ダービー・デイのベルモントとサンタ・アニタ

5月2日はチャーチル・ダウンズ以外でもG戦が行われました。余り注目されることも無く、頭数も揃いませんでしたが、当欄では懲りずに取り上げていきましょう。

先ずはベルモント競馬場のG戦3鞍、最初はシープスヘッドベイ・ステークス Sheepshead Bay S (芝GⅡ、4歳上牝、11ハロン)。去年は5月24日に行われていましたが、今年は5月第1週に繰り上げての開催です。firm の馬場に5頭立て、前走オーキッド・ステークス(芝GⅢ)に勝ったビューティー・パーラー Beauty Parlor が6対5の1番人気。
そのビューティー・パーラーがスローに落して逃げましたが、並んで2~3番手を追走していた3番人気(7対2)のロザリンド Rosalind が直線で外から並び掛け、4番手から追い込む4番人気(11対1)のマクシモヴァ Maximova を1馬身4分の1差抑える小波乱。半馬身差で最低人気(39対1)のセレナイト Selenite が内ラチ沿いに3着し、人気のビューティー・パーラーは余り差の無い最下位敗退です。
チャド・ブラウン厩舎、ジョー・ブラーヴォ騎乗のロザリンドは、3歳時の去年キーンランドのポリトラック・コースでアシュランド・ステークス(GⅠ)に勝って(同着でしたが)以来2勝目のG戦勝で、6連敗に終止符を打ちました。連敗中にはケンタッキー・オークスの4着、ロイヤル・アスコットに遠征してコロネーション・ステークスにチャレンジした戦歴も含まれています。

ベルモント二つ目のG戦はウェストチェスター・ステークス Westchester S (GⅢ、4歳上、8ハロン)。去年はダービー翌週に行われており、毎年開催時期が変わる運命の一戦のようです。当初はベルモント・ステークス馬2頭の対決という話題がありましたが、結局は一昨年の勝馬パレス・マリス Palace Malice が取り消して4頭立て。去年のベルモント馬トーナリスト Tonalist が4対5の断然1番人気に支持されていました。
レースは2番人気(2対1)のジューバ Juba の逃げ、トーナリストは休み明けから未だ目が覚めないのか、他の3頭からやや離れて最後方。1マイルでは届かないのではと不安になる中、最後は大外を通って漸くエンジンが掛かり、やはり2番人気(2対1)で2番手を進んだコンフロンテイション Confrontation に3馬身4分の3差を付けてファンを安心させました。1馬身差で最低人気(12対1)のスーパー・ラッキー Souper Lucky が3着。
クリストファー・クレメント厩舎、ここもジョー・ブラーヴォ騎乗のトーナリストは、これでベルモント競馬場は無敵の4戦4勝。クラシックの他にジョッキー・クラブ・ゴールド・カップ(GⅠ)、ピーター・パン・ステークス(GⅡ)を制しています。去年のBCクラシックは5着、今回はそれ以来となる休み明けと、同馬には短いと思われた1マイルの距離を問題にせず貫録を見せつけた形です。

ベルモントの最後はフォート・マーシー・ステークス Fort Marcy S (芝GⅢ、4歳上、9ハロン)。1頭が取り消して7頭立て。今期デビューを迎える7歳の古豪ビッグ・ブルー・キッテン Big Blue Kitten が9対5の1番人気。
レースは極端な展開となり、最低人気(41対1)のハウ・グレイト Howe Great が後続を一時は6馬身も離しての大逃げ。本命のビッグ・ブルー・キッテンは最後方、逃げ馬からは12馬身も離される展開。しかし経済コースを通って徐々に前との差を詰めた本命馬、直線では内ラチ沿いから巧みに粘るハウ・グレイトの外に出し、最後は逃げ馬に2馬身4分の1差を付けて人気に応えました。頭差で3番手を進んだ4番人気(5対1)のミドルバーグ Middleburg が3着。
チャド・ブラウン厩舎、この日のG戦3鞍を総なめしたジョー・ブラーヴォ騎乗のビッグ・ブルー・キッテンは、G戦4勝目。一昨年にはユナイテッド・ネイションズ・ハンデとソード・ダンサー・ハンデとGⅠにも2勝しており、去年11月にレッド・スミス・ハンデ(芝GⅢ)で不利がありながら2着して以来の休み明けでした。未だ未だ活躍が期待できそうな差し馬です。

そして昨日の最後を締めるG戦が、サンタ・アニタ競馬場で行われたプレシジョニスト・ステークス Precisionist S (GⅢ、3歳上、8.5ハロン)。firm の馬場に1頭が取り消して8頭立て。前走サンタ・アニタ・ハンデ(GⅠ)でシェアード・ビリーフ Shared Belief の3着と好走したアルゼンチン産馬のキャッチ・ア・フライト Catch a Flight が7対5の1番人気。
6番人気(10対1)で本命馬と同じくアルゼンチン産のミステリー・トレイン Mystery Train が逃げ、キャッチ・ア・フライトは5番手の中断。直線では内から2頭目を通って抜け出したキャッチ・ア・フライト、大きく離れた最後方から内ラチ沿いに追い込む5番人気(8対1)のサミー・マンデヴィル Sammy Mandeville に4分の3馬身差を付けて人気に応えました。更に1馬身4分の1差で4番手を進んだ2番人気(7対2)のモータウン・メン Motown Men が3着。
これが記念の2000勝目となる64歳のリチャード・マンデラ厩舎、フランス出身の22歳でG戦初勝利となるフラヴィアン・プラット騎乗のキャッチ・ア・フライトも、これがアメリカのG戦初制覇。通算成績は14戦8勝となりましたが、この内6勝はブラジルで記録したものです。

 

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