ライアン・ムーアのギニー・ダブル!

前日の2000ギニーに続き、昨日の日曜日はニューマーケット競馬場で牝馬のクラシック第1弾1000ギニーが行われました。

その前に、この日行われたもう一鞍のG戦、ダリア・ステークス Dahlia S (GⅡ、4歳上牝、1マイル1ハロン)。馬場は前日同様 good to firm 、所により firm 。
4歳上とは言いながら登録してきたのは全て4歳馬、内1頭が取り消して8頭立てで行われました。去年フランスから遠征してエソテリク Esoterique でここを制した同じアンドレ・ファーブル厩舎のフィントリー Fintry が13対8の1番人気。去年10月にもニューマーケット遠征でサン・チャリオット・ステークス(GⅠ)3着の実績があります。

5番人気(14対1)のラマール Lamar が逃げ、フィントリーは後方から。2番手に付けていた2番人気(9対2)のブラッギング Bragging がタイミングを計ったように抜けると、6番人気(16対1)クレオ Kleo との叩き合いを4分の3馬身制して優勝。1馬身半差の3着には3番人気(同じく9対2)のベル・ドール Belle D’or が入りました。フィントリーは追い出すと左に寄れ、精彩を欠いて5着敗退です。
勝ったブラッギングはサー・マイケル・スタウト厩舎、前日2000ギニーを制したライアン・ムーア騎乗、ハーリッド・アブダッラー氏の所有馬で、去年はハンデ戦に2連勝し、G戦初挑戦のセプター・ステークス(GⅢ、ドンカスターの7ハロン)では1番人気で2着になっていました。
これが今期初戦、ムーア騎手は同馬の成長力と馬場適性を勝因に挙げ、スタウト師は彼女の距離適性を見直す考えを表明しました。今回のレース内容を見ると、1マイルより長い距離の方が適しているようで、未だ成長途上の新星に期待が掛かります。

そして1000ギニー 1000 Guineas S (GⅠ、3歳牝、1マイル)。枠順発表でも紹介したように、冬場の1番人気でオブライエン厩舎、ムーア騎乗予定のファウンド Found が参戦してこなかったことで、俄かに混戦の様相を呈していました。
そんな中で9対2の1番人気に支持されたのは、やはりロックフェル・ステークスを勝ったルシーダ Lucida 。ロックフェルでは今回の出走メンバーの何頭かとも対決済みで、その比較からも実力上位の評価でした。続いては本命馬を失ったためこちらに回ってきたムーア騎乗のレガティッシモ Legatissimo で13対2。2000ギニーのグレンイーグルス Gleneagles と同じクールモアの勝負服ですが、調教師は異なります。

頭数がやや少ないこともあり、1000ギニーはスタートから二つのグループには別れません。それでも内枠(2番枠)を引いた6番人気(9対1)のティッギー・ウィッギー Tiggy Wiggy が馬場の中央を通って先頭に立ち、他の11頭がスタンド側にグループを形成、こちらは10番人気(16対1)のレッドスタート Redstart が引っ張る展開。
馬群は直ぐに一段となり、スタートでやや出遅れ、ジョッキーが一瞬鐙を外すアクシデントもあったルシーダは、直ぐに立て直すとスタンド側から徐々に離れて外に進路を変え、逃げるティッギー・ウィッギーの更に外から交わして先頭に立ちます。セーフティー・リードを奪って本命馬の勝利目前と思われましたが、中間地点ではスタンド側で最後方に待機していたレガティッシモが残り1ハロンで馬群を縫いながらスパート、最後はルシーダを内から4分の3馬身交わしての戴冠です。4馬身半差で逃げたティッギー・ウィッギーが3着に残る大健闘、以下4着マラバー Malabar (11対1、7番人気)、5着ファダイール Fadhayyil の順でした。

一旦はチャンスを失いかけたライアン・ムーアにとっては、全日に続くギニー・ダブル達成。この快挙は2005年のキーレン・ファロン以来のことになります。管理するのはアイルランドのデヴィッド・ウォッチマン厩舎。師にとっては英国のクラシック初制覇です。なおムーア騎手の1000ギニー制覇は2012年のホームカミング・クィーン Homecoming Queen (エイダン・オブライエン厩舎)に続く2勝目。
レガティッシモは2歳時は3戦1勝。レパーズタウンのデビュー戦は6着で、2戦目のゴルウェイ(7ハロン)で初勝利。シーズン終戦はカラーのリステッド戦2着でした。
3歳シーズンはレパーズタウンの1000ギニー・トライアル(GⅢ)で初めてパターン・レースに挑戦しましたが4着、この時点では一旦クラシックは諦めたようです。それでも1000ギニーの1週前にゴウラン競馬場のリステッド戦(9ハロン)に勝ち、状態も極めて良いことから英国遠征を決意したのだとか。既に9ハロンを勝っており、オークスには4対1のオッズが出されました(レース前は25対1!)。

陣営はもちろんオークス挑戦を否定していませんが、むしろ10ハロンの距離が最適と見做しているようです。寧ろオークスには4着に入ったマラバーが意欲的で、ギニーの結果から自信を深めた様子。
2着に惜敗したルシーダの目標はロイヤル・アスコットのコロネーション・ステークスですが、その前に愛1000ギニーを使うことも考慮するとのこと。また意外(と言っては失礼ですが)にもマイルで善戦したティッギー・ウィッギーは、今後は短距離路線に転向、ロイヤル・アスコットでは新設のコモンウェルス・カップを狙います。こちらのオッズは4対1に上がりました。

 

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