競馬の祭典、チャーチル・ダウンズ競馬場のダービー・デイ

ここではダービー以外のG戦、もちろんダービーに先立って行われたグレード戦の結果をレース順に紹介して行きます。

G戦の最初は第5レースのパット・デイ・マイル・ステークス Pat Day Mile S (GⅢ、3歳、8ハロン)。去年までダービーの1週前にダービー・トライアル・ステークス(GⅢ、1マイル)として行われていた一戦。1924年創設で、今年からダービー・デイに変更されました。名騎手パット・デイに因んだレース名に変更しての再スタート、fast の馬場に8頭が出走し、去年の2歳強豪の1頭で未だ無敗のコンペティティヴ・エッジ Competitive Edge が6対5の1番人気。
4番人気(11対1)ヒルビリー・ロイヤリティー Hillbilly Royalty の逃げを2番手でマークしたコンペティティヴ・エッジ、第4コーナーで逃げ馬に並び掛けると、後は後続を寄せ付けず、4番手から追い込む最低人気(27対1)のペイン・アンド・ミゼリー Pain and Misery に4馬身半差を付ける横綱相撲でした。1馬身半差で4番手を追走していたジム・ダ・リュート Gimme Da Lute が3着。勝ち時計の1分34秒18は、1969年にアック・アック Ack Ack が出したというタイムを更新するステークス・レコードでした。
トッド・プレッチャー厩舎、ジョン・ヴェラスケス騎乗のコンペティティヴ・エッジは、去年2戦目でホープフル・ステークス(GⅠ)を制した馬。その後故障で戦列を離れましたが、3月27日にガルフストリームの一般ステークス(タマラック・ステークス)で復帰戦を飾り、これで4戦4勝。ダービーには間に合いませんでしたが、未だこれからが本番の本格派でしょう。

第6レースはアメリカン・ターフ・ステークス American Turf S (芝GⅡ、3歳、8.5ハロン)。firm の馬場に1頭が取り消して13頭立て。去年のBCジュヴェナイル・ターフの4着馬で、芝コースでは堅実なコンケスト・タイフーン Conquest Typhoon が3対1の1番人気。
レースは最低人気(65対1)のトゥーバ Tuba が逃げ、直線では6番手を追走していた3番人気(4対1)のア・ロット A Lot が先頭。しかし前半は後方2番手を追走していた5番人気(8対1)のディヴィジデロ Divisidero が外から一気の鬼脚を発揮、粘るア・ロットを4分の3馬身捉えての鮮やかな差し切り勝ちです。1馬身4分の3差3着にも最後方から追い込んだワールド・アプルーヴァル World Approval が3着。
ウイリアム・ブラッドリー厩舎、ラファエル・マニュエル・ヘルナンデス騎乗のディヴィジデロは、2月7日にガルフストリーム・パークでデビュー勝ちした馬で、次走パーム・ビーチ・ステークス(芝GⅢ)では追い込みながらやや不利があって3着していました。これが未だ3戦目、強烈な末脚を武器にした芝コースの3歳馬として注目を集めそうです。

この日三つ目のG戦、最初のGⅠは古馬牝馬の短距離戦フマーナ・ディスタッフ・ステークス Humana Distaff S (GⅠ、4歳上牝、7ハロン)。1頭が取り消して7頭立て。去年のBCフィリー・アンド・メア・スプリント(GⅠ)の覇者ジュディー・ザ・ビューティー Judy the Beauty がBC以来の実戦ながらイーヴンの1番人気。GⅠ馬の実力で去年のこのレース4着の雪辱を果たしたいところ。
最低人気(18対1)の伏兵ムーンリット・ストロール Moonlit Stroll が逃げ、ジュディー・ザ・ビューティーはこれをマークして2番手待機。前半4番手に付けていた2番人気(5対2)のデーム・ドロシー Dame Dorothy も第3コーナーでは3番手に上がり、直線は前の3頭の争い。最内の逃げ馬を外から本命馬が競り落としましたが、2頭の外を通ったデーム・ドロシーが執拗にジュディー・ザ・ビューティーを追い詰め、ゴールでは首差交わしてのGⅠ初勝利。同じ首差でムーンリット・ストロールも3着に粘っていました。負担重量差を考えれば、ジュディー・ザ・ビューティーの内容が最も良かったと見て良いでしょう。
トッド・プレッチャー厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のデーム・ドロシーは、去年秋のベルモント開催最終日にターン・バック・ジ・アラーム・ハンデ(GⅢ)を無敗で勝った馬。前走サンタ・アニタのサンタ・マルガリータ・ステークスでGⅠに初挑戦しましたが2着に終わり、今回二度目のチャレンジで念願のGⅠホースになりました。ここまで8戦6勝2着1回3着1回と掲示板を外しておらず、今後もGⅠレースの常連になるでしょう。

次はチャーチル・ディスタッフ・ターフ・マイル Churchill Distaff Turf Mile (芝GⅡ、4歳上牝、8ハロン)。13頭が出走し、去年の勝馬コーヒー・クリック Coffee Clique が5対2の1番人気。去年のこのレースを勝った後ジャスト・ア・ゲイム・ステークスも制してGⅠホースになりましたが、その後9か月の休養、前走ハネー・フォックス・ステークス(芝GⅡ)で3着し、復調の兆しが見えていました。
レースは5番人気(9対1)のテーピン Tepin が逃げ、コーヒー・クリックは3番手から。しかしこの開催は前に行った馬が中々止まらない好走馬場のようで、本命馬も懸命に前を捉えようとしましたが、結局1馬身半差は縮まらず逃げ切り勝ち。コーヒー・クリックと3着3番人気(7対2)サンディーヴァ Sandiva との着差は3馬身でした。
マーク・カッセ厩舎、ジュリアン・ルパルー騎乗のテーピンは、前走ガルフストリームのアローワンス戦に勝っての参戦。それが芝コース4戦目での初勝利でした。2013年にはダート・コースでデルタ・ダウンズ・プリンセス・ステークス(GⅢ)に勝っていた4歳馬で、これで10戦4勝の成績。

第9レースはチャーチル・ダウンズ・ステークス Churchill Downs S (GⅡ、4歳上、7ハロン)。取り消しが1頭出て6頭立て。何と言っても注目は去年のBCクラシックの覇者バイエルン Bayern で、BC以来の実戦ながら4対5の圧倒的1番人気。
しかしバイエルンはスタートが良くなく、レース中も鞍上が仕掛けっ放し。それでも闘争心に火が点かなかったようで、何と最下位に惨敗してします。優勝はスタートから先手を取った2番人気(5対2)のプライヴェイト・ゾーン Private Zone 、直線では2番手を追走していた最低人気(29対1)のネイツ・マインシャフト Nates Mineshaft に外から交わされましたが、再び差し返してネイツ・マインシャフトに4馬身4分の1差を付ける完勝です。最後方から追い込んだ3番人気(7対2)、日本でもお馴染みのパンツ・オン・ファイア Pants On Fire が頭差で3着。
ホルヘ・ナヴァロ厩舎、今年48歳でこれがダービー・デイ初勝利、チャーチル・ダウンズでも初勝利となるマーチン・ペドロザ騎乗のプライヴェイト・ゾーンは、去年ヴォスバー・ステークスとシガー・マイルと二つのGⅠを制している実力馬。前走ガルフストリーム・パーク・ハンデ(GⅡ)2着が今期デビュー戦で、休み明けを叩かれた2戦目でチャンピオンを破りました。負けたバイエルン、ガルシア騎手のコメントでは、チャーチル・ダウンズ競馬場が全く合わなかったとのこと。ダービー・デイの大波乱となりました。

ダービーの一つ前、第10レースは芝のGⅠ戦、ターフ・クラシック・ステークス Turf Classic S (芝GⅠ、4歳上、9ハロン)。3頭が取り消して9頭立てとなり、GⅡに3連勝したフィネガンズ・ウェイク Finnegans Wake 、メイカーズ46マイル(芝GⅠ)の勝馬ジャック・ミルトン Jack Milton 、去年のレースで微差2着惜敗のシーク・アゲイン Seek Again の3頭が7対2のオッズで並ぶ混戦、僅かの差でフィネガンス・ウェイクが1番人気でした。
レースはブービー人気(14対1)のスカイ・キャプテン Sky Captain が逃げ、フィネガンス・ウェイクは最後方待機。直線横に広がった接戦から、大外を通ったフィネガンス・ウェイクが追い込み、3頭の人気馬が横に並ぶ混戦。頭差で本命馬がゴールを通過し、粘ったスカイ・キャプテンが2番手、以下ジャック・ミルトン、シーク・アゲインの順で入線しましたが、4着入線のジョエル・ロザリオ騎手が前を塞がれたとして2着入線のブリッジモハーン騎手に対して異議申し立て。審議の結果、スカイ・キャプテンは4着降着となり、ジャック・ミルトン、シーク・アゲインが夫々2・3着に繰り上がりました。最終的には人気3頭のワン・ツー・スリー・フィニッシュ。
ピーター・ミラー厩舎、ヴィクター・エスピノザ騎乗のフィネガンス・ウェイクは、去年のターフ・クラシックは8着。しかしその後11月から今年2月にかけてハリウッド・ターフ・カップ、サン・ガブリエル・ステークス、サン・マルコス・ステークスと芝のGⅡ戦を3連勝、前走サン・ルイ・レイ・ステークス(芝GⅡ)でも2着と抜群の安定感を誇る6歳馬です。ここで念願のGⅠ初制覇、最終目標はもちろんBCターフでしょう。

 

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