンデーコンサートという比較的肩の凝らない演奏会で再演があることを知り、一も二も無くチケットを抑えた次第。
ところが日曜日の朝、ニュースで支柱が折れて山手線と京浜東北が不通、という情報が飛び込んできます。私が池袋に行くのは別路線を使ってですが、先日(3月30日でしたっけ)列車事故が連鎖反応を起こして次々に関係ない路線(四国まで影響したそうな)までダイヤが乱れたばかり。いやな予感が過りましたねぇ~、おい、またダメかよ。

ま、幸いなことにこれは杞憂に終わり、予定通り池袋に辿り着くことが出来ました。それでも影響を受けた人たちは少なくなかったでしょう。結局この日は一日中山手線と京浜東北線は間引き運転でしたからね。

22年前の定期は確か日本フィル協会合唱団でしたが、今回はパイオニア合唱団。パイオニア㈱の社員が核となるアマチュア・コーラスですが、日本フィルとはこれまでも何度か共演していて、広上指揮で第9を歌ったこともあるそうです。
メインが合唱ということもあり、客席はいつもとはかなり異なった雰囲気で、恐らく合唱メンバーの応援団が多かったと観察しました。曲目もこれ1曲(昔の東京定期もそうでした)だけ。ブラームスに集中することになりました。

演奏は期待通り見事なもの。合唱が主役ということもあり、広上は合唱団から最大限の能力を引き出すことに徹し、感動的な場面がいくつも聴けました。作品のアーチ状の構成を聴き手に納得させる思慮深いタクトは相変わらず。
もちろん独唱の二人も作品には最適任。特に中嶋の歌唱は以前にも増して深みを加えており、これだけ魂の籠ったドイツ・レクイエムが聴けるのは滅多に無いことでしょう。

オルガンを伴うこのような大編成作品は、いくらCDの名演を聴いても本当の感銘は得られません。ナマ演奏に勝るものは無いのです。改めてブラームスの若書き、意欲作の名演を堪能し、長年の想いを叶えることが出来たコンサートでした。
演奏時間は1時間15分ほど。順調に帰れた私共は、午後4時チョッと過ぎには家で寛ぎ、余韻を楽しんでいました。

 

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