ダービー以外のチャーチル・ダウンズ競馬場G戦

5月第1土曜日のチャーチル・ダウンズ競馬場はダービー・デイ、既にクラシックについては速報で紹介しましたから、この記事はそれ以外の5レース、全てダービーの前座となるG戦をレース順に取り上げるものです。

先ずは第6レースとして行われたチャーチル・ディスタッフ・ターフ・マイル Churchill Distaff Turf Mile (芝GⅡ、4歳上牝、8ハロン)。firm の芝コースに9頭立て。去年のジェニー・ワイリー・ステークス(芝GⅠ)の勝馬センター・コート Centre Court が7対5の1番人気。今年のジェニー・ワイリーは5着でしたが、その前にハネー・フォックス・ステークス(芝GⅡ)を2連覇している実績は格上です。
ダービー・デイとあって観客は大入り、その熱気に驚いたのかアブソリュート・クラッカーズ Absolute Crackers がゲートをこじ開けて出てしまうアクシデントがあってゲート・インのやり直し。4番人気(7対1)のアイム・オールレディー・セクシー I’m Already Sexy が後続を3馬身引き離しての大逃げを打ちます。流石に一杯になった逃げ馬に替って5番人気(8対1)のエフィー・トリンケット Effie Trinket が一旦は先頭に立ちましたが、後方2番手から追い込む最低人気(36対1)のデイム・マリー Dame Marie が外から抜けた所に、5番手から内ラチ一杯を衝いて伸びた3番人気(5対1)のコーヒー・クリック Coffee Crique が半馬身捉えた所がゴールという目まぐるしい展開。更に1馬身4分の3差でエフィー・トリンケットが3着に入りました。センター・コートは最後方から伸びるも5着まで。
ブライアン・リンチ厩舎、ハヴィエル・カステラノミッドナイト・騎乗のコーヒー・クリックは、去年G戦に4回挑戦しましたが3回はカナダのG戦。そのうちGⅢのセレーヌ・ステークスに勝っていましたが、アメリカ本土のG戦は今回が初勝利です。前走はガルフストリーム・パークで芝1マイルのアローワンス戦に勝っての参戦でした。

続いて第7レースのフマーナ・ディスタッフ・ステークス Humana Distaff S (GⅠ、4歳上牝、7ハロン)。この日行われる3鞍のGⅠ戦の第一弾です。ダービー・レポートでは触れませんでしたが、ダート・コースは fast 、2頭が取り消して6頭立て。BCフィリー・アンド・メア2着馬で、前走キーンランドのポリトラックでマディソン・ステークス(GⅠ)を制したジュディー・ザ・ビューティー Judy the Beauty が6対5の1番人気。
レースは久し振りの実戦となる2番人気(8対5)のミッドナイト・ラッキー Midnight Lucky が好スタートから先手を取り、圧巻の逃げ切り勝ち。2着には最後方から最低人気(21対1)のストリート・ガール Street Girl が追い込みましたが、勝馬とは4馬身半差が付いていました。ミッドナイト・ラッキーは最後は抑えていましたから、着差以上に余裕があったのでしょう。半馬身差で3番人気(6対1)のシャージンガー Sherzinger が3着に入り、ジュディー・ザ・ビューティーは前走から3か月と間隔が詰まっていたことが敗因か、2番手追走も4着に沈んでいます。
このレースは2006年のプッシ―キャット・ドール Pussycat Doll 以来2度目となるボブ・バファート厩舎、前日オークスを制したロージー・ナプラヴニク騎乗のミッドナイト・ラッキーは、去年のエイコーン・ステークス(GⅠ)を制して以来となる11か月の休み明け。その前のケンタッキー・オークスは5着でしたが、そのスピードは衰えていませんでした。このあとの予定は馬の状態を見てということでしょうが、最終的にはBCからチャンピオン・スプリンターを目指すことになるでしょう。

第8レースはアメリカン・ターフ・ステークス American Turf S (芝GⅡ、3歳、8.5ハロン)。ダービーに行けなかった、いや行かなかった3歳馬が芝で争う一戦で、1頭が取り消して10頭立て。4月4日にキーンランドで行われたぽトラックのトランシルヴァニア・ステークス(GⅢ)はメダル・コート Medal Court が勝ちましたが、この馬はダービーに参戦(結果は8着)しましたが、その時2着だったピコッツァ Picozza が3対1の1番人気。
そのピコッツァはスタートで隣と接触するアクシデントがありましたが、やや強引に逃げるクラフツマン Craftsman の3番手に付ける展開。5番手に付けていた2番人気(4対1)のストーミング・インティ Storming Inti が抜け出して逃げ込み態勢に入りましたが、前半後方3番手を進んでいた5番人気(6対1)のグローバル・ヴュー Global View が馬7頭分の大外から鋭く伸び、ゴール直前でストーミング・インティを首差交わして快勝。典型的な差し馬の競馬になりました。2馬身4分の1差で3番人気(5対1)の一角コーシェント Quotient が3着に入り、ピコッツァは前半の無理が響いたか7着敗退。
トーマス・プロクター厩舎、ゲーリー・スティーヴンス騎乗のグローバル・ヴューは、世界的種牡馬ガリレオ Galileo 産駒。その末脚がGⅠ級であることをスティーヴンス騎手が保証しています。去年11月にハリウッドでジェネラス・ステークス(芝GⅢ)に勝っており、前走トランシルヴァニアでは7着に終わっていた馬。やはり芝コースでこそ本領を発揮するタイプでしょう。

次は第9レースのチャーチル・ダウンズ・ステークス Churchill Downs S (GⅡ、4歳上、7ハロン)。11頭立て、メトロポリタン・ハンデ(GⅠ)勝馬で、カーター・ハンデ(GⅠ)でも2度2着している格上のサハラ・スカイ Sahara Sky が5対2の1番人気。
2番人気(3対1)のデラウニー Delaunay とフォーリング・スカイ Falling Sky が先頭を争い、サハラ・スカイは後方3番手。しかし直線は5番手から抜けた5番人気(10対1)のセントラル・バンカー Central Banker と、6番手から外を伸びてきた3番人気(9対2)のシェイキン・イット・アップ Shakin It Up の一騎打ち。最後は内のセントラル・バンカーがシェイキン・イット・アップを頭差抑える波乱となりました。1馬身4分の3差で同じく3番人気のクリアリー・ナウ Clearly Now が3着に追い込んでいます。サハラ・スカイは後方のまま7着敗退。
アルバート・ストール厩舎、コーリー・ナカタニ騎乗のセントラル・バンカーは、これがG戦初勝利。チャーチル・ダウンズは一昨年の10月、4戦目で勝っており、今回で2戦2勝と縁起が良いコースになりました。去年12月末にマリブー・ステークス(GⅠ)で今回一騎打ちとなったシェイキン・イット・アップの2着しており、今期初戦の前走カーター・ハンデは6着、その時先着していたサハラ・スカイとの雪辱も果たした形です。

ダービー前のG戦は、これまた最高格のターフ・クラシック・ステークス Turf Classic S (芝GⅠ、4歳上、9ハロン)。10頭が出走し、2年連続年度代表馬のワイズ・ダン Wise Dan が1対2の圧倒的1番人気。相手探しの一戦という評価でした。
しかしワイズ・ダン、今回はヒヤリとさせられる場面がありました。先ずは最初のスタンド前で、内から先頭に立ったブライト・ソート Bright Thought と、外から2番手に押し上げてきたスカイリング Skyring の間に挟まれて馬がカッとなった様子。鞍上ジョン・ヴェラスケスが懸命に宥めて3番手に待機します。直線で先行2頭を外から交わして先頭に立ったワイズ・ダンでしたが、4番手でマークしていた2番人気(7対1)で去年のハリウッド・ダービー(芝GⅠ)勝馬のシーク・アゲン Seek Again が内からスルスルと伸び、頭差まで追い詰めた所がゴール。それでも何とか凌いだ辺りが年度代表馬の貫録でしょうか。1馬身4分の1差で4番人気(10対1)のボアステラス Boisterous が3着。
チャールズ・ロプレスティ師が管理するワイズ・ダンについては解説無用でしょう。ターフ・クラシックは28年の歴史で、アインシュタイン Einstein (2008年と2009年)に次ぐ2頭目の連覇達成、GⅠは何と10勝目で、今期もメイカー・マイルに続いて2勝目となります。3年連続年度代表馬を狙うシーズンですね。

以上がチャーチル・ダウンズで行われたダービー・デイのG戦。残るベルモントとサンタ・アニタは稿を改めることにしましょう。

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