９歳のＧⅠ馬
日曜日はロンシャン競馬場でもＧ戦が３鞍行われました。今年から当競馬日記を国別に纏めることにしましたので、ここはフランス競馬編ということになります。
この日のロンシャンは very soft 、固い馬場の続くイギリスとは天候もかなり違っているようです。
最初はヴァントー賞 Prix Vanteaux (ＧⅢ、３歳牝、１８５０メートル)。中途半端な距離ながら、いずれは仏オークスに向かいたい牝馬たちのトライアルです。とは言っても参戦馬は少なく５頭立て。前走シーズン初戦のグロット賞(ＧⅢ)で３着したアガ・カーンのヴェドゥーマ Vedouma がイーヴンの１番人気に支持されていました。
スタートが良かったのは最低人気(１５３対１)のオロルダ Olorda でしたが、直ぐに４番人気(７４対１０)のヴィア・マンゾーニ Via Manzoni がハナを奪っての逃げ。残り１ハロンでヴェドゥーマが抜け出して人気通りかに見えましたが、好スタートから２番手に控え、更に順位を下げて４番手で直線に入ったオロルダが再び巻き返すと、本命馬を半馬身捉えてのサプライズ。１馬身差でヴィア・マンゾーニが３着に粘っていました。
勝ったオロルダはドイツから遠征してきた馬で、管理するのはマイケル・フィッジ(？) Michael Figge 調教師、騎乗したのはお馴染みクリスチャン・デムーロ。２歳時は２戦して勝てず、今期初戦にミュンヘンで１マイル戦を９馬身差で圧勝したという経歴。フランスはもちろん、地元のドイツでも未知の存在で、今回のレース内容を見ても底知れぬ感じはします。
続いては、今年フランスで行われる最初のＧⅠ戦のガネー賞 Prix Ganay (ＧⅠ、４歳上、２１００メートル)。７頭が出走し、前走ダルクール賞(ＧⅡ)を制して完全復調を果たした７歳馬のアル・カジーム Al Kazeem が６対４の１番人気。２番人気(３７対１０)の相手も、永遠の若さを保つ９歳せん馬のシリュス・デ・ゼーグル Cirrus des Aigles で、キャリアから見ても２頭の一騎打ちでしょう。
先ずは予想通りシリュス・デ・ゼーグルが先頭に立ち、ほとんどギャロップに近いようなスローペースでの逃げ。相手はこれだけと判断してアル・カジームは２番手追走。直線、ペースが上がってアル・カジームが先頭に並び掛けましたが、ほとんど消耗していないシリュス・デ・ゼーグルは再び瞬発力を繰り出し、ゴールでは本命馬に１馬身４分の３差を付けて今期デビュー戦を飾りました。３馬身の大差が付いた３着には、最後方から追い込んだ３番人気(９対２)のウィー・アー We Are 。
コリーヌ・バランド＝バルブ夫人が管理し、クリストフ・スミオンが騎乗したシリュス・デ・ゼーグルは、何とガネー賞は４回走って３度目の優勝。去年に続く２連覇となります。去年はドバイなどで叩かれての参戦でしたが、今年は冬場を全休しての休み明け、その価値は一層高いと言えそうです。ＧⅠは７勝目、天皇賞のゴールドシップより更に上を行く貫録でしょうか。
バランド＝バルブ女史によれば、シリュスを生産したイヴ・イヴォン・レリムーザン氏は去年１２月に他界されたとのこと。例年以上に感慨を以てガネー賞に向かった、とコメントしていました。
日曜日の最後は長距離のバルべヴィユ賞 Prix Barbeville (ＧⅢ、４歳上、３１００メートル)。８頭が出走し、去年のサン＝クルー大賞典の勝馬(レース後に禁止薬物が検出されて失格)スピリットジム Spiritjim が３１対１０の１番人気。
２番人気(１８対５)のハイ・ジンクス High Jinx が逃げましたが、これを先行していた５番人気(５６対１０)のアレックス・マイ・ボーイ Alex My Boy が捉え、中団から抜け出した４番人気(２３対５)のフライ・ウィズ・ミー Fly With Me に３馬身差を付ける小波乱となりました。半馬身差でブービー人気(１８１対１０)のアハトゥング Achtung が３着に入り、人気のスピリットジムは最後方からやや伸びたものの６着敗退。２番人気のハイ・ジンクスが４着、３番人気(３７対１０)のナロウ・ヒル Narrow Hill も７着と上位人気馬は総崩れの結果です。
勝ったアレックス・マイ・ボーイは、ドイツのアンドレアス・ヴォーラー厩舎で、オリヴィエ・ペリエが騎乗していた出走馬中唯１頭の４歳馬。３歳シーズンの最後に英国のセントレジャーに遠征して１２頭立て８着に終わっていましたが、今期はサン＝クルーのリステッド戦(ライト・ロイヤル賞)で勝馬とは頭差の２着でした。この時勝ったのが今回２着のフライ・ウィズ・ミーで、その時はナロウ・ヒルが３着、アハトゥングも４着と、ほぼ同じメンバーとの再戦だったことになります。
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